わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

燃焼のメカニズム 1

2010-04-08 22:03:38 | 失敗と対策
粘土は、加熱されると、質的変化を起し、最終的には、実用に耐える物に、成ります。

素焼が終わった土は、元の状態に戻る事は、出来ません。

1) 窯について

  縄文、弥生時代の土器は、野焼きによって、焼成されていた為、十分熱が上がらず、土も焼き

  締まらず、弱く脆弱な物でしたが、我々が想像する以上に、上手に使い、長持ちさせています。

 ① 窯は、火(炎)を囲む事により、熱量を外に逃さず、温度を上昇させる事が、出来る様に、なりました。

   窯の材料に成る、耐火土(道具土)や、耐火レンガ(軽量耐火レンガ)などの、発達や、窯の構造、

   窯の燃焼方法、及び温度計などの、計器類の、改良により、効率良い窯で、高温を作り出す事が、

   出来る様に、まりました。

 ② 現在は、電気窯が、多く使われていますが、電気の無い時代では、薪(まき)が使われていました。

   松(特に赤松)の薪が、重要な燃料元で、現在でも薪窯では、一般に赤松が、使われています。

   但し、薪による焼成は、人手と、薪の調達の困難さ、及び環境問題もあり、何処でも、誰でも、

   薪窯を作る事は、不可能に近くなっています。(薪窯は、憧れの的ですが・・・)

  ・ 薪窯に近い燃料源として、ガス(都市、プロパン)が、使われる事が、多いです。

    これは、酸化還元焼成のコントロールや、希望温度まで、ある程度、容易に出来る事、環境でも

    問題が少なく、扱い易い窯と、言われています。

 ③ 作品を焼成する場合、火の温度が、何度であると言うより、作品の温度が、何度で保たれている

   かが、重要な事に成ります。

   温度計類は、窯の雰囲気の温度であり、作品その物の温度を、表示する物では、ありません。

2) 温度上昇に伴う土の変化

 ① 十分乾燥した風や、天日干しした作品でも、2~5%程度の、水分を含んでいます。

 ② この水分は、100℃では、なくならず、200~300℃に成って、抜けて行きます。

 ③ この温度範囲では、急激に温度を上げると、問題が起こります。

  ) 急激に温度上昇すると、作品の表面より、蒸発する水分より、内部で発生する水分が、多くなり、

     水蒸気爆発を、起す場合が有ります。

  ) 発生した水蒸気が、上手く窯の外に、排出されない場合、窯内部に留まり、凝結して、滴となり、

     作品の上に、落ちたりして、斑点となります。

     これは、燃料中に、亜硫酸ガスが有ると、湿気と反応し、硫酸となり、これが作品の上に落ち、

     熱分解を起し、硫黄(いおう)が残る為です。

 ④ 粘土の中にある有機物は、300℃位から、燃焼し始めます。

   但し、粘土表面でなく、奥深く残って居る場合には、完全に燃えきらず、残る場合も有ります。

   この場合、温度上昇と共に、作品表面が焼き固まり、内部の有機物の燃焼ガスが、

   逃げ場がないと、お餅の様に、膨れてきます。(これを「ブク」といいます。)

 ⑤ 400~700℃の間で、粘土中の結晶水が、無くなります。

以下次回に続きます。
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