永子の窓

趣味の世界

枕草子を読んできて(127)(128)

2019年12月19日 | 枕草子を読んできて
114  関は (127)
 関は 逢坂の関。 須磨の関。白河の関。衣の関。くきたの関。はばかりの関。ただこえの関。鈴鹿の関。よこはしの関。花の関ばかりにたとしへなしや。清見が関。見るめが関。よしよしの関こそ、いかに思ひ返したるならむと知らまほしけれ。それおなこその関とはいふにやあらむ。逢坂のなどを、さて思ひ返したらば、わびしからむかし。足柄の関。
◆◆関は 逢坂の関(山城の国と近江の国の境)。
須磨の関(神戸市須磨区)。
白河の関(福島県白河市旗宿)。
衣の関(岩手県西磐井郡平泉町)。
くきたの関(三重県一志郡白山町)。
はばかりの関(不明)。
ただこえの関(不明)。
鈴鹿の関(三重県鈴鹿郡)。
よこはしの関(不明)。花の関くらいに比べることができないほど違っているよ。
清見が関(静岡県清水市)。
見るめが関(不明)。
よしよしの関(不明)よしよし―ままよ―の関こそは、どう考えなおしているのだろうと知りたいものだ。越えるのを考え直すのを「な来そ」の関とはいうのだろうか。男女が逢う「逢坂」の関などを、そんなふうにして考え直したら、わびしいことであろうよ。
足柄の関(神奈川県足柄上郡)。

 

115  森は (128)

 森は 大あらきの森。しのびの森。ここひの森。木枯の森。信太の森。生田の森。木幡の森。うつ木の森。
きく田の森。岩瀬ノ森。立ち聞きの森。常盤の森。くつろぎの森。神南備の森。うたたねの森。うきたの森。
うへつきの森。いはたの森。たれその森。かそたての森。かうたての森といふが耳にとまるこそ、まづあやしけれ。森などいふべくもあらず、ただ一木あるを、何ごとにつけたるぞ。

◆◆森は 大あらきの森(京都市伏見区か)。
しのびの森(福島県信夫の訛か)。
ここひの森(静岡県熱海市伊豆山付近か)。
木枯の森)(静岡市羽鳥。
信太(しのだ)の森(大阪府泉北郡)。
生田の森(神戸市生田区)。
木幡の森(宇治市)。
うつ木の森(不明)。
きく田の森(不明)。
岩瀬ノ森(奈良県生駒郡か)。
立ち聞きの森(不明)。
常盤の森(京都市右京区か)。
くつろぎの森(不明)。
神南備(かんなび)の森(大阪府三島郡か)。
うたたねの森(福島県か)。
うきたの森京都(京都府)。
うへつきの森(不明)。
いはたの森(京都市伏見区)。
たれその森(三重県か)。
かそたての森(不明)。
かうたての森(不明)というのが耳にとまるのこそ、何はともあれ、妙なものだ。森などと言えるはずもなく、ただ木が一本だけあるのを、どうしてまた森というのだろうか。◆◆


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