わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

化粧土と色土10 調合と使い方1

2013-10-15 16:48:45 | 陶芸入門(初級、中級編)

1) 化粧土を自ら作る際の調合方法。

 ① 複数の原料を水と共に良く攪拌する。

  ) 一般に釉と異なり、乳鉢やポットミルで細かく擦る必要はありません。

     逆に粒子を細かくすると表面積が増え、水分を多く抱え込み、乾燥収縮を大きくする事に成り

     素地との「剥がれ」の原因になります。

     ・ 但し、後日述べる色化粧土を作る際には、顔料を細かく擦る事により、色の斑(むら)を

       無くします。

   ) 粉末状の原料に水を加えて、良く攪拌し篩(ふるい)に通す。

      水の量によって、化粧土の固さに差が出ます。使う方法によって濃度を調整する必要が

      あります。 更に、100番程度の篩に通して、塊(だま)が無い様にします。

 ② 添加剤を加える。

    理想的な化粧土の濃度は、水分が少ないにも拘わらず、水っぽく流動性を持つ状態です。

    その為には、「水ガラス」等の解膠(かいこう)剤を添加する事です。

   ) 解膠剤とは、鋳込み成形の際、土を泥漿(でいしょう)状態にする為の添加剤です。

     主に水ガラスと呼ばれる、珪酸ソーダ(Na2SiO3)が一般的です。(市販されています)

   ) 解膠剤の使い方。

     a) 化粧土の原料に、少量の水を加え固めの化粧土を作ります。

     b)  珪酸ソーダは液体ですから、1滴づつ添加し攪拌しながら軟らかさを確認します。

     c)  或る量に達した時、突然スルスルとした流動性を持つ様になります。ここが適量です。

     d) その他の解膠剤に、炭酸ソーダ(NaO2CO3)がありますが、珪酸ソーダと組み合わせて

        使う事が多いです。(珪酸ソーダ:炭酸ソーダ= 3:1 が一般的)

   ) 解膠剤使用の利点。

     a) 化粧土の伸びが良い為、刷毛(はけ)塗りの際、刷毛の跡が残らない。

        但し、刷毛目の装飾には向きません。

     b) 均一な厚みの化粧土を塗る事が出来る。

        一度塗りで、十分厚みのある化粧土を着ける事が出来ます。

     c) 水分が少ない為、乾燥収縮が少なく、「剥離」や「ひび割れ」の恐れが少ない。

     d) 粉引(こひき)の様に、作品を泥漿(でいしょう)に漬けても、水分の吸収量が少なく、

       作品が壊れる恐れが少なくなります。

     e) イッチン(スポイト掛け、筒描き)技法の際、化粧土に流動性が或る為、描き易いです。

   ) 過度の流動性を抑えるには、食酢を添加する。

      解膠剤と反対の働きをする物質を凝膠(ぎょうこう)剤といいます。

      一般的には食酢が使われます。一滴づつ添加する事で、流動性が失われて行きます。

      固く成り過ぎた場合には、解膠剤を添加しますが、繰り返すとゼラチン状に成り、使えなく

      なりますので、少ない回数で調合を終わる様にします。

   ) 解膠剤が通用しない場合。

      赤や黒化粧土の様に、鉄分を多く含む濃い色の化粧土では、解膠剤を加えても機能しない

      場合があります。 白化粧土や金属顔料による色化粧に使う事です。

2) 化粧土の使い方。      

以下次回に続きます。    

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