わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

電動轆轤の失敗 15 (割れ3)

2010-02-25 22:25:12 | 電動ロクロの技法
作品の、「割れ」、「ひび」の話を、続けます。

3) 「割れ、ひび」の補修

    造った作品に、「割れ、ひび」が入ってしまった場合、土の乾燥具合によって、補修可能な物と、

    不可能な場合が有ります。

  ① 可能な場合は、作品が、完全に乾燥せず、指や竹へらで、変形可能な程度の乾燥時です。

   ) 縁の割れは、細い土の紐を、「コの字」にして、割れた縁の、外、内、上に貼り付けます。

     その際、紐は、水で濡らせば、切れる事は、有りません。

     貼り付けた、箇所は、指などで撫ぜ、目立たなくします。

   ) 底の割れは、内、外(下側)に、細い紐で、「サンドイッチ」にし、押し付けます。

     その際、水や「どべ」を、傷口に付けると、より有効に成ります。

   ) 傷口の両端を持って、押し付ける。

      乾燥が甘い場合の方法で、傷口に、「どべ」をつければ、より効果的です。

  ② 補修不可能な場合

    作品が、白く乾燥してしまうと、補修は出来ません。それ故、この段階で「没」にします。

    どうしても、補修をしたい時は、素焼後又は、本焼き後に、補修する事も出来ます。

  ③ 素焼後又は、本焼き後の補修

   ) 素焼後の傷の大きさは、素焼前と、ほとんど同じです。補修の方法は、市販されている、

     本焼き用の、陶磁器用の接着剤(ペースト)を、使います。

     但し、私の知る範囲では、完全な接着剤は、まだありません。

     カップの取っての様に、横にぶら下る様な形状では、本焼きで、剥がれ落ちて仕舞う事も、

     有ります。

     又、「ヒビ」の状態ですと、その隙間に、接着剤が上手く、入り込まない為、接着が

     不十分な場合が、多いです。むしろ、「ヒビ」より、「割れ」の方が、有効かも知れません。

   ) 素焼した粉を使う

     同じ土で造った、粉と糊と混ぜ合わせて、傷口に塗り込みます。傷口が塞がったら、紙やすりで、

     綺麗にした後、釉薬を掛けて、本焼きします。

   ) 本焼き後の修正は、二度焼きして、傷を塞ぐ方法と、「金継ぎ」の方法で、補修する方法が

      有ります。

    a) 上記))で補修しても、不完全な場合が多いです。

      本焼きすると、作品が、更に収縮し、傷口は、確実に広がるからです。

      一度本焼きしてしまえば、同じ温度で焼く限り、それ以上収縮する事は、有りません。

      それ故、上記の方法で、もう一度補修をすれば、傷口は、塞がります。

    b) 完成した作品が、割れた場合に、「金継ぎ」の方法が有ります。

      これは、割れた面に、漆(うるし)を塗り、接合後、本物の金粉又は、銅の合金(黄銅鉱)の

      粉を、振り掛け、真綿(生糸で造る綿)で軽く押さえて、傷口を隠す方法です。

      この方法は、単に補修しただけでなく、その補修跡が、一つの景色として、評価される場合も

      有ります。


以上にて、「電動轆轤の失敗の話」を、ひとまず終わりにします。

次回より、新しい「テーマ」で、お話したいと、思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする