わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
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釉の話 30 (アベンチュリン釉1)

2010-04-03 22:31:38 | 釉薬の調合と釉を掛ける
結晶釉は、釉の内部又は、表面に、大きな結晶があり、肉眼でも見える大きさです。

結晶釉の仲間に、アベンチュリン釉が有ります。

・ アベンチュリンとは、インド翡翠(ひすい)とも言われ、緑色をした有色水晶で、宝石にも成ります。

  水晶の中に、緑色の雲母が、含まれている為に、緑色の水晶となっていまが、緑色、赤色以外にも、

  オレンジや、青色などがあります。 ここでは、その名前を冠した、釉薬の話をします。

1) アベンチュリン釉
      
   砂金石釉や、金梨子地(きんなしじ)釉とも言われ、透明なガラスに、薄い板状の結晶や、

   金色の細かい結晶が、析出し、ピカピカと輝く、美しい釉です。

 ① 釉中に、酸化鉄、酸化銅、酸化クロム、酸化チタンなどの、金属酸化物を入れ、高温で

   飽和するまで、溶かし込み、冷却によって、細かい結晶を、析出させます。

 ② 釉の厚みは2mmを越えない時が、最も良いと言われています。

   酸化焔で、早く焼成し、自然冷却で、窯を冷やします。ゆっくり冷やすと、結晶が出過ぎて、

   釉の表面が、粗くなり、綺麗な色が出ません。

 ③ 基礎に成る釉は、鉛釉で、熔融温度によっては、酸化鉄が、6%以上溶け込みます。

   現在では、無鉛の釉も有ります。

   素地の種類は、鉄を含む物が、適しますが、含まなくても、なんら問題ありません。

 ④ アベンチュリン釉については、以下の事が、言えます。

  ) 塩基成分はソーダ(ナトリウム)が、一番有効です。その量が、結晶の成長や、大きさに、

     大きな影響を、与えます。カリは効果が少ないです。

  ) リチュウムは、微細な結晶を作るのに、向いているが、一般に、結晶の生成を、阻害します。

     粒子が微細過ぎる場合、結晶が見えず、単なる色釉と成ります。

  ) 酸化鉛は、釉に艶を与えますが、結晶が出ずらいです。

     石灰は、0.4モル程度、入れる事が可能です。(但し、熔融温度によって、変化します。)

  ) アルミナは、釉が流れるのを、防ぎますが、0.2モル程度添加可能です。

     酸化鉄は、0.2~0.85モルまで、入れる事が出来ます。

     鉄を、酸化クロムに、置き換える事も、出来ます。

  ) 珪酸は、希望の焼成温度に合わせて、量を調整します。

   ・ 珪石分よりも、アルミナ分を増した方が、結晶の出方は、安定します。

以下次回に続きます。

 アベンチュリン釉
   
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