作品を造る方法には、ご存知の様に、手捻り(てびねり、手つくね)と、轆轤(ろくろ)を使う方法が
あります。
1)手捻りによる成形
轆轤や型を使わず、手や指先のみで成形する方法で、最も原始的な方法ですが、轆轤成形など
には無い素朴さの中に、個性的で暖かさや、風雅を感じる作品に仕上がります。
古い時代より、わざわざこの方法で造られていた程です。何よりも、竹べらの2~3本の道具さと
土さえあれば、自宅で容易に造れ、陶芸の簡単な基本的事項を学べば、初心者で
あっても、容易に作品に出来る事が大きな魅力です。
更に、手捻りで造った作品は、各々個性を持ち同じ人が造っても、全く同じ形になる事はありません
① 土の調整: 作りたい作品に応じて、土の種類を選ぶ必要があります。
一種類の土のみでなく、他の土や砂、はぜ石(長石粒)などをブレンドする事もあります。
土は手に「べとつかない」程度の軟らかい方が、成形作業が容易です。
② 造り方: 一般的な手捻りの造り方でも、幾つかの方法があります。
回転板(盤)があれば、便利ですが新聞紙などの上に土を置いて作業しても、土(作品)を容易に
回転させる事が可能です。又、回転板(手轆轤)を使用しない方法もあります。
) 玉造り(塊造り): 500~600g 程度の土を取り、団子状に丸めます。
a) 土の塊を回転板の中央に載せ、塊の中央を両方の親指で掘り込みます。
底が抜けない様に注意。後で述べますが、高台を設ける必要が有ります。その際削り出す
方法と、別の土を貼り付ける方法(付け高台)があります。削りの場合でしたら底には、
ある程度の厚みを残しておく必要があります。
付け高台の場合では5mm程度の厚みが有れば十分です。
b) 底の厚みまで掘り込んだら、内側の底の部分を広げます。この際土を上から押して圧を
加え、底割れを予防します。
c) 底の部分以外は肉が厚く成っていますので、土を両手の指を使い、薄く上に伸ばします。
伸ばす際、土を締める(圧を加える)事を意識しながら行います。
・ 注意点は、以下の通りです。
イ) 底の脇から上に向かって薄く伸ばす事です。上から下へ作業すると、底の部分に指が
届かなく成ります。
ロ) 土の厚みをなるべく一定にします。但し、高台や高台脇は後で削り、形を整えますので
ある程度の厚みが必要です。作品を回転させながら、伸ばすと厚みが一定になり易い
です。
ハ) 土を伸ばす際、外径が大きくなり易くなりますので、土を内側に締めて広がらない様に
します。内側に締めると、土の重なりや拠れ(よれ)、ギャザーが出来易いですから、
出来ない様に注意します。出来たら直ぐに直す事です。又急いで締めますと出来易い
ですので、ゆっくり土をつまんで下さい。
d) 土を伸ばしながら全体の形を作っていきます。
必要な高さと外形の寸法までは、伸ばす必要があります。
当然ですが、土は焼成すると縮みますので、その分を見込んで大きく作る必要があり、
縮み率は予め知っておかなければ成りません。
) 土を薄く伸ばしてから、形造る方法。
上記の玉造りの方法では、形を作りながら土を薄く伸ばしましたが、最初に薄く伸ばしてから
形を作る方法もあります。
a) 必要量の土を手に取り、ひらべったい円形にしてから両手の手のひらで挟み、強く叩いて
円形に薄く伸ばします。厚さは後で削る事を考慮して、やや厚くしておきます。
この場合、付け高台が向いていますので、底になる中央部は5mm程度の厚みにします。
かなりの大きさの円に成りますから、手の大きな男性に向いている造り方です。
b) この土を回転板(盤)に載せ、底の部分を残して、周囲の土を持ち上げ形を作ります。
持ち上げる際には、土が柔らか過ぎると「へたる」事になり、形造りが難しくなりますので、
やや硬くなってから行う事です。
c) 立ち上げる際の注意は、「上記c)の注意事項」と同じですので参照して下さい。
d) 小さ目の作品ですと、回転板を使わずに、手のひらに載せた平べったい円の中央を
内側に凹ませながら、手のひらの中で回転させながら、次第に全体を丸め込む様にして、
形を作る事も出来ます。
尚、口縁を予め形作る方法と、後で削り出しによって作る方法があります。
2) 削り作業: 上記作業で造った茶碗は、削れる程度に乾燥後に、形を整え更に、高台を付ける
作業に入ります。
以下次回に続きます。