永子の窓

趣味の世界

蜻蛉日記を読んできて(207)その2  

2017年08月18日 | Weblog
蜻蛉日記 下巻 (207) その2   2017.8.18
 
「しはすになりにたり。また、
〈片敷きし年はふれどもさごろもの涙にしむるときはなかりき〉
『ものへなん』とて、返りごとなし。又の日ばかり、返りごと乞ひにやりたれば、そばの木に、『みき』とのみ書きておこせたり。
やがて、
〈我がなかはそばみぬるかと思ふまでみきとばかりもけしきぶむかな〉
返りごと、
〈雨雲のはるけき松なればそばめる色はときはなりけり〉

◆◆十二月になってしましました。また助から、
(道綱の歌)「片敷きの衣にひとり寝をして長年になりますが、今のようにあなた恋しさのために涙で夜着が濡れたことはありませんでした。」

「余所に出かけていまして」といって返事はありません。次の日あたりに返事を貰いに使いをやったところ、そばの木に「見ました」とだけ書いて寄こしました。

助はそれを受け取るとすぐに、
(道綱の歌)「私とは仲違いしたのかと思うほどに、「見た」とだけの返事とは随分高飛車な返事ですね。」

返事には、
(八橋の歌)「私は雲のかかった高い山の頂に生えている、年中緑色の松のようなものですから、つれない態度はかわりません」



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