おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

カメラを止めるな!

2018-09-01 16:58:28 | 映画
もともとは都内2館だけの上映だったのが、口コミで評判が広まり、全国で拡大公開された異例のヒット映画

「カメラを止めるな!」 2018年 日本


監督 上田慎一郎
出演 濱津隆之 真魚 しゅはまはるみ
   長屋和彰 細井学 市原洋
   山崎俊太郎 大沢真一郎 竹原芳子
   吉田美紀 合田純奈  浅森咲希奈
   秋山ゆずき 山口友和 藤村拓矢
   イワゴウサトシ 高橋恭子 生見司織

ストーリー
ゾンビ映画撮影のため、山奥にある廃墟にやってきた自主映画のクルーたち。
監督は本物を求めてなかなかOKを出さず、ついに42テイクに至る。
雰囲気が悪くなり休憩に入ったところ、本物のゾンビが現れ撮影隊に襲いかかった。
次々とクルーの面々はゾンビ化していくが、監督は撮影を中止するどころか、求めていた本物の雰囲気に嬉々として撮影を続行。
37分ワンシーン・ワンカットで描くノンストップのゾンビムービーを撮った彼らとは・・・。

寸評
内田けんじ作品を思い起こさせる作りだが、はるかにドタバタでエンタメ性に富んだ作品だ。
映画館を出ていく観客の中から、「えらい短い映画やなあと思ってたら、そこからやってんなあ」とか、「最初は、評判になってるけど、どこが面白いねんと思ってたわ」とかの会話が漏れ聞こえてきたが、実際この映画には仕掛けがあり、前半と後半でまったくタイプの違う構成になっている。
上映時間を頭に置いていると、ここからの展開はある程度予測がつくが、「オイオイこれで終わりかよと」思わせるのは、ツカミとしてはまず成功。
前半は観るに堪えない映画で、全編ワンカットの映像はユニークだが、全体のつくりがチープだし役者も大根揃いで、会話に間が開くことがあり、何とも安っぽさが前面に出ていて、これを延々と見せられるのかと思うと嫌になってくる作りである。

しかし、それは意図したもので後半は一変する。
まるでドタバタ喜劇映画の様相を呈してくる。
映画作りの舞台裏を見せているのだが、その様子が可笑しくて爆笑の連続である。
趣味で映画を撮ったことのある者なら、より一層この作品を楽しめるのではないか。
僕は学生時代に16ミリ映画を仲間と撮ったことがあるので、見ている時は彼等の中に入り込んでいるような気分になった。
僕らの映画作りは真剣ながらも半ば遊びのようなものであって随分楽しかったのだが、ここに登場する人々も随分と楽しんでいる。
登場人物を含め、かかわっている人たちが楽しんでいることが感じ取れる作品だ。
ワンカットで中継しなければならないという設定が、巻き起こるドタバタに必然性を生み出している。
タイトル通りカメラを止めるわけにはいかないのだ。
深い人間ドラマなどはないが、ラストのクレーンカメラをめぐるトラブルでは、撮影隊の絆と映画愛を感じさせ、他の観客と違って僕はジーンとくるものを感じた。


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