歌や詩の言葉は本来、世界や神との垂直の関係性のツール、見果てぬ夢に架ける梯子であって、「今日、何食う?」で完璧に意味が通じるような水平方向の言葉とは全然違うんだよ。だけど、現代は水平方向のやり取りだけでみんな疲弊しきっていて、言葉もどんどんフラットになるから、決定的な呪文が書かれた経典を探しに行く『西遊記』みたいな発想はとても持てないんだね。
言語や世界の垂直性を活性化するのが詩本来の使命や意義だと思うんだけど、水平方向の世界では、経済効率上、ロスとして省かれてしまうんだよね。
対談本「人生問題集」の穂村弘さんの発言より。垂直に言葉を紡いでも水平方向の世界では点にしか見えないのかも。