湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

形の詩パート8

2016-07-25 12:23:35 | オリジナル
共通テーマ「形」でAが書いた詩を投稿します。


グーテンベルク

いつも頁の凹凸をなぞりながら
読書をしていた
棚にぎっしり収まった
小さな鉛の反転文字を
選び出しては次々と
小さな木箱に詰めていく
職人に憧れて

筆圧をこめてノートの枡目を埋め
次の頁に型押しされた反転文字を
指の腹で判読した
文選工は視覚ではなく触覚で
活字をすばやく選び取るのだ
眼は原稿を見ているのだ

文明は子供が夢見た職業を消していく
人は憧れの対象を移していく
文明も人もそうしなければ
生き延びることができない

パソコンでテキストを打つ
キーをさわる指たちが断りなしに
なつかしんでいる
Bの鉛筆で強く書いたノートを 
文字が浮沈する活版の図書を
コメント
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