わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

粘土6(収縮3、乾燥、焼成)

2010-02-04 21:29:07 | 陶芸四方山話 (民藝、盆栽鉢、その他)
1) 粘土の可塑性(かそせい)

 ① 粘土は、乾燥するに従い、収縮し、硬くなり、強度が増します。

   強度が増す理由は、粘土の結晶の構造に、関係しています。

   即ち、粘土結晶は、平板状の積層になっていて、粘土中の水(成形水分)が、層の間に入り、

   潤滑剤として働き、結晶面方向に、移動し易く成る為です。

 ② 粘土に含まれる、粘土以外の物質には、この可塑性は、有りません。

   結晶が、一定方向に成ると、可塑性は、大きくなり、又、収縮もこの方向に、大きく、

   その垂直方向の、数倍に成る事も、有ります。

   そのため、作品を作る前に、粘土を良く練り、結晶面を、あらゆる方向に、する事により、

   縮み方向を、偏らずに、一定にし、変形や、亀裂を防ぎます。

   乾燥すると、この潤滑性が、失われ、結晶同士が、接触する様になり、可塑性が無くなり、

   縮み、強度が増します。

 ③ 但し、非可塑性の砂などを、混入させると、量が増えるに従い、強度は、低下して行きます。

   その理由は、非可塑性物質が、結晶面に入り込み、結晶間の距離を広げ、滑りを悪くし、

   可塑性を妨げる為と、粘土の中に、空間を作る為で、収縮を押さえる、働きをします。

2) 粘土の乾燥収縮

 ① 粘土の中に、長石、雲母、マグネシア、酸化合物、酸化チタン、珪砂などが入っていると、

   乾燥収縮は、少なく成ります。

 ② 特に長石、珪石は、乾燥収縮を、小さくします。

 ③ 可塑性を、少なくする物質は、密度を粗くし、乾燥収縮を、減少させます。

3) 粘土の焼成収縮

  焼成で起こる、収縮の量は、以下の条件によって、左右されます。

 ① 粘土の組成

  ) 長石、雲母、鉄化合物、石灰石は、収縮率が、大きいですので、この割合が、大きければ、

     大きい程、縮みます。

  ) アルミナ、石英などの、耐火物質は、収縮率を、小さくします。

 ② 粒子の大きさ

   粘土の粒子や、不純物の粒子の大きさが、細かい程、縮み率は、大きく、粗い程、小さくなります。

   理由は、粒子の表面積に関係し、細かい程、表面積が増え、個々の粒子間の、化学的、物理的な、

   相互作用が、大きく成る為と、思われます。

 ③ 焼成温度が高い程、収縮は大きい。

   温度が高い程、粘土粒子は、軟らかくなり、隣同士の粒子に、接近し、体積を小さくします。

 ④ 焼成時間との関係

   同じ温度で、焼成しても、長い時間を掛けて、その温度まで、上昇させた場合は、縮み率は、大きく

   短時間の焼成では、縮み率は、小さく成ります。

   即ち、良く焼き締める為には、じっくり時間を掛けて、焼成した方が、良い作品に仕上がります。

 以下次回に続きます。  
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