わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

轆轤の歴史 2

2010-05-14 22:44:44 | 陶芸四方山話 (民藝、盆栽鉢、その他)
前回に続き、轆轤の歴史について、お話いたします。

8) 助手が回す轆轤

 ① 作り手と、助手が向かい合って座り、蹴轆轤の下段の円板を、助手に回させて、成形します。

   以前に中国で、使われていた轆轤です。

   (作り手の横に立ち、助手が足で蹴るスタイルも、有りました。)

   又、助手が寝転び、両足を使って、下段の円板を、回転させる轆轤が、我が国で今でも

   使われています。(以前、テレビで、大物を作っている光景を、見て知りました。)

 ② 轆轤の支柱を包む筒に、ベルトを掛け、このベルトを回転させる為の、プーリー(回転輪)を

  取り付け、このプーリーを回す取っ手を、助手が手で回す構造です。

 ・ 作り手と、回転させる物が、別ですので、息が合った者同士でなかれば、なりません。

9) 轆轤作業は男の仕事でした。

   先史時代より、土器類の製造は、女性の仕事でした。(これは、全世界に共通の様です。)

   大きな作品などは、作品が回転するのでは無く、作り手が、粘土を載せた、台の回りを回って、

   作品を作っていました。

 ・ 現在では、可変速の電動轆轤が、一般的ですので、労力は、さほど必要としませんが、

   手や足で回す轆轤では、大変な力仕事で、男性が作り手と成ります。

 ① 轆轤は重い必要がある事。

  ) 轆轤が、一定速度に回転する為には、轆轤の円板が、重い方が良いです。

  ) 直ぐに、止まらず、回り続ける為にも、重い方が向いています。

     重くする為に、円板の厚みを厚くする、必要が有りました。

  ) 現在では、「ボールベアリング」の様に、支柱との抵抗が少ない、軸受けが有りますが、

     当時の軸受けは、動物の脂などを塗って、抵抗を抑えていますが、それでも、

     運動エネルギーは、かなりの無駄となりました。

   その為、ひ弱な女性では、中々使い難い物と、なっています。

10) 轆轤の回転方向

   回転方向は、欧米では、左(反時計)回転が、一般的です。

   回転方向が違うと、手の使い方が、全て逆に成ります。即ち右回転では、器の内側は右手で、

   外側は、左手を使いますが、回転方向が反対に成ると、手は反対に成ります。
   
 ① 日本では、古来からの、陶芸産地は、ほとんど右回転ですが、丹波では、左回転が用いられ、

  朝鮮から伝来した有田、萩などでは、右回転である一方、九州の上野、小石原などの産地では

  左回転が用いられています。

 ② 回転方法は、慣れの問題です、人によっては、左右の回転を、使い分けている方も、いますが、

   一般的には、一方向のみを、習得すれば、十分です。

11) 電動轆轤

   電動轆轤は、芯もきちんと出ており、回転も可変速で、左右好みの方向で、回転でき、

   回転も持続するので、力も要らず、女性でも、取り扱いが、容易になりました。

12) 機械轆轤

   轆轤円板上に、皿や鉢の形をした、石膏の型を置き、そこに、粘土をかぶせて回転させ、

   上からコテ(鏝)を押しあてて、成形します。別名ハンドルとも呼ばれ、簡単な形の物は、

   ある程度の、量産が可能です。大正時代に作られました。

   小さな皿などは、コテの替りに、握った手で土をグッと押し込み、土に圧を加え、形を造ります。

以上で轆轤の話を、終わります。

次回より、茶道具の話を、する予定です。
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