湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

絵画のような詩

2017-02-16 15:36:08 | 
下記の作品について、2月13日の合評会で話し合った内容を投稿します。作者は都合により欠席だったので出席者の批評だけになります。

仮題 うつくしき人

20歳の花嫁は亡くなりました

手を添えた純白の彼女は美しく
今まで知っている肌より一層七色に
透き通っていました

ようやく咲いた白い花の
隣を小鳥が雲一つない青空へ発った今朝
彼女はそう大きくもない箱の中に
ピクリともせず
回りとも共鳴せず横たわっていました
コーラルレッドとシルバーホワイト
ライトグリーン と薄めたコバルトブルーが入ったような美しい肌をしていましたが 透き通ってはいませんでした

細い糸で繋がった砂でできていて
しばらくしたら流れ落ちるように崩れて消えてしまいそうで
表皮の下で色達が飛び回る肌ではありませんでした

向こう側が透けてしまいそうな肌
どうにか貼り付いた止まった細かい粒子が
かろうじて纏っている肌

白いドレスを着た白いバラの好きな彼女

 このバラの絵も作者の作品です。
花嫁の肌が、2連目の最後では透き通っていて、3連目の最後では透き通っていなくて、4連目の最初では透けてしまいそうなのはなぜ?
矛盾している訳ではなくて、動かない死体も時間が動くと変化するということじゃないかな。
冷静に時間を描いている訳ですね。そういうことをいろいろ描写していったら、もっと苦しさや怖さが出てもいいと思うけど。生身の自分の言葉ではない感じが少しします。
わたしは美しさがちょっと怖いと思いました。
作者はもともと神秘的な作風。そういうイメージは出せているんじゃないかな。
3連目の2行目「小鳥が雲一つない青空へ」はありきたりですね。
「ような」と、色を直喩っぽく説明しているのも残念。それがなければ印象派の絵画みたいに、あるいはもっと不気味に読み取れるのに。
美しい死体の表面に関する詩的説明にほとんど終始しているけれど、作者の表現の可動域は広いと感じました。
被写体となっている「20歳の花嫁」以外の方向にも視点を振り向けたらよかったのかもしれません。
コメント
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