goo blog サービス終了のお知らせ 

永子の窓

趣味の世界

源氏物語を読んできて(194)

2008年10月18日 | Weblog
10/18  194回 

【乙女(おとめ)】の巻】  その(4)

 若い公達は我慢しきれず、つい笑い出してしまいます。実はそれなりに落ち着いた人々だけを選び出して、酌などをおさせになったのですが、何分風変りな席とて、右大将や民部卿などが、身の程に応じて盃をとられますのを、教官たちは、厳しく欠点を指摘してけなしています。

 この時とばかり、教官たちが居丈高にものを言っているのも、真面目なだけに、かえって可笑しく、人々がふき出して笑いますと、「騒々しい、静まりなさい。甚だけしからん。退席なされい」とやかましくののしっています。

 源氏までも、
「いとあざれ、かたくななる身にて、けうさうし惑はかされなむ」
――私のような不行儀で、融通のきかない者は、席に出たならば叱り飛ばされるだろう。――
と、御簾の内に御隠れになってご覧になっています。

 夜になりますと、灯火の光で儒者たちの顔はかえって道化じみてみすぼらしく、貧相で見苦しいのがはっきりして、確かに異様なことではあります。その夜は漢詩をお作りになるなど、なさったようですが、

「女のえ知らぬことまねぶは、憎きことをと、うたてあれば漏らしつ」
――(作者のことば)女の知りえぬ学問の事を口にしまして、生意気と憎まれますのが厭ですので、ここでは略します。――

もちろん、それぞれに大層な贈り物と酒宴が催されました。

 「字」の礼に続いて、大学入学の儀式をおさせになって、そのまま二条の東の院にお部屋を設けさせて、学識の深い師をお付けして、学問をおさせになります。大宮は、夕霧を事の外可愛がっていらっしゃって、学問なさる環境には相応しくないとの源氏のご配慮で、一カ月に三度ほどは、大宮の御邸にご機嫌伺いにと、お許しになるのでした。

ではまた。
 

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。