無意識日記
宇多田光 word:i_
 



アルバムタイトルが日本語だった場合は「嵐の女神」がいいんじゃないかと前に書いた気がする。今でもいいタイトルだと思っているが、現状、このタイトルになる可能性はほぼない、わな。

勿論、楽曲としての『嵐の女神』が収録されないと判明したから、というのが第一にある。ただ、自分としては、「アルバムタイトル曲が別のアルバムに収録されている」のもアリなんじゃないかと思ってきたので、それは理由の決定打ではない。まだ足りない。決定的だったのは、いつものヤツ、そう、『通常盤仕様1形態』である。

このコンセプトは、何よりもリスナーに「わかりやすさ」を提供する。買うときにどれとどれとどれを何枚ずつ買わなければいけないか悩む必要がない「これ1枚」。なんとも優しい。身を削ってまでわかりやすさに徹しておきながら、アルバムタイトル曲が収録されていないなんてトリッキーな事やる筈がない。私はそういうトリッキーな事も好きですが。

なので、恐らく、アルバム発売直前にアルバムタイトルトラックをリーダートラックとして配信シングルカット&ミュージックビデオ配信をして発売前プロモーションのトドメとしてくるんじゃないかというのが現時点での予想。王道中の王道を行く。商業音楽の命運を背負い込む責任感とでもいいますか。ど真ん中直球勝負なんじゃないかな。

ただ、過去作では、ご存知の通り、『First Love』はドラマのタイアップでアルバム発売後にシングルカット、『DISTANCE』はアルバム発売後に『FINAL DISTANCE』のカップリングとしてシングルカット、『Deep River』はシングルカットの予定を断念したかのようなミュージックビデオを制作、という感じで推移してきた。10年前の『ULTRA BLUE』から『BLUE』はシングルカットされなかった。8年前の『HEART STATION』で漸くアルバム発売直前(大体一ヶ月前)にアルバムタイトルトラックシングルカットが現れる。

ここで、8年前の流れを「前作だから」と踏襲すると読むのか、「8年も前の話だから」とまるきり無視して今の感触に従ってリーダートラックを決めてくるか、ちょっとわからんのよね。ただ、先述の通り、発売直前発表曲がタイトルトラックなら誰もが店頭でアルバムを探しやすい。シングルCDは恐らく発売されないので、同じタイトルのシングルCDとアルバムCDが並んで混乱を呼ぶ事もない。ここで一択、「今の宇多田ヒカルを聴きたいならこの1枚」という究極のわかりやすさを死守してくれれば、案外皆気軽に手を伸ばしてくれそうな気がしている。期待しておこうぞ。

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発売日は9月28日。水曜日だが、これは幾らかのファンにとってはちょっとした朗報かもしれない。

一昨年からだったか、国際的にプロモーションされるアーティストのニューアルバムを全世界的に金曜日に統一しようという動きがある。総てのコンテンツがそうなっている訳ではないが、未だに水曜日がメイン発売日の日本でもその煽りを受けて金曜日発売になるタイトルは数多い。店頭陳列も原則金曜日当日だ。日本は極東というだけあって、時差によって世界最速で手に入ったりしますのやが、兎も角、インターナショナル或いはグローバルなアーティストのニューアルバムは金曜日発売。これが定着しつつある。

で。今回のヒカルの新譜は水曜日発売だ。金曜日ではない。これ、裏を返せば、「今回の作品は国際展開しませんよ。日本国内を中心に動かしますよ」と言っている風にもとれる。勿論ただ単に"日本先行発売"なだけで、2日後には各国の店頭に並んでいるかもしれないが、それだって日本最速な訳で、日本優先・日本重視は変わらない。もしそうだとしたら、いつもUtaDAの活動を遠くで見守っていたファンからすれば朗報以外の何物でもない。何しろ、6年前は人間活動突入を発表してからEMIレーベルと世界規模の契約を交わしていたのだから。復帰第一弾がインターナショナル仕様であっても何の不思議もなかったのだ。それが。

前回触れたように、ここ数曲の新曲は日本語タイトルばかりで、このままアルバムタイトルが日本語混じりになっても流れとしてはアリである。どういう事情かはわからないが、今のヒカルは極めてドメスティックな印象を受ける。『花束を君に』が各国の配信チャートに顔を出していたとしても、だ。

ファンの中には無論反対側からみている人も居て、デビュー当時からヒカルに国際的な活躍を望んできた人も居る訳だ。そういう人たちからすれば今の現状はもどかしい、かもしれない。寧ろ、この年齢になって、長期離脱から復帰して、このタイミングでドメスティックな色を濃くするという事は、「小さくまとまっちゃったね」と呟かざるを得ない事態ともいえる。残念。そう言い切ってもおかしくはない。


でも、もしニューアルバムが日本語重視だとしても、それで国際展開が殺がれると断じるのは早計だ。先頃逝去された放送作家・ラジオパーソナリティ・作詞家の永六輔氏の代表作といえば中村八大作曲・坂本九仮称の八九六トリオによる「上を向いて歩こう」だが、この、ヒカルもデビューコンベンションで歌った名曲は、日本語の歌詞のまま全米チャートのNo.1の座に登りつめたのである。世の中、何が起こるかわからない。ヒカルのアルバムは、今後、世界中のあらゆる場所で手に入れる事が出来るようになっていくのだから。取り敢えず今は、日本での活動を重視するだろう方向性でいると解釈しておく事にする。

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