おやじのつぶやき

おやじの日々の暮らしぶりや世の中の見聞きしたことへの思い

老嬢Sの寝物語。

2019-11-06 21:13:35 | じじばばがゆく

 今振り返ると、けっこう幸せな人生だった。いい人生だったわ。
 人並みの生活が送れて。あなたもそうでしょうけど。

 ・・・

 夢見ながら話しているの。

 10年、20年・・・。もうそんな長く生きたいとは思わないわよ。
 わがままいっぱいで来ただけ。ホントウよ。

 今、色々整理しているんだけれど。
 着物もすっかり全部処分した。他にもあれこれ。
 食器もアメリカで買ったすてきなコーヒーカップなど、色々あるんだけれど。
 けっこう高かったし、・・・。
 でも、娘達は要らないっていうし、バザーにでも出そうかしら。

 そうよね、食器って自分たちで気に入ったものを選ぶものよね。

 ・・・

 中学の時の先生にとても気に入られて、色んな所に連れて行って貰ったわ。
 海水浴とか銀座とか。あなたもご存じの先生よ。

 今じゃ問題になっちゃうかもね。
 もちろん誰かと一緒よ、誘ってね。

 先生って、生徒によって好き嫌いがあるじゃない、あの人なんか大嫌いだったみたいよ。今でもそうらしいわ。

 ちょっと人の話を聞いているの。何をごちょごちょやっているの? 
 ありがとう。でも、お茶なんか後でいいからさ、少しくらい話に集中してよ。

 高校の時も国語の先生がすっごく可愛がってくれて、ずっと後まで親しくして貰った。卒業して結婚してからも。
 家族ぐるみでね。

 奥さんから連絡があってもうあぶないからって。大船まで通って、先生の足をさすってあげた。3日間も通って。
 もう意識はなかったみたいだけど。80過ぎだったわ。

 九州の大学を出たけれど、文学がやりたくて京大に入り直して、それから大阪で女子高の先生に。
 修学旅行で東京に来たときに、そのバスガイドの方と知り合って、そのまま、東京の先生になった、らしいの。

 そんなすてきな話を聞かせて貰ったわ。

 ・・・

 高校を卒業して会社に入ったけど、当時の花形部署。そこで、主人と知り合ったのよね。

 何人も同じ高校から同じ会社に就職したけど、色々あったわね。女性同士の嫉妬って深いじゃない。私を目の敵にしていた人もいたし。

 そりゃあ、大変な時もあったわよ。それでも何とか結婚までは頑張ったわ。

 ・・・

 「野田岩」の鰻重は久しぶり。何年前かな、食べに行ったことがあったわ。
 でも、ちょっと味が変わったんじゃないかな、昔と違う感じ。

 眠くなった? もう少し私の話を聞いてくれる?

 ・・・

 この目の前の坂の先に大きな社宅があったのよね。けっこう広い敷地で、ここから子供達を小学校に通わせたの。
 そこ? 今は売って、その後、マンションなんかになっているみたい。その坂の先を行ったところが「六本木ヒルズ」になるわけよ。

 学校? 坂をけっこう下ったところにある「麻布小」。飯倉片町のところね。幼稚園も併設されていたわ、今でもそうだけど。

 母親が若い頃、麻布に住んでいたので、不思議な縁よね。自分も同じようなところに住むなんてね。
 今の家のお寺さんも麻布だし。

 母親も内幸町の銀行に勤めていたことがあったし、主人の父もそこに縁があったのよね。そういう縁つながりってあるのかしらね。

 お墓? 「大黒坂」のところ。そういえば、この辺の坂は歩いたことがあるんでしょ、あなたも。

 ・・・

 「七面坂」、「一本松坂」、「狸坂」、「潮見坂」、「暗闇坂」、「狸穴坂」・・・
 それから少し北の方には、「植木坂」、「鼠坂」、「於多福坂」、「雁木坂」なんていうのもあるし、・・・

「大黒坂」
    
 
「七面坂」。
    

「一本松坂」。
    
                                          一本松。
「狸坂」。
    

 「行合坂」っておしゃれな名前だと思わない?

「行合坂」。
    

 そう、さっきの「アマンド」から麻布十番へ下って行く坂は、「芋洗坂」とか言うんじゃない。「饂飩坂」だったかな。

 ・・・

 泣いてないわよ。

 ホント、この辺は、懐かしいわ。「有栖川公園」にもよく子供達を連れて行ったし、・・・。

 この辺もずいぶん変わったわね。久々に来ると。
 古いお店がなくなって、安っぽいチェーン店ばかり増えてきている感じ。

 さっきの和菓子屋さんなんて頑張っている方じゃない。「六本木」というネーミングの焼き菓子を買ってみたけど。

                  

 美味しいでしょ。他にもすてきな和菓子を作っている。「青野」さん。創業は安政3(1856)年。今でも六本木で和菓子を作る老舗なのよね。
                       (「和菓子 青野総本舗」HPより)

 ・・・

 それから国内であちこち転勤があって、ここの社宅を出て、転勤族よね。
 その後、海外出張でアメリカ、そして今の所に落ち着いたわけよね。
 もう子育てやら、姑の世話やらでてんてこ舞いだったわ。

 今も同じ。義母は施設に入っているけど。家事は相変わらずよ。

 子どもたちも皆巣立ってしまって、・・・。
 でも、何かというと、「バアバ」と呼び出されるし、家に何日も泊まりにきたりして、相変わらず、てんやわんやよ。

 眠いわよ、今朝は4時起き、3時頃から、うとうとして。主人が朝早くから奈良へ出かけるっていうんでね。
 まだまだ元気よ、元気。買い物なんかも積極的に手伝ってくれるし、あなたなんかしたことないでしょう。

 眠くて、眠くて。一寝入りしたいわ。

 ・・・

 でも、幸せな人生だったわ。もう、こうしてたくさんいい思い出をつくって。
 思い残すことはないわ、今日でお別れよ(笑)。

 独り言はこれでおしまい!

 ・・・

 そう、連絡してみたら、みんなの都合を。
 女の人って色々あるのよ。家を空けるって大変なことなの、意外と。男性の方はけっこう気楽そうだけれど。

 ふぐ料理で「忘年会」? それもいいわね。
 山口にいたときには、魚屋さんでふぐをさばいてもらって家でよく食べていたわ。

 ふーん、浅草か両国でか。連絡待っているわ。でも、皆さん、来られるかしら。
 年取ると、いろいろあるからね、自分のことだけじゃなくて。

 ・・・

 色々しゃべりすぎたわね。

 おやすみなさい。

コメント
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