おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

王手

2018-09-11 07:53:20 | 映画
将棋の記事を見たので、将棋を題材にした作品を再見。

大阪の新世界を舞台に、賭け将棋に生きる男たちを描く。

「王手」 1991年 日本


監督 阪本順治
出演 赤井英和  加藤昌也  広田玲央名
   仁藤優子  金子信雄  伊武雅刀
   麿赤児  國村隼  笑福亭松之助
   若山富三郎

ストーリー
大阪・新世界に住む飛田(赤井英和)は『通天閣の真剣師』と呼ばれ、借金取りに追われながらも賭け将棋で暮らしていた。
真剣師の飛田と、プロの名人を目指す香山(加藤昌也)は幼なじみで、対照的な性格でありながらも二人は将棋が取り持つ腐れ縁の仲だった。
香山は薬屋の加奈子(仁藤優子)に想いを寄せていたが、彼女は“将棋オタク”の香山がじれったい。
一方、日本海の温泉町に出向いた飛田は、そこでストリッパーの照美(広田玲央名)と出会い、また想いを寄せる。
そんな折り、二人の前に伝説の老真剣師・三田村(若山富三郎)が現れる。
老いたりとはいえど強い三田村に飛田は歯が立たない。
そんな中でも借金取りから逃げながら、プロ、アマ問わず真剣勝負に燃える飛田。
実力一流の彼はプロアマ戦に出場し、並みいるプロ相手に勝ち進んでいく。
やがて彼は新世界のドン(金子信雄)を巻き込んで名人戦に挑むことになる。
相手はまだ少年だったが甘くはない。
飛田は名人戦にすべてをかけて、平安の本将棋で三田村と再度勝負をする。
飛田はようやく三田村に勝ち、遂に矢倉名人(坂東玉基)に挑む。
そして、長時間の勝負の末、飛田は矢倉を打ち崩すのだった。

寸評
将棋をテーマにここまで楽しい映画を撮れる阪本監督に敬意を表する。
オープニングのタイトルの出方がまず素晴らしい。
思わず映画に引き込まれてしまう。
名人を負かして「今度は真剣でやろや」と去っていくのもかっこいい。
加奈子役の仁藤優子は「どついたるねん」の相楽晴子と同じ路線で僕の好きなタイプの女優さんなのだが、その後あまり作品に恵まれていないのは残念だ。
主演の赤井英和はもちろんいいし、若山富三郎の怪演もなかなか見物。
加藤雅也がモヤシ君役を見事に演じているのも面白い。

「まいど!」の挨拶に「おいど!」と答えたり、暑い盛りにフグをたべてウンコ話で盛り上がる、あるいは四文字熟語として欧陽菲菲(当時人気のあった歌手)と扇子に書いているなど、大阪人らしい細かいギャグもふんだんで大いに笑える。
真剣師という人が実際にいるのかどうか知らないが、賭け将棋を生業にしている世界を描いているので、たとえば「麻雀放浪記」のような殺伐とした雰囲気をイメージしていたら、とんでもない喜劇性を持っていて笑いの連続だ。
ちょっと軽薄な新世界男をやらせると赤井英和はいい味を出す。

阪本監督の新世界三部作ではこれが一番新世界の雰囲気が出ていると思う。おすすめ。
若山富三郎はこれが遺作となった。
でたらめで実におもしろい、男の映画だ。










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