わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

教程10-5 (急須の組み立-2)

2008-11-13 23:17:59 | 教程 (陶芸全般を学ぶ)
教程10(急須)の最終回になります。

 前回までに、注ぎ口を付けました。 今回、取っ手及び、蓋に付いて説明します。

 イ) 取っ手を付ける。

   取っ手にも、その用途によって、幾つかの、種類(形)が有ります。

   ・ 一般的な急須の形で、注ぎ口と約90度の角度に付ける、筒状の物。

   ・ 水差しやティーポット等、注ぎ口と180度の角度に付ける物。

     この場合、取っ手はロクロでは作らず、手捻りで、板状又は丸状に作った物で、

     形状が「耳型」の物が多いです。

   ・ 土瓶など、蓋の真上を横切る様に、付ける物。

     この場合、本体の注ぎ口の方向と、その180度の位置に、取っ手を付ける(差し込む)べき、

     紐状の物を、半円形又は、おむすび型に作り、接着します。

     尚 取っ手(持ち手)は、籐(蔓)と金属を組み合わせた物が、市販されています。

  ここでは、一般的な急須の取っ手(筒状)を付ける事にします。

  ① 取っ手の長さを決める。

    ロクロでは、やや長めに作ってあります。好みの長さに切ります。

    但し、本体の大きさに比べ、長さが長すぎる場合、お湯を入れないと、取っ手側に傾いて

    しまいます。逆に短すぎると、お湯の入て重くなり、持ち難くなります。

  ② 本体に、取っ手の取り付け位置を決める。

    一般に急須は右手で持つ様に、作られています。(市販品の大多数の物)

    即ち、右手で持った場合、注ぎ口が、左側に来ます。

   ・ もし、左利き用に作りたければ、そのように作る事も可能です。

     注ぎ口が右側に来る様に、取り付けます。

   a) 取り付け高さを決める。 やや下目にします。

   b) 注ぎ口と取っ手の角度を、鋭角(80度程度)にし方が、使い勝手が良いと言われています。

  ③ 取っ手の接着部分を斜めにカットする。

    取っ手の先端を斜め上にして、取り付けます。それ故斜めにカットします。

    斜め具合は、取り付ける前に、取っ手を持ち、注ぎ易い角度を、イメージしてください。
   
  ④ 取っ手を接着する。

   ・ 上記の事が、満足する状態に成ったら、本体の取り付け位置に、印しをつけます。

   ・ 両取り付け部分に、針で刻みを付け、「ドベ」を付けて、仮止めします。

   ・ 色々な方向から見て、調整し、良ければ接着します。

    (斜めではないか、左右対称か、角度は良いか等を、正面、側面、上から見る)

   尚 良く出来た(バランスの取れた)作品は、取っ手の先端を下にして、縦に立てた時、

    安定して自立出来ると、言われています。

 ロ) 蓋の調整

   ・ 蓋の径と、蓋受けの径を合わせる様に、現物合わせで、調整します。

    やや大きく作りましたので、削る方向で調整します。

   ・ 本体側に、蓋受けに無い場合、蓋の底の高台状の、滑り止めの径を本体口の内側の径と、

     合わせます。

   尚 この場合、本体口にも、釉薬を掛ける為、本焼きで、本体と蓋を別焼きにします。

     それ故、本焼きで、本体口が変形しても、蓋が出来る様に、やや余裕を待たせます。

 ハ)最後の調整

   手回しロクロ上で、作品を回転させ、色々な方向から見て、微調整して下さい。

  尚 本焼きが終わるまで、取っ手を持つて、作品を持ち上げ無い様にした方が安全です。


 以上で「急須の作り方」を終わります。
   
     
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教程10-4 (急須の組み立-1)

2008-11-12 22:34:51 | 教程 (陶芸全般を学ぶ)
前回まで、急須の各部分(パーツ)、本体、注ぎ口、取っ手、蓋を作りましたが、

これから、組み立てに入ります。

 イ) 注ぎ口を加工する

    加工する前に、本体に取り付ける位置(高さ)を決めます。

   ① 注ぎ口の、どの面を上にするかを決める。

   ② 長さを決めて、取り付け面を斜めに切り取る。

    ・ 長さは、本体に取り付けた時、先端が、本体の口の高さ以下にします。

      低すぎると、お湯の入る量が少なくなります。

      高すぎると、注ぎ口より先に、本体の口から湯が出てしまいす。

    ・ 傾斜の角度は、立ち過ぎても、寝かせ過ぎても、使い難いです。

      立て過ぎると、本体を大きく傾けないと、湯が出難いです。

      寝かせ過ぎると、湯は出易いが、湯の入る量が少なくなります。

    ・ 本体が球面ですので、取り付け面も、それに合わせて、隙間が無い様に切ります。

   ③ 本体に合わせてみて、良ければ、本体に針で輪郭を描きます。

 ロ) 急須本体の加工

   ① 茶漉しを作らない。

     水差しや、ティーポット(ティーバックを使用)などは、単に水の通る穴を開けます。

   ② 茶漉しを作る。

     緑茶のように、お茶の葉を出さない様に設けます。

     作り方は、急須本体に直接穴を開ける方法と、別に作た茶漉しを取り付ける方法が有ります。

     後者は、量産品に多い方法です。一般的には本体に穴を開けます。

     ここでは、この方法を行います。 更に

     そのまま穴を開ける方法と、本体を内側に、湾曲させてから、穴を開ける方法が有ります。

     今回はより簡単な方法、即ちそのまま穴をあける方法で、作ります。

    a) 穴を開ける。

     イ)の③で、輪郭を付けた線の、更に内側5mm程度(糊しろ部分)に、針で穴を開ける範囲の

     輪郭をとります。

    1) 穴を開ける道具(ドリルの刃、傘の骨、その他)で、穴を数多く開けます。(10個以上)

    2) 穴の並びは、同心円、放射状、渦巻き状、千鳥格子状、その他色々有ります。

    3) 接近し過ぎで、隣同士の穴が、繋がら無い様にします。

    4) 穴は、外側から開けます。本体内側にバリ(押し出された断面の土)が出来ますが、

      綺麗にする必要は有りません。

      むしろ、「バリ」が有った方が、茶の葉が上手く取れます。

 ハ) 注ぎ口を本体に取りつける。

    a) 注ぎ口及び、本体の取り付け部分に、針で刻みをつけます。

    b) 両取り付け部に、「ドベ」をたっぷり塗ります。

    c) 軽く押し当て仮止めします。

    d) 色々の方向から見て、納得いくまで調整して下さい。

     1) 注ぎ口が、左右対称になっているか。「ねじれ」は無いか。

     2) 取り付け高さは、良いか。

     3) その他、気になった所を直します。

    e) 本体内側に手を添えて、力を加えて、接着します。

    f) 接着面に、隙間が出た場合には、細い紐を作り、埋めていきます。

    g) 最後に、はみ出た「ドベ」を、筆や竹へらで、取り除きます。

    h) 注ぎ口の先端を、斜めに切る場合があります。

      この段階で、切り取っても良いですが、全てが完成した後で、全体のバランスを見て、

      切り取った方が、望ましいです。

      (但し、乾燥し過ぎると、土はもろくなり、綺麗に切れません。乾燥し過ぎない様に注意)

 以下次回に続きます。
      
      

     
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教程10-3 (急須)

2008-11-11 22:43:39 | 教程 (陶芸全般を学ぶ)
[急須を作る] の続きを述べます。

 前回まで、1kgの土で、上から急須本体、注ぎ口、取っ手と作り、最後の残った土で、蓋を作ります。

 急須本体に、蓋受けを付ける、付けないの方法が有ります。それによって蓋の形は変わります。

 イ) 蓋受けが有る場合

  ① 急須本体の口縁に、「L字型」の蓋受が有る場合は、「L型」の内側の径と、

    蓋の直径を合わせます。

    「ぴったり」作る事は難しいですので、やや蓋を大きく作り、乾燥後、蓋を削り、現物合わせで、

    大きさ合わせます。

  ② 作り方は、摘みを上にした状態で作る方法と、摘みを下にして作る方法が有ります。

  ③ 摘みをロクロ挽きで作る。削り出しで作る。更に好みの形を作り、接着する方法が有ります。

  ④ 更に 蓋の形は次の様な物が有ります。

   a) 蓋が山形に中央が盛り上がった形

    ・ 逆さに作る。

      小皿を作る様に作ります。摘みは削り出し、又は後付けに成ります。

      削り出す場合には、底を厚くし摘み部分の土を残します。

      後付けの場合には、底の厚みは5mm程度で十分です。

      山の高さも好みの形にします。「なだらかな山」「こんもりした山」等です。

    ・ 上向きに作る。

      やや丸型の形にし、摘み部分も、好みの形にロクロ挽きします。

      又乾燥後、蓋の内側を削り、肉を薄くします。

   b) 蓋の中央が平ら、又は凹む形、その他表面に、ロクロで模様を付ける。

     この場合、上向きに作ります。摘みもロクロ挽きが出来ます。

     ・ 上を平らにしながら、中央に土を集め、摘みを作ります。

       (又は、中心に土を残し、周りを下に押し、薄く作ります。)

        摘みは、確実に摘める形や、大きさにします。

       素焼までは問題なく、摘めても、釉薬を掛け、本焼きすると、手が滑り、摘めない場合が、

       割合多い物です。それ故、摘みの根元はやや細くし、指が引掛かる様に作ります。

     ・ 中央が凹んだ形にするには、以下の方法が有ります。

      1) 中央の肉厚を薄くする方法

      2) 蓋の縁をロクロを回転させながら、竹へらで持ち上げる方法

         好みの範囲を、持ち上げます。
         
 ロ) 蓋受けが無い場合

    ① 蓋の直径は、急須本体の口の径と同じ、又はそれよりも、少し大きく作ります。

    ② 蓋の下部(底)に、凸又は高台風の、滑り止めが必要に成ります。

      その外径は、本体の口の内径に合わせます。

      (この場合も、やや大きく作り、現物合わせで調整した方が良いでしょう)


 これで各パーツが出来ましたので、次回は組み立てに入ります。

 
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教程10-2 (急須)

2008-11-10 17:27:30 | 教程 (陶芸全般を学ぶ)
 前回の続きを述べます。

1kgの土を、ロクロに据えて、本体、注ぎ口、取っ手、蓋の順番に作っていきます。

  今回は、注ぎ口と、取っ手を作ります。

   (ティーポットなど、取っ手をロクロで作らない場合も有ります。)

 ロ) 注ぎ口を作る。

   本体を切り取った後、更に土殺しをし、注ぎ口を作ります。

 ① 本体に取り付ける際、取り付け部分を斜めに切り取ります。

   それ故、実際に取り付け寸法より、やや長め(8cm前後)に作ります。

 ② 注ぎ口の形も、色々有ります。

  a) 一般的には、円錐型に作り、下(取り付け部)はやや膨らませます。

   (注ぎ口が、湾曲した形の物も有ります。この場合は、真直ぐ引き上げてから、湾曲させますが、

   最初の方は、湾曲させない方が、良いでしょう。)

   ・ 蛇足ですが、更に水差しなど、注ぎ口が、極端に長く、湾曲しているも物も有ります。

     これはロクロで作らず、型(石膏等など)を使い、作ります。

  ③ 先端を細くし、形作ります。

    ・ 先端部は、肉厚を薄めに作る方が、水切れが良くなります。

     (実際、水切れの良い作品を作るのは、難しいです。良い方法は、確立して居ないのでは

     無いでしょうか。個人個人で対策を取っ手居ますが・・・)

    ・ 土瓶の様に、大きな物は、注ぎ口の穴径(内径)を大きくしますが、一般的には,

      8~10mm程度にします。

    ・ 先端部が、斜めに斬る場合には、組み立てる際に、切ります。

 ハ) 取っ手を作る

   取っ手の大きさは、極端に長かったり、短いと、使い難い物です。

   片手で持った場合、

   ・ 取っての先端が、握った小指より、短い、同じ、やや外に出るの3種類があります。

     急須の大きさ(重さ)や、好みによって決め手下さい。

   又、手に「しっくり」した太さにします。

   実際には、思ったようには出来ませんが、市販の(又は自宅の)急須を良く観察して、

   参考にして下さい。

   今まで何気なく、使い、見ていた物が、改めて観察すると、「なるほど」と

   感心させられます。

  ① 作り方は、取り付け部分を下にして作ります。

    筒状に土を挽き上げたら、形作りに入ります。

    (根元が細いので、振れに注意)

  ② 取り付け部分を、本体より細くし、手が滑らない様にします。

    先端はラッパ型や、やや丸めた型にします。


次回に続きます。



  

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教程10-1 (急須)

2008-11-07 22:34:06 | 教程 (陶芸全般を学ぶ)
 急須は、幾つかの部分(パーツ)を作り、組み立てて完成させます。

 そのパーツは、今までの教程で作った作品と同じ又は、その応用で作れます。

  急須本体: 小鉢又は中鉢    取っ手: 一輪差

  蓋   : 小皿        注ぎ口: 一輪差の応用

 尚 お茶(緑茶)を飲まない若い方も多いです。それ故、急須の替わりに、ティーポット(紅茶)や

   水差しを作る場合も有ります。

  (不要でも急須を作る事は、色々勉強に成りますので、作る事を勧めます。)

   急須の形は色々有ります。形、大きさ(何人分注ぐのか)を予め決めて置いてから、取り掛かります。

   又、作品全体を大きくし、土瓶を作る場合も有ります。(作り方は、大差有りません)

  初心者が急須を作るには、約5~6時間掛かります。それ故2~3回に分けて作る所も有ります。

 イ) 急須本体を作る。
 
   ① 教程2(小鉢を作る)の応用です。

     本体の大きさに拠って、小鉢より、やや大き目に作った方が良いでしょう。

   ② 小鉢(又は中鉢)を作ります。形は、胴をやや膨らませ、口をやや狭めます。

   ③ 蓋受けを作る。(この作業は、初めてです)

     蓋受けの形にも色々有ります。

    a)  一般的には、小鉢の口に「L字型」の凹みを付ける方法です。 

     1) 小鉢の縁をやや厚くします。(縁を上から、指で押さえると、縁のみを厚く出来ます)

     2) 厚くなった縁の半分を、竹ベラの四角い角で、下に落とし込みます。

        縁が外側に開かない様に、左手の指で外側を押さえます。

      尚 市販の茶漉し(大きさは、2~3mmおきに有ります)を口に入れて使用する場合、

       落とす深さを、やや深くします。(+1.5mm程度)

     3) 蓋受けの側面は、垂直又は上開きにし、蓋が取り易くします。

    (慣れた方は、竹へらでは無く、親指の爪で形作る事も、出来ます。)

   b) 縁を内側に折り曲げて、蓋を作る方法。

     1)  口縁の肉厚をやや薄くする。

      肉が厚いと、内側に折った場合、凸凹したり、皺が寄ったりします。

    2) 口縁を内側に水平になる位、折ります。

      折る量は、一般的には、1cm程度ですが、蓋受けを下の方に設けたい場合には、

      やや多くします。

    3) 折った量の半分程を、竹ベラ(爪)で下に折り、「クランク状」にして蓋受けを作ります。

    4) 蓋受けの最も内側が、綺麗な円になっていない場合、針で綺麗な円に切り取ります。

   c) 蓋受けを特に作らない方法も、有ります。

     この場合は、蓋の径が本体の口径と同じ、又は大きくします。


 続きは次回に述べます。
 
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教程9-2 (小花瓶又は一輪差)

2008-11-06 22:14:09 | 教程 (陶芸全般を学ぶ)
前回の続きを,お話します。

 前回言い忘れた事がありますので、補足説明致します。

 1) 作品を細くする方法で、3本指(親、人差し、中指)を使うと述べましたが、

   その使い方は、中指は折て第一関節を使い、他の指は、指先を使います。

   両手6本の指の間隔を、なるべく一定にする事が「コツ」です。

   (土がどこか1箇所から逃げない様にして下さい。)

 2) 径を細くすると、肉が厚くなり、そのまま続けると、撚れが発生し、皺が出来ると、述べました。

   そこで一度土を薄く延ばすのですが、内側に手が入ら無い場合、細い「柄コテ」を使います。

 ・ 使い方は、先ず「コテ」を水で濡らします。

   肘を固定した右手で、「コテ」を鷲掴みにし、垂直に立て、内側の壁に押し当てます。

   この場合「柄コテ」は動かさず、外側の左手のみ、下から上に力を入れ、肉を薄くします。

  3) 口の高さの狂いは、針又は弓で切取ります。

   その際、片手の親指と人差し指で丸を作り、口が振れ無い様に、口の真下を押さえて切ります。 

 ロ) 底を削る。 「シッタ」を使う。

   ・ 作品を伏せて、ロクロ上に安定的に置く事が出来無い場合、「シッタ」を使います。

    「シッタ」(湿台と書): 一般的には、高さが作品の首の長さより高い、ドーナツ型、

    又は、台形型をロクロ挽きし、素焼してから使います。繰り返し使うのに便利です。

    但し、高さ、径の異なる数種類の「シッタ」を、作って置く事を勧めます。

   ・ 生シッタ: 素焼せず、一度だけ使用する場合。 急に必要になった時便利です。

   ・ その他、有り合せの容器(プラスッチク製など)でも代用できます。

  尚 外「シッタ」: 口が細い場合に使う。 

    内「シッタ」: 口が凸凹で、安定的に伏せてロクロ上に置けない場合。

            その他、普通の器にも使います。 作品(器)の内側にセットします。

  ・ 素焼した「シッタ」の使い方。

   ① 十分水を吸わせてから使う(5分程度水に漬けておく)

   ② 「シッタ」をロクロの中心に置き、三方を止め土で固定する。

   ③ 止め土で、やや太めのドーナツ状に輪を作り、「シッタ」に被せるように載せ、

     真上を軽く叩き、密着させる。

   ④ 竹へら(切へら)で真上を水平に、内側を綺麗な円に仕上げます。

     更に内側の角を、45度程度の角度で、約5mm切り取ります。

   ⑤ 作品の口を、この内側に入れ、作品がロクロの中心に来るように調整します。

     「コツ」は、底が水平にする事です。斜めの場合、狂っています。

   ⑥ 止め土3点を紐状にし、45度の角と作品の間に入れ、その外側のドーナツ状の土で

     3点の紐状を包み込む様にして、作品を固定します。

   ⑦ 後は、いつもの様に、[カンナ]で削って仕上げて下さい。
  

   

   

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教程9-1 (小花瓶、一輪差)

2008-11-05 23:02:58 | 教程 (陶芸全般を学ぶ)
前回までの教程では、作品を開いて(直径を大きくする)行く方法でしたが、今回は、

細くして作品を作る方法を述べます。

又 一輪差の底削りの際、「シッタ」を使います。その使い方も述べます。

 ロクロは常に、遠心力が働いているので、径を大きくする事は容易ですが、細くするには、

 慣れないと、それなりに難しいです。 今回は、小さな作品から取り掛かります。

 イ) 小花瓶(又は一輪差)を作る。

   1kgの土で、2個の作品を作ります。土を半分づつ使っても良いし、大小を付けても良いです。

   但し、初めての方は、土を300g以下にはしない方が良いでしょう。

   最初から土を分ける方法と、上から必要量を土取りする方法が有ります。

 ① 今回は、土を分ける方法で行います。

 ② 土練りした土を、好きな分量で2つに分けます。

 ③ 1個目は、土の量の多い方の土を使います。(作り易い為)

 ④ 土殺し、中心に穴を掘る、底を作る、土を上に延ばす事は、いつもの様に行います。

 ⑤ 形を作る。

    前回まで、作品の形を作る際には、口縁から作ると良いと述べて来ました。

   これは、口の大きさが、片手(右手)が十分入る程度以上の場合に、当てはまります。

 ・ 今回、一輪差の様に、手が入らない程細い場合には、底の方から作り、最後に首を作ります。

  a) 土を十分延ばす。

    最初の方は500gの土で、内側に手が入る径で10cm延びれば、上出来です。

    上達するに従い土は、高く延びますが、15cm前後が限度だと思います。

  b) 右手(内側の手)を外に押し出す様にして、底のほうから、ふくらみを持たせます。

    その際左手を右手より上にし、内側から押されたら、外側に逃げます。

    尚 いつもの様に、高台脇は急に拡げないで下さい。

  c) 次に首を細くしていきます。

    細くする方法は、幾つかありますが、ここでは3つの方法を述べます。

   1) 径が太い場合: 両手の肘を体に付け、抱え込み、掌で径を細めます。

   2) やや細くなったら: 両手の3本の指(親、人差し、中指)を向かい合わせ、細くする。

   3) 更に細くするには: 両手の2本の指(親、人差し指)を使い細くする。

   ・ 何れの方法も、手は下から上に移動させます。そして途中で手を離さず、最上部で離します。

   ・ 土を極端に薄くすると、径を細く出来なくなります。やや肉厚の方が、細くなり易いです。

   ・ 径を細くすると、肉厚に成ります。肉が厚すぎると、土が撚れて、皺になってしまいます。

     そこで、土を上に延ばし、肉を薄くします。これを繰り返します。

     それ故、作品の背はどんどん高くなります。(+2~3cm位高くなる。)

   ・ 首が細くなると、振れ高さも狂います。振れ止め後、高さの狂いを針で切り取ります。

  d) 口を作る。

    形が出来てきたら、口作りに成ります。

    その前に、作品の形に不満の場合、径を小さい方に修正するのは、外側から出来ますが、

    径を大きくするには、柄コテを使います。右手の肘を体に付け固定し、コテを鷲掴みします。

    手首をひねりながら、コテを内側から押し出す様にして、膨らませます。

    左手は、外側から、軽く触ります。

   ・ 口は好みの形に仕上げ、皮で拭きます。

   ・ 最後に柄の付いたスッポンジで、内側底の水を拭き取ります。

以下次回に続きます。
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教程7,8 (大皿その1、2)

2008-11-04 21:27:27 | 教程 (陶芸全般を学ぶ)
大皿の作り方は、10/14~16日の「本ブログ」で詳しく述べましたので、参考にして下さい。

 繰り返しに成りますが、注意点のみを、お話したいと思います。

尚 大皿その1と、その2は作り方の違いです。その1は、底を拳で叩き締め、その2は、

   底をタタラ(板状)にし、ドーナツ状の土の輪を、載せロクロ挽きする方法です。

 イ) 「ヘタリ」易い。

   俗に座ると言う現象です。(傘がお猪口に成る様な状態です) 原因は

   ① 底の面積が狭く、張り出しが多き過ぎる。

   ② 平らにし過ぎ。(下の土が、上の土を支え切れない程、平らにしてしまった。)

    ・ 限界がどの位なのかは、経験して覚えて下さい。

   ③ 形作る順序が間違っていた。一般的に下部を急に拡げると、作品は振れます。

    ・ 安定的に形を作りたいなら、口縁を所定の大きさに拡げてから、胴、腰、最後に

      下部(高台脇)を拡げ、直ぐにロクロ作業を終わらせます。

   ④ 時間が掛かり過ぎ、又は作品を「いじり」過ぎ。

    ・ 時間を掛け過ぎると、水が廻り、土が軟らかくなり、腰(粘り)が無くなってきます。

    ・ 「いじり」過ぎも同様に、腰が無くなります。

      特に形が決まらずに、色々直していると、自分で感じている以上の時間が、掛っています。

      それ故、作陶前の準備(大きさ、形など)が大切です。

      又、早めにロクロ作業を終えてください。

   ⑤ 乾燥させてから、修正する。

    ・ 作品の一部が落ちてきたら、ロクロを止め、それ以上触らない事です。

    ・ 直そうとすればする程、逆に悪くなります。

     それ故、ロクロをゆっくり回転させながら、ドライヤーなどで乾燥させます。

    ・ 少し(3~5分)乾燥させ、ロクロを遅くして、皿の下からすくい上げる様にして直します。

     (土は乾燥しているので、手が滑りません、引っ掛け無い様に注意)

 ロ) 大皿制作でもう一つの失敗は、底割れが起こり易い事です。

  ・ 対策は、底の土を十分締める事です。

    乾燥は、そのままの状態なら、口縁から中心に向かって進みます。

    乾燥は、周辺の土を引っ張り合いながら、縮みます。そして一番乾燥が遅い底の部分が、

    股裂きの様に、縦に亀裂が入ります。

  ・ それ故、底を作る際、拳で叩き締めるか、叩き棒等で叩き締めて下さい。


    
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教程6 (大鉢又は菓子鉢)

2008-11-03 22:19:17 | 教程 (陶芸全般を学ぶ)
大鉢と言うと、小さくとも直径30cm以上、普通40~50cmの大きさを指しますが、

この大きさは、一般家庭用の食器としては、大き過ぎ実用的では無く、展覧会用や、

 飾り(置物)物として、使用する事が多いです。

 当教室「明窓窯」では、粘土1kgで1個作れる大きさを、大鉢と呼ぶことにしています。

 1kgの土で、直径16~18cm、高さ6~8程度の鉢が出来ます。

 ちなみに、2個作れば中鉢、3個作れば小鉢、4個以上で豆鉢と呼んでいます。

 大鉢と菓子鉢との違いは、菓子鉢の方が、やや背が低く、場合に拠っては、透かし彫りや、

 飾り物を貼り付けたり、手鉢等の細工をする事も多いです。

 又 使用目的の違いで、形を変える事になります。

 イ) 大鉢(菓子鉢)を作る。

   前回までは、1kgの1/3で作る作品、2/3で作る作品と、少しずつ使う土の量を、

   増やして来ましたが、いよいよ、1kgの土を使った作品を作ります。

  a)  土練り、土殺し、土を上に延ばす。

   作業は、前回までと同じですが、土の量が増えています。

  b)  土殺し: 1kgの土全部を殺します。量が増えると、以前より力が必要です。

     しっかり両手の肘を体(太もも)に付け、土の下の方は、小指の付け根、中上段は、

    親指の付け根に力を入れて、延べ上げを行います。

   延べ下げは、土の上部を右手で抱え込み、左前方に倒し、渦を巻く様にして、土を下げます。

   これを数度行います(回数は3回程度が良いのですが、初心者はもっと多くなります)

  c) 土を上に延ばす。 1kgの土はどの位まで、上に伸びるのか?

   ・ 初心者では: 口径が、右手が入る程度の太さの筒状で、13~15cm程度です。

     (勿論 土の種類、土の硬さによって(硬い程伸びる)、伸びる高さは、かわります。)

   ・ この大きさでは、大鉢が小さくなってしまいます。少なくとも18cmは必要です。

     たぶん指導者の助けがなければ、無理だと思います。

     尚 上達するに従い、少しずつ高く延びます。

   ・ 私の教室では、20cmまで伸びる様に、指導しています。

     熟練者では: 23cm前後まで伸びます。ここまで延ばすには、当然口の高さに、

     狂いが無く、振ら付きもない状態です。(狂いが有ると口を針や弓で切る事になります)

  d) 形を作る。

   ・ 土が延びたら、口縁を拡げます。前にも述べましたが、作品は上(口)から作って下さい。

   ・ 次に、胴、腰の部分、最後に高台脇を形作ります。

  e) ロクロ挽きの仕上げ。

     何時もの様に、皮で口を拭き、底の内側の水は、スッポンジで取り、竹へらで、

    底の外側の余分な土を取った後、糸で底を切り離します。

   ・ 菓子鉢など、形を変たい場合は、この段階で行います。

   ・ 透かし彫りは、底削り後に、加工します。

    


   
    
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教程5 (丼、蓋付き)

2008-11-02 22:30:43 | 教程 (陶芸全般を学ぶ)
今回の教程は、蓋付きの丼を作ります。

 カツ丼や、天丼などに使う丼で、蓋の大きさも、正確に作らなくても、どこかで合う物です。

 粘土1kgを、丼本体に600~650g、残りで蓋を作ります。

 ・ 1kgの土を全てロクロ上に載せ、土殺しをしてから、上の部分約2/3の量で本体を作り、

   残りの下の土で蓋を作る。教程1~4と同じやり方で作る。

 ・ 最初から、本体部の土と、蓋の部分の土を分けて置く方法が有ります。

  この場合の方が、土の量を正確に測れます。

 イ) 丼本体を作る。

   前回までの作品に対して、約2倍の土を使って、1個の作品を作る事に成ります。

   それ故、土の延ばす高さも、1.5~2倍程度高く伸ばす必要が有ります。

   (土を高く延ばす事は、前回までより、高度な作業と成り、慎重に土を延ばして下さい)

  ① 土を出来るだけ、上に延ばしたら形に入ります。

  ② 形は、径を細くして高さを持つ、径を太くして高さを押さえるか、又その中間の形にするか、

    形作る前に決めておきます。

  ③ 全体を、お椀型に作ります。(高台脇、腰の部分を丸く膨らませる)

  ④ 蓋受けを作ります。

    縁から下1.5~2.5cmの所の土を、外側に断面が、三日月型になる様に形作ります。

    当然、お椀型と三日月型との境は、「くの字」に段差が出来ます。
 
  ⑤ 三日月の中心(半分の位置)当たりに、蓋が載る様にします。

    それ故、この寸法を測って置きます。(ロクロ挽き直後に測ります。)

 ロ) 蓋を作る。

  ① 蓋は、皿の要領で作ります。即ち、蓋の内側を上にして作ります。

  ② 形も、丸い型、「こん盛り」型や、低い山型など、色々考えられます。

  ③ 蓋には、当然「つまみ」が必要です。「つまみ」の形状は、「バチ高台風」で、

    「つまみ」易い様に、蓋をした状態で、最上部が外に開いた形に成ります。

    「つまみ」も、1~2cmの高さが必要です。

  ④ 「つまみ」の高さが、低い場合には、底削りで削り出します。

    当然、蓋を作り出す前に、底にそれだけの厚みの土を、残して置かなければ成りません。

  ⑤ 「つまみ」が高い場合には、付け高台にします。

   a) ロクロ上で蓋の外側を好みの形に削ります。厚みは5mm程度。

   b) そのままの状態で、中心に3~4cmの円を描き、更にその内側2cm程度の円を書きます。

     そのドーナツ状の二重丸に、針で刻みを入れます。

   c)  別の土(底削りで削りだした土でよい)で、径が3~4程度のドーナツを作ります。

     この土の片側の面に、針で刻みを入れます。

   d) 蓋とドーナツの両方に、「ドベ」を塗り、刷り込む様に接着します。

   e) ロクロを回転させて、針でドーナツの内、外、上を綺麗に切り取ります。

   f) このドーナツ部分を、ロクロ挽きし、形に仕上げます。

     布切れなどを使うと、水切れも無く、作業し易いです。

   g)  この「つまみ」部分を乾燥させます。

 ハ) 最後に丼に、蓋をして、形、大きさ、「つまみ」の状態、蓋の「ガタツキ」等を、確認します。
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