わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素朴な疑問 198 素地(粘土)に異物を入れる行為とは1?

2015-11-28 17:13:06 | 素朴な疑問
焼き物に使う素地(特に粘土)は、基本的には、掘り出した天然の土を、細かく砕き、篩(ふるい)

で粒子の細かさを揃えたり、水簸(すいひ)等で、不純物を除去する精製を施し、そのままの状態で

使いました。なるべく異物の混入が無い様にします。

現在では、各地の粘土を手に入れる事が比較的容易に成りましたので、色や性質、風合いの異なる

粘土同士をブレンドし、その人独自の素地を作り出している方も多いです。

この場合は、粘土同士ですので、必ずしも異物を入れた事には成りません。

異物の入った粘土と言えば、木節粘土が代表的です。樹木や葉などの有機物や腐食物を含んだ可塑

性が大きい粘土で、亜炭層等にはさまれ、層状に産出する粘土です。木の節の様に見える事から

名前が付いています。普通黒褐色ですが、中には白い白木節も存在します。

又、蛙目(がいろめ)粘土は、粗い粒子の石英を含むカオリン質の粘土で、石英が蛙の目玉の様に

見える事から、名が付いたと言われています。基本的には異物が無い方が、作業はし易いです。

1) 素地(坏土=はいど)に異物を混入させる方法は、縄文土器にも見られる行為です。

  目的は、素地の収縮を少なくし、「割れやひび」の発生を抑える為で、実用に迫られて行われて

  いました。

 ① 素地に山砂や川砂を混入させる。縄文土器では20~30%程度の砂が入れられています。

  粘土の産出する付近で、見付ける事が出来たはずです。

  現在のシャモット(焼粉)の働きと同じです。砂を入れる事で、乾燥時や焼成時の収縮率を

  少なくする事が出来、乾燥や焼成時の「ひびや割れ」を防ぎます。

 ② 素地に植物繊維を混ぜ込む。素地にはその土特有の縮み率が存在します。しかし、大きな

  作品程、縮む量は多くなり、大きく縮みます。特に制作直後が一番縮み(乾燥縮み)、次第に

  少なくなりますが、焼成完了で縮みは終わりにます(焼成縮み)。植物の茎や葉などの繊維質を

  適度の大きさに切断し、粘土に混入させています。今ではほとんど見る事も無くなりましたが、

  以前荒壁の土に藁(わら)を切断した物が混ぜられていました。これも「ひびや割れ」を防ぐ

  方法です。焼き物では、焼成してしまいますので、有機物は燃焼し無くなってしまいますから、

  害を与える事は少ないです。但し、土器程度の温度では、燃え尽きた部分が空洞になり、逆に

  強度が落ちるこの恐れがあります。

 ③ 現在陶芸で異物を入れる行為には、「はぜ石」と呼ばれる長石粒を入れる事があります。

  これは、古信楽土と同じ効果をもたらす為に行います。即ち、荒々しく力強く、見た目やゴツゴツ

  した肌触りを演出する方法です。「はぜ石」は陶芸材料店で、容易に入手できます。

2) 素地に入れる異物の種類。

 ① 顔料を入れる。(色土を作る)

  ) 粘土自体を着色する場合、顔料を入れる事が多いです。顔料の素材は主に酸化金属で、

   鉄、銅、マンガン、チタン、コバルト、クロム等ですが、その種類によって添加量が異なります

   数%~10%程度の場合が多いです。濃い色にしたい場合には、多目に入れます。

   尚、多く入れ過ぎると、「ボソボソ」して可塑性が悪くなります。又、素焼き程度の温度では

   発色せず、1200℃以上でないと、綺麗な色が出ない金属もあります。当然ですが、色白の

   素地の方が綺麗な色が出ます。

  ) 市販の練り込み用の顔料を使う。

   ご自分で酸化金属を調合するのではなく、市販品の顔料を使うのが一般的です。色数も豊富に

   存在します。二色の色を混ぜ合わせ、ある程度、好みの色に調節できる利点があります。

   100g程度の小袋から、購入できます。尚、この顔料は、化粧土の中にも入れる事ができます。

 ② 海砂を入れる。

以下次回に続きます。

 
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