おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

ラッシュ/プライドと友情

2024-03-22 07:07:02 | 映画
「ラッシュ/プライドと友情」 2013年 アメリカ / ドイツ / イギリス


監督 ロン・ハワード
出演 クリス・ヘムズワース  ダニエル・ブリュール
   オリヴィア・ワイルド  アレクサンドラ・マリア・ララ
   ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ
   クリスチャン・マッケイ

ストーリー
ジェームズ・ハントとニキ・ラウダは二人ともライバルとしてレースを競っていた。
彼らが所属するのはF3と呼ばれる場所で、F1に昇格するために努力を積み重ねていた。
ニキは裕福な家庭に生まれながらも計算高い性格をしていた。
対するジェームズは豪快な性格で、ライバルの二人はすべてが異なっていた。
ジェームズは持ち前のドライビングテクニックにより、どんどん昇格していき、ついにF1デビューを飾る。
それに対してニキはお金の力で車両をチューンナップし、最高性能で勝負を重ね、彼もF1へと昇進した。
ついにF1で彼らのマッチが開かれ、ニキは圧倒的な技術力の差でジェームズを負かした。
ニキは大会で優勝という成績をもらい、反対にジェームズは傲慢な性格が災いし、オーナーの破産宣告ですべてを失ってしまい大会出場ができなくなってしまう。
しかし、ジェームズはすぐさま新しいオーナーを見つけて復帰を果たした。
ドイツでのF1では、雨の降るなかとても危険と言われるコースでレースが行われようとしていた。
危険を予測したニキは中止を訴えたが、採決の結果はジェームズの主張通り開催となり、それによりニキの車はスリップして大炎上を起こした。
ニキは重傷を負い、レースを諦めた。
その間好敵手がいないジェームズにとってF1は彼の夢実現の場所であり、次々と1位をとっていった。
それを見たニキは、まだ完治していない体を押して日本でのレースに出場する。
日本でもドイツのときと同じ大雨で、ニキは妻の顔を思い浮かべ、レースをリタイアした。
そしてジェームズはまたもや優勝した。
その後ニキはレースから遠ざかり、静かに療養を重ね、ゆったりと過ごしていた。
対してジェームズは豪遊をするばかりで、レーサー引退後は解説者となっていたが、急な心臓発作のために死亡してしまう。
ニキは彼の死を悼みながらも、残りの人生を全うした。


寸評
僕は車がそんなに好きでなく興味もないのだが、レース映画だけは別物だ。
「グランプリ」「「レーサー」「栄光のルマン」などの名作を見てきたが、今回の「ラッシュ/プライドと友情」も中々見応えがあった。
レースの臨場感や迫力は勿論だが、ジェームズ・ハントとニキ・ラウダという宿命のライバルの濃厚なドラマがたまらなくいい。
女好きで明るく天才レーサータイプのジェームズに対し、ニキは真面目タイプのマシーンを熟知して走る頭脳派である。
二人の性格対比が面白い。
伝記映画でもあるから実際の二人も描かれたような性格だったのだろう。
男と男の闘いとして二人の関係は単純で分かりやすい。
ライバル同士の熱いバトルを盛り上げるレースシーンは臨場感たっぷりで迫力満点。
やはりレース映画はレースシーンに迫力がないと興味半減となってしまう。
その点、この映画は上手いカットのつなぎを見せている。
映像処理技術が年々進んでいて、年数を経るたびにレースシーンの迫力は増している。

女好きの派手好きで、アグレッシブな走りを見せるレーサーのジェームズ・ハントが主人公ではあるが、ライバルの冷静で合理主義者のニキ・ラウダも魅力的だ。
ジェームズはレースの重圧で嘔吐しながらも大口をたたく見栄っ張りだ。
結婚相手とは上手くいかず、リチャード・バートンに取られているのだが、失った女への愛と未練を平気な顔をして見せつけない。
ジェームズはそんな男っぷりが格好良く魅力的な人物である。
男の人生はつねに虚勢を張らねばならないものなのだと言われているようである。
一方のニキはよき妻に恵まれ、事故にも負けぬ強靱な精神を持ち、才能も圧倒的でその後も勝ち続け、引退後は事業にも成功したようである。
破滅的なジェームズは魅力的だが、僕のような平凡な男はニキの生き方を選んでしまうだろう。
もっとも、僕にはニキのような才能も才覚もない。

この映画、どっちが勝ったのか、負けたのかをみる作品ではない。
男の生きざまを感じ取る映画だと思う。
その観点から言えば二人ともかっこいいナイス・ガイだった。
1976年の最終戦が富士スピードウェイの日本グランプリなのも親近感が持てたのだが、F1ファンでもなかった僕は当時の興奮を全く知らない。
その世界では凄い年だったことは、遅ればせながら感じ取れた。