わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

抹茶々碗 (瀬戸黒)

2010-05-06 21:18:24 | お茶と「茶の湯」と茶道具(茶陶)
美濃焼きの、瀬戸黒と黄瀬戸の茶碗に付いて、お話します。

1) 瀬戸黒(瀬戸黒茶碗の略称)は、黒釉(鬼板釉)だけの、無地の茶碗で、美濃の大萱

   (岐阜県可児市久々利大萱)で、桃山時代に、作られた物で、優れた名品があります。

   この黒釉を、別名天正黒、又は、引き出し黒と言います。

   桃山時代の天正年間(1573~1593年)に、瀬戸地方の優秀な陶工が、美濃地方に移り住み、

   良い陶土と、良好な環境の元、茶の湯の流行に乗り、桃山陶器が発展します。

   その先駆的な物が、瀬戸黒だと、言われています。

 ① 形は、切立の半筒で、底は平坦、高台は極めて低く、形があると、判る程度です。

  ・ 切立とは、高台脇から腰、胴、口造りまでの形が、ほぼ垂直に切り立っている形状で、

    真横からは、ほぼ四角形に見えます。場合に拠っては、口径より高台脇の径が、大きい場合も

    有ります。

    又、高台脇から口にかけて、やや外側に、湾曲している形も、有ります。

  ・ 口造りは、やや肉厚で、山道と言う、高低差が付いています。

  ・ 桃山時代の瀬戸黒茶碗は、利休好みの、侘び茶碗ですが、豪快な気風が、感じらる一品です。 

    径:11.2  高さ:7.5  高台径:5.0cm

 ② 楽茶碗と同様に、焼成中の窯から、作品を鉄の鋏(はさみ)や、鉤(かぎ)で引き出し、

   急冷すると、黒く発色します。それ故、鋏痕が付いています。

   尚、自然に冷却させると、褐色や柿色に成ります。

2) 現代の瀬戸黒

 ① 荒川豊蔵は、志野と瀬戸黒の再興などにより、重要無形文化財保持者(人間国宝)に、

   認定されました。又、加藤唐九郎や、美濃在住の、加藤孝造氏などが、瀬戸黒を焼いています。

 ② 土は、美濃の艾(もぐさ)土で、轆轤で造り、松の木片のヘラで、削ります。

   釉薬は、黒釉で、基礎釉(透明釉)に、弁柄や鬼板を、外割りで10%程度加えます。

   コバルトやマンガンを、少量加えると、安定した黒色に成ります。

 ③ 本格的には、「窖(あな)窯」で薪による焼成ですが、他の窯でも可能です。

   1,200℃を越える辺りから、釉薬の熔け具合を、見極め、火鋏や、鉤で掴み、引き出します。

   引き出された茶碗は、直ぐに、水の入った桶に、浸します。

3) 瀬戸黒茶碗の、一般的な大きさ

   口径: 12.5~14.0 高さ: 8.5~9.5 高台径: 6.0~6.8cm程度です。

次回は、黄瀬戸茶碗に付いて、述べる予定です。
   
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