わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

釉の話 9 (基礎釉 灰釉1)

2010-03-09 22:14:04 | 釉薬の調合と釉を掛ける
木の灰や、藁(わら)、籾殻(もみがら)などの、灰を使って作る釉を、灰釉(かいゆ、又は、はいゆ)

又は、灰立(はいだて)と言います。

当然、透明釉も作れますので、灰釉で基礎釉を、作る事が出来ます。

但し、天然の灰は、木、草の種類の差や、産地、季節によって、成分の変化が大きく、必ずしも、

理論通りには、いきません。もしも、以下の調合例を、試す際には、微調整が必要かも知れません。

1) 土灰透明釉を作る(土灰とは、雑木や、藁、草等を燃やした、灰の事です。)

  灰は、単味では熔けず、長石と反応して、初めて熔けます。それ故、長石と混合して、釉を作る事に、

  成ります。

  素地にも、長石は含まれています、直接素地に、灰を振り掛けた、だけでも、灰は熔けます。

    例、備前焼など、薪で焼成した場合、その灰が作品に掛かり、熔けて、独特の模様となります。

  調合例  ① 釜戸長石  70、 土灰  30  Al2O3:SiO2= 1:8.7

 (重量比)  ② 釜戸長石  80、 土灰  20

 ・ 釜戸(かまと)長石と、土灰で釉を造りますが、土灰が多い①の方が、熔ける温度は、低く成ります。

   調合例 ①のゼーゲル式は、以下の様に、表せます。

    (0.12 K2O+0.17 Na2O+0.15 MgO+0.75 CaO)・0.35 Al2O3 ・3.06 SiO2 と燐酸カルシウム1.5%

  調合例 ③ (重量比)

     ) 釜戸長石 100、 土灰 10  Al2O3:SiO2= 1:8.9

     ) 釜戸長石 100、 土灰 20  Al2O3:SiO2= 1:8.8

     ) 釜戸長石 100、 土灰 30  Al2O3:SiO2= 1:8.8

     ) 釜戸長石 100、 土灰 40  Al2O3:SiO2= 1:8.7

     ) 釜戸長石 100、 土灰 50  Al2O3:SiO2= 1:8.7

  ③の調合例は、釜戸長石(又は、釜戸石粉)100に対して、土灰を、10~50と増やした物です。

   Al2O3:SiO2= 1:8.9~8.7 と成っていて、全て透明釉に成る事を、表しています。

  ・ 即ち、この範囲以内で、調合すれば、透明釉を作る事が、出来ます。(1:8~12で透明に成る)

    土灰の量の差は、熔ける温度に表れ、量の多い程、熔け易く成ります。

 灰には、天然の灰と、合成の灰が有ります。当然、天然の灰の方が、成分変化が大きく、釉としても、

 変化に富み、一定しません。但し、その事が逆に、釉に面白さが、出る事にも成ります。

 2) 藁(わら)灰乳濁釉を作る

以下次回に続きます。

基礎釉 灰釉


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