湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

今年最後の湘南句会

2018-12-20 23:00:04 | 文学
昨日の湘南句会では、兼題「共」で詠んだ次の2句が最高得点を獲得しました。
沖にらみ共に吐きたる息白し
共寝にと猫うばいあう寒の入


次の湘南句会は来年1月25日㈮14時~@逗子市民交流センター1階。
兼題は初夢 初暦 去年今年(こぞことし)です。
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鳥&憧の詩

2018-12-19 22:40:56 | オリジナル
共通テーマ「鳥・憧」でEが書いた詩を投稿します。

白鳥にあこがる

青空に飛行機雲が現われる
定規で引いた白線が二本
寸秒刻みに伸びてゆく
みな頭を上げほうけたように歩みをとめる

人は古代から鳥にあこがれてきた
イカロスは飛べる喜びに
太陽に近づき
ロウ止めの羽毛を喪失
エーゲ海に墜落する
ギリシャ人は天空に海を見たのか

わが古代人は
ギリシャの愚はおかさない
日本武尊はいまわの際
 たたなずく青垣
 山ごもれる
 大和しうるはし
と万斛の思いを歌に託し
白鳥に化した

我々はことごとく
白鳥の子孫にして化身
かなしみの詩歌を胸に秘める
ひなの老爺ですら
死の床上に坐し
卒爾として
白鳥の歌を残してゆく
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俳句にもっとドラマを

2018-12-18 16:06:38 | 文学
今年最後のカナブン初級俳句講座。お題のひとつ北風で、入選はしたものの「もっとドラマを」と講評・添削を受けたものを2句ビフォー・アフターで。

before 酔客の声北風に混ざり来る after 父に似し酔客の声北風に
before 朔風や隣人に会ふ隣町   after 隣人に会ふ朔風のラブホテル
同じ音数の中で見事にドラマチックなもう一要素が加わりましたね! って、添削された側が言うことじゃないけど
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復刻版レトロ詩集

2018-12-17 16:25:03 | 
豊田玉萩新体詩集「野ばら」。日本現代詩歌文学館が開館した際、地元北上の生んだ詩人を掘り起こし顕彰するために復刻した本を、著者のご親戚に貸してもらいました。

レトロなフォントが素敵な表紙。タイトルを囲んでいるかすれのある飾り罫を見ていたら、佐々木活字店(東京都新宿区)を見学した時に見せてもらった活版を思い出しました。下の写真は、その時撮らせてもらったコーナー飾りなどの母型です。

さて「野ばら」の中身はこんなふうになっています。格調高い文体ですね。

最初にこの詩集が発行された明治40年は、こうした文語定型詩がもてはやされていた時代。
この年川路柳虹が初めて口語自由詩「塵溜」を発表しましたが、激しい拒絶反応にさらされてしまいました。
ヨーロッパ詩の翻訳ではない日本人が著したものでは、島崎藤村「若菜集」がこの時代の詩集の代表格です。
豊田玉萩は明治8年岩手県黒沢尻町(現北上市)生まれ。詩以外に小説、短歌、俳句、童謡も書いたマルチな地元の文学者。
「若菜集」が出た明治30年にこの詩集が現れていたなら有名になっていたはずと、栞に書かれています。
年譜によると、晩年近くには口語プロレタリア詩も書いていたそうです。
資料を寄贈した関係で会員になっているので、北上市を訪れる機会があったら日本現代詩歌文学館会員証を忘れず持っていこうっと!
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鳥の詩パート2

2018-12-16 09:08:12 | オリジナル
共通テーマ「鳥」でTが書いた詩を投稿します。

一枚の絵

戦後60年目
1枚の絵を見た
大きな樹々を見上げた
その上に葉にふちどられた
円形の曇った空
3羽の鳥が一直線に飛んでいた

一瞬に作者の思いが染み入ってきた
 鳥になってでも帰りたい
血の滴る程の思いで
空を見上げていたのだ

会ったことのない 叔父は
イルクーツクで亡くなった
6万人近い抑留死した人々も
この作者と同じ心情で
飛ぶ鳥を見ていたはずだ

初めて
ひとかたまりの数字でしかなかった人々
の顔がはっきりと現われ
それぞれの無念さが
私の胸に届いた瞬間だった
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非人称存在の俳句

2018-12-14 22:56:53 | 文学
写真や絵画がふんだんに添えられた、見ても楽しいオールカラーの句集。

帯文は坪内稔典さん。
俺、猫だから。俺、狸だから。俺、鎌倉だから。
そして、俺、前田吐実男だから。
というように存在する93歳! いいなあ。


著者は非人称存在俳句を実践しています。その特徴は次のようなもの。
1 個我が消されていること
2 個我を消しての主観の客体化
3 虚実自在
4 一人称でも、二人称でも、三人称としても鑑賞が出来得る
5 人間存在の本質をそれなりに捉えている

書名は次の句からとられたもの。 靴下手袋大嫌い俺猫だから
飄々と詠んでいるようで、しっかりとした論理を踏まえているんですね。

裏表紙は、逗子在住の木版画家高橋幸子さんによる鎌倉地図です。
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Tの展覧会

2018-12-13 21:39:51 | イベント
湘南文芸メンバーTのEBアート展に行ってきました。

EBアートとは絵の上にレジンを塗って紫外線で硬化した絵画。

12月15日(土)までの11:00~16:00に、和遊庵(鎌倉市長谷2-17-19)で開催中です。
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藤瀬秀子「山窓」より

2018-12-12 11:52:10 | 文学
この間の日曜日第4期サードエイジ連続講座第3回湘南・逗子の別荘文化を学びま専科に参加しました。
講師の水沼淑子さんのお話が大変興味深かったです。

↑桜山の蘆花記念公園内に保存されている旧藤瀬脇村邸についてのスライド。
施主は藤瀬秀子。その後昭和34年に著名な経済学者である脇村義太郎が購入して終の棲家としたので、旧藤瀬脇村邸と呼ばれています。
藤瀬秀子の夫は明治~大正時代の実業家、藤瀬政次郎。政次郎の死後晩年を過ごすために秀子が建てたのがこの家です。
彼女は佐々木信綱主宰「竹柏会」の同人であった歌人。歌集「山窓」に収められているこの場所で詠んだ歌をNPO法人逗子の文化をつなぎ広め深める会にお願いして、提供していただきました。その中からご紹介します。
夕かぜにちり散る木葉かさこそとからびし音の我が内にまた
心やうやう我にかへりてこもり深く芽ぶかむとする山にむかへり

建った頃には2階の窓から逗子湾が見えていましたから、山だけでなく海を詠んだ短歌もあります。
(もだ)ふかき入江の浪に寂光のひかりうつして日は沈みゆく
逗子で詠まれたという贔屓目でなく読んでも、いい歌です。

↑旧藤瀬脇村邸1階リビングは、洋間でありながら高度な数寄屋の技で仕上げられています。昭和初期特有の和洋折衷デザインの骨頂といえる貴重な建物です。施工は清水組(現清水建設)。秀子が清水組との設計打ち合わせを詠んだ歌もあるそうです。現在、外観のみ公開中です。
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ウナ ジョルナータ

2018-12-11 01:29:28 | 
新倉俊一新詩集。著者が取り組んできた西脇順三郎やエミリ・ディキンスンへのオマージュ詩22篇が、それぞれ扉付きの一見開きに収められた美しいページ構成の詩集です。

カバーは西脇順三郎が描いたもの! 長年の親交があったからこそ実現した装丁ですね。

書名ともダブる「ある一日」という巻頭詩の後半には次のような一節が。
ささやかな幸運が
いつか訪れたら行こうと
心に決めていたあの
映画の題名のような店
Una Giornata はもう
無くなってしまい
わたしの夢の中にしか
残っていない

表紙のタイトルを見た時は偶然の一致かと思ったのですが、逗子にご自宅のある新倉先生が書いているのだから、ここに出てくるUna Giornataって、池田通りにあったイタリアンレストランのことですよね、多分。(後日確認。その通りだそうです)

このビルの1階にあったウーナジョルナータ、味も雰囲気もいいお店でした。
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鳥の詩パート1

2018-12-09 16:00:22 | オリジナル
新しい共通テーマ「鳥」でAが書いた詩を投稿します。

烏は鳥 鳥は烏

最近いろいろごっちゃになって
どっちでもいいと思って
蒼穹句会の清記で
鳥を烏と書き間違えたら
田中さんがやんわりと疑問を出して
烏はふんわりと鳥に訂正された

人の俳句の鳥を
勝手に烏にしてはいけないんだ
なのに烏と書いてしまうくらい
私の体内の洞に烏の群れが
黒いドーナツみたいになって
輪を描いているのに
気づいていて気づかないふりをして
微笑んでいるのだ 田中さんは

私のドーナツの洞の中で
哄笑しているのだ 田中さんは
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