MOVIE KINGDOM Ⅱ

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ポイントは★~★★★★★★

No.032 「タクシードライバー」 (1976年 米 114分 スタンダード)

2007-04-02 02:36:05 | 2007年劇場鑑賞
監督 マーティン・スコセッシ
出演 ロバート・デ・ニーロ
    ジョディ・フォスター
    ハーヴェイ・カイテル



シネフェスタ最後の24本「タクシードライバー」をワンコインのさよならイベント上映で鑑賞してきました。

10年前に大阪市内初のシネコンということでオープンした{動物園前シネフェスタ4}が3月31日を持って閉館してしましました。
大阪市の第3セクターで都市型遊園地フェスティバルゲートという施設が通天閣の下、JR環状線新今宮駅前に10年前の夏にオープンして、ショッピング街や飲食店、そして施設内を滑走するジェットコースター、{デビル・ザ・コースター}が売りで、他にも隣接する世界の大温泉スパワールドが人気をはくして出だしは好調だったが1年たてばもう閑古鳥が鳴く始末・・・いつの間にか大阪市のお荷物となってしまいました。

その施設の中にあったのが動物園前シネフェスタ4でした。
フェスティバルゲート廃業に伴い閉館とのことだったがフェスティバルゲートまだ営業続けるようだ・・・いい映画館だったのに惜しいな~

そのさよなら上映イベントが一週間あり日替わりで名作をワンコイン¥500-で上映されて、「マトリックス」「ブラックレイン」「ピンポン」「シュリ」など比較的新しい作品が多いラインアップの中で、最後の2日間は「明日に向かって撃て!」「タクシードライバー」そしてラストデーが「ローマの休日」「ゴッドファーザー」「スタンドバイミー」と懐かしい作品が名を連ねました。
ホントは最終日の「ゴッドファーザー」を見たかったけど仕事で行けないので諦めてましたが、急遽思いつきで最終日前日の30日金曜日になんとか都合つけて「タクシードライバー」を見に行くことに!
最後のシネフェスタで見る作品がこの作品とは想像もしなかったけどな~

さすがいつもより人が多いですね~それも男性が中心で、オッサン多し!
いよいよ上映開始で幕が開くと何とスクリーンが小さく感じるTVサイズ・・・「タクシードライバー」はスタンダードサイズだったんですね~(DVDソフトはたしかビスタサイズだったような・・・)
でも劇場公開はこのサイズだったんでしょうな?(公開当時は劇場では見てない)

(あらすじ)

ベトナム帰りの青年トラヴィス・ビックルは夜の街をタクシーで流しながら、世界の不浄さに苛立ちを感じていた。大統領候補の選挙事務所に勤めるベッツィと親しくなるトラヴィスだったが、彼女をポルノ映画館に誘ったことで絶交されてしまう。やがて、闇ルートから銃を手に入れたトラヴィスは自己鍛錬を始めるが、そんな彼の胸中にひとつの計画が沸き上がる……。

この映画がビデオで2回ほど過去に見たことありますが、1度目は淡々とした映画やな~という印象で、2度目は中々と深いドラマやな~と思いました。
そして3回目にして劇場での鑑賞となった今回は・・・いやはや参りましたね~様々な思いが心に沁みてくる名作だと思いました。
初めて見たのが20代初めの頃だったけど、今や40過ぎて見ると捉え方が変わって見てしまいますね。

ベトナム帰りのトラビスの目を通して描かれる70年代のアメリカ・・・ベトナムの後遺症が残ると言われてる時代背景をタクシードライバーの目を通して描かれていると思います。

気だるい雰囲気の夜の街・・・流れていく派手なネオン、夜の街を徘徊する娼婦たち、さびれたポルノ映画館、街の至るところに妖しさと、そして紙一重の狂気が潜んでる。
昔よく聞いた怖い街のNYをそこに感じてしまいましたね。
そんな暗く“闇の部分”のアメリカの象徴のようにトラビスの事を感じましたね。

その中で馴染もうとする主人公トラビスが、ある時大統領候補の選挙事務所で働くべッツィーに一目惚れしてしまう。
彼女こそこの作品では“明るい部分”のアメリカの象徴と言えるかもしれませんね。
そんな彼女に闇の部分で生活するトラビスとの不釣合いなコントラストがいいですね。
そして不釣合いなまま初デートに連れて行ったのが夜のポルノ映画館・・・当然彼女は激怒してその場を去ってしまう。
トラビスの暮らす世界では彼女は当然ながら馴染める訳もなく、またトラビスも彼女の世界では馴染めないの判っていること。

そんなフラストレーションの中から彼は闇のルートから拳銃を手にして、ある行動を取るが、それは彼の狂気の始り・・・部屋にこもりナイフを足にテープで固定し、ホルスターに2丁のピストルを隠し持ち、片袖には自作の自動ピストル飛び出し装置をつける・・鏡に向かって“You're talking to me ?”(「俺に話してんのかい?」)と何度も語りかけピストル身構えるトラビス・・・最高に“危ない奴”を目の当たりした感じ・・・このデ・ニーロがカッコ良くて堪らないぐらいいいですね。

そんな中で自分の世界で出会ったある娼婦・・・彼女は自分の住む世界側に居る人間だが、そんな彼女をその世界から救おうするトラビスの姿に彼女から何か希望を見出そうする姿を感じてしまいました。

戦闘モードとなったモヒカン刈りのデ・ニーロが広場で大統領候補の演説を群集の後方で笑みを浮かべながら立ってる姿がまたキマッテルね~
またしても最高に“危ない奴”を目の当たりした感じ・・・
このシーンでのトラビスとシークレットサービスとの会話のやり取りがまた最高の“おちょくり”でいいな~

大きなことする為にピストルなどを武装したのに結局は娼婦を救うために使用してしまう結果になるけど、この事で彼は英雄のような扱いになっていく・・・
ここからの終盤は賛否も含めて色々な見方があるようだけど、この作品以前の“ニューアメリカンシネマ”と言われる作品群なら結局は主人公は破滅の道を辿っていくんだろうけど、この作品がどことなくハッピーエンドで終わるのは、ベトナム後遺症の時代から「これからは希望を持って行こうよ」という作者のメッセージが感じ取られるように私は感じましたね。
かつてトラビスを絶交したべッツィーが一躍英雄扱いになった彼のタクシーに乗り意味ありげな雰囲気を出すが、彼はまったくそれを無視し、夜の街にタクシーを走らせるていく・・・自分の世界で生きることの意味や生きがいを見つけたかのように・・・流れるネオンとともバーナード・ハーマンのジャージーな名曲をバックにエンドロールがかぶっていくこの幕切れはまさに悩めるアメリカからの脱却のメッセージに感じました。

当時のアカデミー賞にもノミネートされたようですが、この作品を押さえて作品賞を受賞したのが「ロッキー」・・・トラビスとは無縁なアメリカンドリームを実現させたロッキーの物語ってのが対照的な感じですね。

最後に一言・・・フィルムが古いので仕方ないけど背景と重なって字幕が読みにくいのが辛かったな~昔はこれが普通だったんだがね。



★★★★★ 2006.3.30(金) 動物園前シネフェスタ4 シネマ4 18:15 10列目右端






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