わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素朴な疑問 123 釉薬の性質を変えるには5?

2015-04-24 21:56:58 | 素朴な疑問
8) 市販の石灰系透明釉を他の釉に変化させる。

 石灰系透明釉は、安価でごく一般的に使用されている釉です。ご自分でも調合できますし、市販の

 物が、各メーカーから出ています。

 透明釉には一号釉(1280℃=SK-9)と三号釉(1230=SK-7)が著名な種類で、光沢のある

 綺麗な透明に熔けます。貫入が無い様に調合され、下絵付けをした作品に使われる事が多いです。

 ① 石灰三号釉をベースに他の基礎釉を作る。

   市販の釉も年々価格が上昇しています。出来れば一番安価である石灰系の透明釉を利用して、

   自分で調合して、別の釉に仕立て上げればより経済的であり、ご自分の釉を作り出す事も

   できます。 尚、以下の配合は外割りです。即ち透明釉100gに他の材料を指定の割合

   (グラム=g)を添加する事です。

  ) 灰釉風の透明釉をつくる。

    灰釉(かいゆ、はいゆ)は、民芸風の雰囲気を作りだす効果があります。石灰系の透明釉

    より、雅味(おもむき)のある色になります。即ち、灰には主に石灰分やシリカ分が含まれ

    ます。その他に、各種のアルカリ(マグネシウム、ナトリウム、カリウム)や、微量な鉄分

    マンガン、リン酸、炭酸カルシウムなどの不純物が含まれています。その為、淡い色の

    付いた透明釉になります。酸化焼成の場合は黄色味を帯、還元焼成では青味が出易いです。

    当然、灰の種類(天然又は合成の松灰、栗皮灰、樫灰、くぬぎ灰、土灰など)によって

    若干の色の差が出ます。 石灰透明釉:各種灰=100:40

    但し、藁(わら)灰の場合には、透明に成らず乳濁し易いです。

  ) 白マット釉を作る。

    マグネサイトを添加し、結晶作用によってマット化します。

    石灰透明釉:マグネサイト=100:15

  ) カオリンマット釉を作る。

    粘土質のカオリンを添加し、熔け不足気味の白いマット釉を作ります。

    石灰透明釉:カオリン=100:15

  ) 乳濁釉を作る。

    マグネサイトを添加し、結晶作用によって乳濁化します。

    マグネサイトは5%程度を添加すると、乳濁が始まります。但し添加量が増えると、マット

    化してしまいます。  石灰透明釉:マグネサイト=100:5

  ) 黒釉、黒マット、飴釉、そば釉、黒そば釉薬を作る。

    主に鉄分である弁柄(酸化第二鉄)を添加します。釉の種類によってその割合や、他の材料

    を添加します。

   a) 黒釉(黒天目): 酸化焼成では、光沢のある真っ黒い釉に焼き上がります。

     還元焼成では、茶色風になり易いです。釉を薄く掛けた場合も、茶色風になります。

     尚、黒さを出すには、黒色顔料を添加したり、マンガンを入れると良いと言われています

     石灰透明釉:弁柄=100:10

      注: 黒色顔料は、鉄分、マンガン、コバルト等の着色金属から出来た物で、化学的に

       安定した材料ですので、釉に混ぜると黒が増します。

   b) 黒マット釉:黒釉に20%のナグネサイトを添加し、マット釉に変化させます。

     石灰透明釉:弁柄:マグネサイト=100:10:20

   c) 飴(アメ)釉: 素地の色により、明るい茶色から黒っぽい茶色になります。

     石灰透明釉:弁柄=100:7

   d) そば釉: 飴釉の中に金色の結晶である、斑点が表れる釉です。厚く掛けると斑点の結晶

     は大きくなります。

     石灰透明釉:弁柄:マグネサイト=100:7:5

   e) 黒そば釉: 黒釉に金色の結晶である、斑点が表れる釉です。

     石灰透明釉:弁柄:マグネサイト=100:10:5

以下次回に続きます。
   
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