わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

釉の話 10 (基礎釉 灰釉2)

2010-03-10 20:47:34 | 釉薬の調合と釉を掛ける
灰釉の話を続けます。

 2) 藁(わら)灰乳濁釉を作る

    「アルミナ」成分に対して、「シリカ」成分が、多く成ると、釉は乳濁します。

     (Al2O3:SiO2 = 1:12~14 程度で、乳濁する。)

    藁や、籾殻(もみがら)の灰は、シリカ(SiO2)成分を、80%(重量比)も含みます。

    それ故、乳濁させる、材料になります。 又、珪石の替りに、使う事も有ります。

    但し、藁や、籾殻を焼いた灰には、30%程度の炭素分が、残りますので、調合の際、計算から

    差し引く必要が、有りますので、注意して下さい。

  ) 調合例: 釜戸長石 50、  土灰 20、 藁灰 30 

              長石 50、 いす灰 20、 藁灰 30

              長石 30、 いす灰 30、 藁灰 40

              長石 20、 いす灰 40、 藁灰 40

              長石 60、 いす灰 10、 藁灰 30

     長石には、福島長石や、釜戸長石、対州長石、平津長石などが、有りますが、上記調合例では、

     長石の種類に拠って、違いが出ます。各長石の特徴に付いては、後日お話する予定です。

     いす灰は、鉄分の少ない灰ですので、釉に色が付く事が、少ないです。

 3) マット釉を作る

    マット釉は、Al2O3:SiO2=1:3~6(モル)で、良いマットに成ると、言われています。

    即ち、長石(アルミナ成分)を、多くすれば、マットに成ります。

    但し、釉が熔け難くなりますので、硼酸(BOH3)を添加して、融点を下げます。

      調合例  釜戸長石  90、 土灰  10

  ・ 乳濁釉や、マット釉は、乳濁剤、失透剤などを、添加して作る方法が、有ります。この件についても、

    後日、述べる予定です。

 4) 灰釉の注意点

  ① 熔け過ぎ、熔け不足

    調合によっては、熔け過ぎや、不足する事が、多いです。特に、熔け過ぎには、要注意です。

    ) 長石成分(アルミナ)が多いと、釉の粘性が大きくなり、ゴス等の、下絵がはっきり出ます。

    ) 灰(アルカリ成分)が、多く成るに従い、釉が流れ易く成り、下絵も流れる場合が、有ります。

    ) テスト焼きする場合、流れ過ぎの、対策を採ります。

  ② 酸化、還元焼成

    鉄分を多く含む灰(松灰、土灰)は、焼成時に、着色する場合が、有ります。

    酸化では、黄色掛り、還元では、緑色っぽく成ります。その場合、鉄分の少ない「いす灰」を使うと、

    着色しません。

  ③ 釉を厚く掛けた場合

   ) 灰釉では、透明釉であっても、釉を厚く掛けると、乳濁が起る、傾向に有ります。

   ) 灰釉を、厚く掛けると、貫入が入り易く成ります。厚く掛ける程、大きな貫入と、成ります。    

 5) 各種灰の特徴

以下次回に続きます。

灰釉の注意点
     
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