おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

明日に向って撃て!

2019-01-08 10:36:01 | 映画
「明日に向って撃て!」 1969年 アメリカ


監督 ジョージ・ロイ・ヒル
出演 ポール・ニューマン ロバート・レッドフォード
   キャサリン・ロス ストローザー・マーティン
   クロリス・リーチマン ジョージ・ファース
   ジェフ・コーリイ テッド・キャシディ
   ケネス・マース ドネリー・ローズ
   チャールズ・ディアコップ ティモシー・スコット

ストーリー
1890年代の西部。
西部で名を馳せた荒くれ者ブッチ・キャシディとサンダンス・キッドは同じ盗人仲間のハーベイ・ローガンらの誘いにのって列車強盗を繰り返し、ついに最強の刺客を鉄道会社から派遣されてしまう。
はじめはなんとか逃げ切ることに成功する二人だったが、刺客たちは追撃をやめることはなく、ひたすら彼らへと猛追してくる。
二人は巨大な滝まで追いつめられ、逃げ場を失ってしまう。
ブッチは滝つぼに飛び込もうとサンダンスに提案するが、サンダンスはかたくなに拒否し続ける。
サンダンスは泳ぐことができないということで大笑いをする二人だったが、ついに意を決して飛び込んだ。
命からがら逃げのびた二人は、スペイン語のできるサンダンスのガール・フレンドである女教師のエッタも交えてボリビアへ向かう。
が、ボリビアはブッチの想像とは異なり大変な貧乏国で、2人はたちまち銀行強盗に戻る…。

寸評
映画はノスタルジックに始まる。
冒頭はセピア調のシーンが続き、この作品がノスタルジーをそそる作品であることを印象付ける。
セピア調の画面は中盤とラストにも登場し、その印象を決定づけていた。
西部劇に名を借りた青春映画だ。

キャサリン・ロスの登場場面はスリリングで、彼女が演じたエッタの存在がこの映画を青春映画にしていた。
ポール・ニューマン、ロバート・レッドフォード、キャサリン・ロスの男二人に女一人という組み合わせが微笑ましい。
エッタはキッドの恋人ではあるのだが、ブッチとも心を通わせている。
男二人と女一人の関係がこじれた関係でなく、あっさりとした微笑ましいものなのも雰囲気作りに役立っている。
ポール・ニューマンとキャサリン・ロスの二人が自転車で遊ぶシーンはまさしく青春映画だ。
バカラックの軽快な音楽が我々をもウキウキさせる。
音楽の3Bと言えば、バッハ、ブラームス、ベートーヴェンだが、5Bと言えばそれにビートルズとバカラックが加わると公開時に言われたぐらい新鮮なサウンドだ。

ブッチ・キャシディとサンダンス・キッドの強盗場面は愉快でユーモアにあふれている。
ウッドコック(ジョージ・ファース)が人のいい会計係で、彼とのやり取りは笑ってしまう。
特に復路の列車を襲う場面でのやり取りは面白い。
映画はここから追われる二人を追い続けることになる。
凄腕の保安官が追手として執拗に追跡してくるのだが、その保安官の顔は最後まで見せない。
白い帽子をかぶっていると言うだけで、最後にも彼の帽子だけを一瞬見せて緊迫感を出す。
追手の凄さを、どこまでも追いかけてくることだけで描いていて、単なる西部劇と一線を画している。

逃亡劇にエッタが加わってからは楽しさが倍増する。
ボリビアにつくまでの様子がセピア調の写真で紹介され、かれらはやがて目的地のボリビアに着く。
しかしそこは想像していた場所とは違っていて、その様子も可笑ししい。
ボリビアではエッタも加わった三人組での銀行強盗になるが、その様子も楽し気に描き続ける。
エッタに作ってもらったスペイン語のカンニングペーパーを見ながら銀行強盗をしたりといったことが、ギャングごっこをして遊んでいるようで愉快だ。
当初から一貫して行われているこの描き方が哀愁を感じさせるのだ。

彼らは警察と軍隊に取り囲まれて窮地に陥るのだが、そこに凄腕の保安官がいないことを知って、それなら大したことないと飛び出していく。
銃口が待ち受ける中へ飛び出していく二人にとどろく銃声が聞こえてストップモーションになるラストシーンだ。
その銃声と掛け声から二人の運命は想像されるが、それでもあの二人はきっとその場面を切り抜けているんじゃないかと思わせる余韻がある。
ジョージ・ロイ・ヒル、ポール・ニューマン、ロバート・レッドフォードのトリオはこの後「スティング」でも開花する。


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