おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

パリの恋人

2023-01-24 07:10:17 | 映画
「パリの恋人」 1957年 アメリカ


監督 スタンリー・ドーネン
出演 フレッド・アステア オードリー・ヘプバーン
   ケイ・トンプソン ミシェル・オークレール スージー・パーカー

ストーリー
ニュー・ヨークのファッション雑誌クォリティ・マガジンは新しいモデルを探し出してミス・クォリティと名づけ、その写真を独占して大いに雑誌を売ろうと計画した。
ミス・クォリティのモデルを探す役は、有名なファッション・カメラマンのディック・エヴリー。
苦労の末、ジョー・ストックトンという娘を見出した。
ジョーはもちろん、ファッション・モデルなどに興味はなかったが、パリに行けば崇拝するフロストル教授に会えるので、ミス・クォリティになるのを承諾した。
ミス・クォリティを紹介するパーティの夜、ジョーはフロストル教授が裏街のカフェーで講演することを知ると、パーティのはじまる前の寸暇をぬすんで出かけて行った。
ジョーははじめてフロストル教授に会って、教授がまだ30代の青年であるのに驚いた。
エヴリーは若い青年の教授が彼女に興味を抱いている様子が気に入らない。
翌日、エヴリーはジョーがフロストル教授の部屋にいるのをみつけると、ジョーを連れ帰ろうとした。
しかし、ジョーはエヴリーのそんな態度が気に入らず、絶対帰らぬといい張って喧嘩別れしてしまった。
エヴリーが帰ると教授は、エヴリーが見抜いたとおり、ジョーに愛を求めようとした。
彼女ははじめて教授の本心を悟り、部屋をとび出すと、デュヴァルのサロンへ急いだ・・・。


寸評
カラフルでファッショナブルなミュージカル映画で、冒頭のファッション雑誌社のシーンから雰囲気全開である。
オードリー・ヘプバーン初のミュージカル映画で、妖精オードリーを全面に出そうとしていることがわかる。
原題通り「ファニー・フェイス」という言葉がオードリーに対して使われ、この後ファニー・フェイスは女性への誉め言葉になった。
冒頭で披露されるミュージカル・ナンバー「Think Pink!」で編集長はピンクを売り出そうとするが、僕はむしろこの映画のカラーとしては赤と黒のイメージが強烈だった。
オードリーをソフト・フォーカスで捉えて、彼女のエレガンスさを出そうとしているが、白眉なのはジヴァンシーのドレスに身を包んだオードリーがパリの観光名所を背景にして様々な表情を見せるグラビア撮影シーンだ。
フランスが舞台なのでハリウッドのミュージカルにフランス映画のスピリットが加味されているような感じで、本格ミュージカルと言うよりはポップなミュージカル映画で気楽に楽しめる。
オード―リーのミュージカル映画と言えば「マイ・フェア・レディ」を真っ先に思い出すが、むしろこちらの方がオードリーの魅力を引き出しているかもしれない。

フレッド・アステアはミュージカルシーンになると安定感抜群だと思わせるが、安定感は逆にいうと印象に残るようなシーンを生み出せていないtことにつながる。
むしろ本作で目を引くのは編集長マギー役のケイ・トンプソンで、堂々たる歌とダンスはアステアにも全く引けを取らないカッコいいオバサマである。
オード―リーのダンスも予想以上に素晴らしかったが、最も印象に残ったのはこのケイ・トンプソンとアステアが歌って踊るシーンだった。

オードリーは本作以外にも「麗しのサブリナ」(1954)、「昼下がりの情事」(1957)、「シャレード」(1963)、「パリで一緒に」(1963)、「おしゃれ泥棒」(1966)など、作品歴を見るとパリを舞台にしたものにかなり出ているので、オードリーにはパリが似合うということだろうか。
それにしてもオードリーの相手役はどうしてこうも中年男性ばかりなのだろう。
「ローマの休日」のグレゴリー・ペック、「麗しのサブリナ」のハンフリー・ボガート、「昼下りの情事」のゲイリー・クーパー、「シャレード」のケイリー・グラントなどで、彼等から見れば子供の様なオードリーとの関係に見えるのだが・・・。
分別ありそうな年齢の彼らが、妖精のような汚れなきオードリーに恋する構図は、見ているオードリーファンにはリアリティがなく安心して見ることができたのかもしれない。
華奢な体型もあって、オードリーにはセクシャルな面を感じさせない雰囲気があり、その事も中年男性が相手となっている理由かもしれない。
本作におけるロマンスの相手役であるフレッド・アステアも、僕には違和感があるくらいのお爺さんに思えた。
しかしそれでも映画としては十分すぎるくらい成り立っていて、アステアはオード―リーの引き立て役を見事にこなしたと言う事だろう。
オードリーあっての「パリの恋人」だ。


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