終戦といえば、キャンディの味である。
進駐軍の司令部として接収され鉄条網の中はカンナ等の夏の花々が咲きそろいグリーンの芝生の眩い別天地であった。
常に飢えていた小学生の私たちは、歩哨の黒人兵がご機嫌な時に放ってくれる、ガムとキャンディが欲しくて禁を破って鉄柵に近づいていった。
「ギブミー キャンディ」それは唯一通じた英語である。
中学生の真似をして口々に叫んだ。
黒人の若い兵士は、白い歯に真っ赤な唇を剥き出して私たちを脅したり、歌ったりして、上機嫌であった。
そして、フィナーレがガムとキャンデイのばら撒きだ。私たちは先を争って公園の草むらや木立の中に潜り込んで戦利品を探した。
やっと手に入れた「キャンディ」は夢の味であった。
幸運な友達は三つも見つけて家に持ち帰った。
私は、持ち帰ると父に叱られるので、母に舐めさせたいと思ったが、家に帰り着くまでに公園の片隅でチビチビと舐め終わった。
そして、蝉たちの声と暑さにやっと気が付いた。
蝉時雨キャンディの味進駐軍 愚
進駐軍の司令部として接収され鉄条網の中はカンナ等の夏の花々が咲きそろいグリーンの芝生の眩い別天地であった。
常に飢えていた小学生の私たちは、歩哨の黒人兵がご機嫌な時に放ってくれる、ガムとキャンディが欲しくて禁を破って鉄柵に近づいていった。
「ギブミー キャンディ」それは唯一通じた英語である。
中学生の真似をして口々に叫んだ。
黒人の若い兵士は、白い歯に真っ赤な唇を剥き出して私たちを脅したり、歌ったりして、上機嫌であった。
そして、フィナーレがガムとキャンデイのばら撒きだ。私たちは先を争って公園の草むらや木立の中に潜り込んで戦利品を探した。
やっと手に入れた「キャンディ」は夢の味であった。
幸運な友達は三つも見つけて家に持ち帰った。
私は、持ち帰ると父に叱られるので、母に舐めさせたいと思ったが、家に帰り着くまでに公園の片隅でチビチビと舐め終わった。
そして、蝉たちの声と暑さにやっと気が付いた。
蝉時雨キャンディの味進駐軍 愚