わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

作品の「割れ」、「ひび」対策(生2)

2009-07-17 17:43:48 | 失敗と対策
陶芸作品で、一番の失敗は、作品が「割れ」たり、「ひび」が入る事です。

作陶の各段階(製作時、乾燥時、素焼時、本焼き時など)で、この現象は起こり、原因や対策も、色々有ります。

以下順次述べていきます。

1) 「割れ」「ひび」の原因

 ① 最大の原因は、素地(粘土など)が、縮む事によって、起こります。

   (生の作品の乾燥時と、本焼き時に、特に大きく縮みます。)

   土が縮む際、重要な要素は、縮み率(収縮率)と、縮み量(収縮量)です。

  A) 縮み率

   土の縮み率は、縦、横、高さ共、ほぼ同じと考えて下さい。

   (厳密には、高さが高いと、作品の重みで、縦方向の縮み率が、やや大きく成ります。)

   又、土の種類や、焼成温度によっても、率は変わります。当然、率の大きい程、危険は大きいです。

   (一般に、焼成まで、12~13%程度ですが、20%も縮む土も有ります。)

   ・ 作陶時の寸法や、釉薬とも関係しますので、使用する土の縮み率は、予め把握して置きます。
  
    a) 肌理の細かい土は、粗めの土より、率は大きい。

    b) 鉄分が入っている土(赤土など)は、率が大きい。

  対策: 土にシャモット(素焼の粉)や、砂を入れる事により、率を小さく出来ます。

      又数種の土を、ブレンドして、縮み率を、少なくします。

    c) 縄文土器などは、20~30%もの砂が、入っているのが、一般的です。

      これは、縮み率を、少なくし、「割れ」や、「ひび」の発生を抑えようとした証拠です。

   ・ 但し、シャモット等を、粘土に混入させると、手捻りでは、さほど問題に成りませんが、

     電動轆轤で、作陶する場合、手触りが悪く、土の伸びも悪くなり、造り難く成ります。

     それ故、混入量は、少なめにします。(10%以下)

  B) 縮み量

    縮み率は、一定でも、縮み量は、作品の大きさによって、変わります。

    即ち、大きな作品は、大きく縮みます。それ故、大きく作る必要があります。

    又、それだけ「割れ」や、「ひび」が発生する確率も、大きく成ります。

   それ故、大物を作る際は、肌理の粗い物、鉄分などを含まない土を使い、場合に拠っては、

  シャモットなどを、土に入れて、縮み率や、縮み量を減らし、「割れ」「ひび」を防ぎます。


以下次回に続きます。

 陶芸の失敗と対策 
コメント
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