湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

藤瀬秀子「山窓」より

2018-12-12 11:52:10 | 文学
この間の日曜日第4期サードエイジ連続講座第3回湘南・逗子の別荘文化を学びま専科に参加しました。
講師の水沼淑子さんのお話が大変興味深かったです。

↑桜山の蘆花記念公園内に保存されている旧藤瀬脇村邸についてのスライド。
施主は藤瀬秀子。その後昭和34年に著名な経済学者である脇村義太郎が購入して終の棲家としたので、旧藤瀬脇村邸と呼ばれています。
藤瀬秀子の夫は明治~大正時代の実業家、藤瀬政次郎。政次郎の死後晩年を過ごすために秀子が建てたのがこの家です。
彼女は佐々木信綱主宰「竹柏会」の同人であった歌人。歌集「山窓」に収められているこの場所で詠んだ歌をNPO法人逗子の文化をつなぎ広め深める会にお願いして、提供していただきました。その中からご紹介します。
夕かぜにちり散る木葉かさこそとからびし音の我が内にまた
心やうやう我にかへりてこもり深く芽ぶかむとする山にむかへり

建った頃には2階の窓から逗子湾が見えていましたから、山だけでなく海を詠んだ短歌もあります。
(もだ)ふかき入江の浪に寂光のひかりうつして日は沈みゆく
逗子で詠まれたという贔屓目でなく読んでも、いい歌です。

↑旧藤瀬脇村邸1階リビングは、洋間でありながら高度な数寄屋の技で仕上げられています。昭和初期特有の和洋折衷デザインの骨頂といえる貴重な建物です。施工は清水組(現清水建設)。秀子が清水組との設計打ち合わせを詠んだ歌もあるそうです。現在、外観のみ公開中です。
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