湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

脈々と

2016-07-04 13:25:12 | 
昨日房総半島で昭和な電車に乗ってきました。逗子を午前8時台に出て午後8時台に帰着した日帰り千葉旅の詳細は後日報告します。

では、先日の合評会で下記の詩について話し合ったことを投稿します。

幼年への道  

人間にきびしい思いを
抱く時
ひっそりとあかるく
静かにわたしの絵が浮かび上がる

父がすわっているのは
ピアノの椅子だ
ピアノは伯母さんが八百屋さんをして
キクちゃんのために買ったのだ
バクダンが落とされるかもしれない
伯母さん一家が
わたしのうちに住んでいる
子供にはややこしい話だ

わたしはうそをついてしかられている
おとうさんの目をよくごらん
と父はいっている
涙が流れている

:作者の弁 :評者の弁
「命脈」をテーマにすると通常は未来へ命が続いていくことを考えるはず。過去に繋げていった視点がユニークだと思いました。
物事の考え方を親から受け継いでいることを書いた訳です。
 真中の連に、幼い私には不条理だった事を入れました。当時よく分からなかった状況を、作品の中でどう料理するかが難しかったです。
ピアノと一緒に伯母さん一家が疎開してきていたんですか。
そうなんです。でもピアノは鳴っていない。人々は爆撃を恐れあまり外に出ずひっそり暮らしている。
 私にとって戦争の音は無音なんです。なので1連目の「あかるく/静かに」は絶対に削れない箇所です。 
不気味な明るさ・不気味な静けさですね。
そういう環境の中で他愛のない嘘をついて私は父に叱られました。
 あの忘れられない光景を1枚の絵のように心に呼び出せば、許せない相手がいても裁いてはいけないと思えるのです。
コメント
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