わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

続 粘土について2(陶芸に適する土)

2018-01-09 10:51:22 | 粘土について
1) 粘土類の出来た訳。(以上が前回の話です。)

2) 陶芸に適する土とは。

 粘土質であればどんな物でも陶芸に適している訳ではありません。 

 但し、どんな土(畑の土など)でも焼き締まり、使う事が可能と言う人もいます。

 その場合単味では無理だが、他の素地を混入させる事で陶芸用にも利用できるそう

 です。

 ここではそのような観点からの土ではなく、一般的な使い方が可能の土のみを取り

 上げます。 

 以下、その条件を述べます。

 ① 成形のし易い土である事。

  土の伸び(延び)が良好な事と、腰がある物質です。一般にこの様な状態を可塑性

  があると呼びます。作品にする為には必要な事柄です。伸びる事は粘り気のある

  物質であり、粘土質と呼ばれています。粘土質に成る為には、10μ以下の細かさで

  ある事の様ですが、土が粘る為には、粒子が5μ(マイクロ)以下の細かさの物を

  多く含む、必要があるとも言われています。

   注: 1μ = 1/1,000 mm

  尚、粘りの少なく成形し難い土も、木節土を数10%を混ぜて改良できます。

  逆に強過ぎる場合にも成形がし難くなります。その場合には、シャモット(焼粉)を

  適宜まぜ改善させます。

 ② 成形後の乾燥で強く固まり、強度が増す事です。更に乾燥による「ヒビ割れや亀裂」

  が発生し難い事です。当然成形方法や乾燥の仕方によって、「ヒビや亀裂」が入る事

  もあります。

  水分が含まれている物質は、水分が取り除かれると必ず収縮しますが、その際強度が

  増す物質である事が大切です。

 ③ 焼き締まり耐火度がある事。

  ある温度範囲の高温で焼成した場合、素地の乾燥時よりも更に収縮し、強度が増す

  物質である事。楽焼などの低い温度で焼成する場合と、本焼きと呼ばれる約1,200℃

  以上で焼く焼き物があります。高い温度で焼成した場合、素地本体が熔け形が崩れる

  様な土(特に鉄分を多く含む土)は不向きです。即ち一定以上の温度で焼成可能な土

  です。更に、焼成温度範囲が広い事も大切な要素です。窯を焚く際窯全体の温度を

  ある温度で一定に保つ事は意外と難しいです。即ち窯の容積が大きい程、窯中の温度

  は「バラツキ」ます。或る場所では十分に焼けたが、他の場所では焼きの過不足が生

  じる事は、窯焚作業が難しくなります。焼ける温度範囲が広い程、苦労なく焼成で

  きる事に成ります。素地を焼成する事で、ガラス質を生成させます。

  そのガラス質の量によって、素地が強固になり腰(焼腰)の強い素地に成ります。

 ④ 焼成収縮率(素地から焼成までの収縮率)が12~18%程度の土である事。

  一般には上記の範囲内に収まりますが、備前土の様に20%以上の土もあります。

  焼成収縮は最高温度と、寝らし(一定温度に保つ)時間に左右されます。

  大きく収縮する事は素地の密度が増し、強度的に強くなり、水の浸透を少なくする事に

  成ります。磁土では、形が崩れずに熔化する物でなければ成りません。

  収縮率は他の粘土を混入させる事で、調整可能ですので、使用に耐える可能性があり

  ます。尚、焼き締まりの強さや、収縮率は粘土の粒子の細かさにも比例します。

 ⑤ 焼成後の素地の色艶が美しい土である事。更に釉との相性が良い事も重要です。

  色艶が美しい為には、素地に不純物を含まない(出来るだけ少なくする)事です。

  陶芸用の土の主な成分は、珪酸(シリカ)、アルミナの他、少量の石灰(CaO)、

  マグネシア(MgO)と酸化鉄(FeO,Fe2O3)と水分などを含む物質に限られます。

  尚、素地に有害な物質は、硫化鉄、石膏、多量の砂、その他有機物等がありますが、

  有機物は制作時には邪魔に成りますが、素焼きをすればなくなります。

3) 素地の粗さと色について。

以下次回に続きます。     
   
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