おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

青い珊瑚礁

2023-07-07 08:01:50 | 映画
「青い珊瑚礁」 1980年 アメリカ


監督 ランダル・クレイザー
出演 ブルック・シールズ クリストファー・アトキンズ
   ウィリアム・ダニエルズ レオ・マッカーン
   エルヴァ・ジョゼフソン グレン・コーハン アラン・ホップグッド

ストーリー
南太平洋の広大な海上を一隻の帆船がゆったり進行していたが、その船内にはアーサー(ウィリアム・ダニエルス)と8歳になる息子のリチャード(グレン・コーハン)、従妹で7歳のエミリーン(エルバ・ジョゼフスン)がいた。
ある日、その船内が火事で突然燃え出し、リチャードとエミリーンは、アーサーとはぐれ、料理番のパディ(レオ・マッカーン)と3人だけがボートに乗った。
恐ろしい一夜が明けて、目覚めてみると、エミリーンの目に別天地のような美しい島影がうつった。
しかし、その島は無人島で、過去に漂流してきたらしい人々のガイコツと酒樽がころがっていた。
2人はパディから毒のある木の実の見分け方、縄の結び方など生きるために必要なことを教わるが、ある朝、そのパディが事故で死に、リチャードたちは途方にくれた。
それから数年後。女らしく成長したエミリーン(ブルック・シールズ)と逞しい青年になったリチャード(クリストファー・アトキンズ)は、エデンの園のアダムとイブのような毎日を送っていたが最近では思春期の徴候がそれぞれを悩まし始め、いっしょの部屋では生活できなくなっていた。
ある夜、リチャードは島の反対側からきこえる不気味な音を耳にした。
チャードは、恐ろしい何人かの裸の男たちの生にえの儀式を目にした。
逃げるようにして戻る除中、彼は高熱に苦しんでいるエミリーンを見つけた。
リチャードは彼女を必死で看病し、彼女が全快した時、初めて愛を意識し結ばれた。
そしてエミリーンは妊娠し、苦しい出産を終え、子どもとの新しい生活がはじまった。
それから間もなくして、息子たちを探しつづけていたアーサーの捜索船が島にやって来た。
しかし2人はその船に背を向けた。
食糧も水もなく死をまつばかりという不幸な状況に見まわれ、食べ物を欲しがった坊やは食べてはいけない赤い木の実を食べぐったりし、それを見て、リチャードが残りの実を2分した。


寸評
僕がブルック・シールズの名前をなぜ覚えているのかは定かでない。
男子プロテニス選手のアンドレ・アガシと4年間の交際を経て結婚していたことがあるということによるものか、あるいは美人女優として日本で多数のテレビCMに出演していたことによるものなのかもしれない。
もしかすると、皇太子徳仁親王(現今上天皇)とも交流があり、皇太子殿下が彼女のファンだと公言されていたことによってなのかもしれない。
しかし、なぜかブルック・シールズの名前を忘れたことはない。
彼女は女優として何本かの映画に出演しているが、僕が記憶に残るのは、と言うより唯一観た映画がこの「青い珊瑚礁」である。
僕にとっては、この映画の存在がブルック・シールズを女優ならしめている。

映画は単純、単調だ。
少年少女が孤島に漂着して成人していく過程での出来事は描かれるが、その内容に目新しいものはなく冒険活劇物と呼ぶような作品には仕上がっていない。
ただブルック・シールズが眩しいばかりの肢体を見せ、南の島の美しい自然の中で躍動するのが見せ場だ。
その分、内容は官能的でもある。
海中を三人で泳ぐシーンなんて感動的な程美しく、水中撮影でのカメラ班の苦労が感じ取れる。

彼らはいとこ同士で一身共同体として生活しているが、やがて思春期を迎える。
そのことでの変化は人間の男女が持つ本能的な感情で微笑ましいし、自然な肉体的(性的)変化に対しての二人の不器用だが一生懸命な対応の妙が面白い。
なんてことのない映画なので、この一生懸命な対応こそがこの映画の全てと言っても過言でない。
この2人は『恋』というものを知らない。
それなのに、なんだか分からないが相手を目で追ってしまう、なんだか分からないが相手に触れたくなる。
何の知識もなくとも、恋愛映画など見ずとも、普通に恋を覚えるという感動がある。
昨今は結婚願望が男女ともに減少してきているらしいが、この映画を見ると男女が結ばれることは人間の本能ではないかと改めて知らされる。
成長するにつれて、女性であるエミリーンの方がしっかりしていくのは実社会と同じだとくすぐったくなる。

彼らに子供が生まれ、孤島での生活が彼らにとっての天国となる。
ここには彼ら以外の社会はないし文明もない。
彼らは意識的に救出の船を見送る。
それは、彼らが得た幸福を失いたくない、ここでの生活にこそ幸せがあるという意思表示でもあった。
ラストシーンは、続編を見ると悲劇であり、この作品だけで判断するならハッピーエンドだ。
どちらの方がより映画的なのかは見る人次第ということかな?


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