おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

赤い橋の下のぬるい水

2022-01-26 08:34:25 | 映画
「赤い橋の下のぬるい水」 2001年 日本


監督 今村昌平
出演 役所広司 清水美砂 中村嘉葎雄
   ミッキー・カーチス 矢野宣 坂本スミ子
   北村有起哉 小島聖 ガダルカナル・タカ
   夏八木勲 不破万作 北村和夫 倍賞美津子

ストーリー
リストラされた失業中の中年男・笹野陽介(役所広司)は、職探しの合間にホームレスの集落を訪れていた。
そこで今は亡きタロウ(北村和夫)に出会う。
陽介は、生前のタロウから「盗んだ金の仏像を、能登半島の日本海に面した赤い橋のたもとの家に隠したので俺の代わりにあの家に行って、どうなったか確認してくれ」と言われていた。
陽介の足は自然と「赤い橋のたもとの家」へと向かっていく。
陽介は、富山湾沿いにあるその場所を尋ねながらようやく赤い橋にたどり着く。
その橋の向こうには、ノウゼンカズラが咲き誇る二階建ての家が本当にあったのだ。
そして陽介は、その家から現れた妙齢の女性・サエコ(清水美砂)が、スーパーでチーズを万引きすのを目撃する。
サエコの立ち去った跡には、不思議な水たまりができていて、水の中には片方だけの銀色のイヤリングが残されていた…。
彼女のあとを追って行くと、その家は昔は菓子作りを行っていて今はサエコと、ばあさんのミツ(倍賞美津子)が住んでいた。
二階からは、タロウの言葉どおりに赤い橋が見渡せ、日本海の向こうには雄大な立山連峰が広がっている。
サエコは自分は和菓子職人で、祖母のミツは神社におみくじを書いて納めている事を陽介に語り始める。
そして、突然陽介を押し倒し、うつろな眼差しで繰り返し大きく息を吐いた。
歓喜の声を発するサエコ、その時サエコの体からは不思議な水が湧き出ていた…。
サエコは、水が体内に溜まると我慢できなくなり、万引きをすることを陽介に告白する。
陽介はそんなサエコに惹かれたこともあって漁師になることを決意する。
漁から帰ると一目散にサエコの家に走り込み、二人は毎日のように愛を確かめ合う。
しかし、ある日陽介はサエコの不思議な水が減っていくことに気づくのだった…。
サエコを疑いはじめる陽介。
そんな時、漁師の新太郎の父・正之(夏八木勲)から、かつて流れ者が痴情のもつれで漁師を刺したという話を聞かされる。
そしてある日、陽介は街中で見知らぬ男・泰造(ガダルカナルタカ)と親しげに話すサエコを目撃する。
陽介は新太郎から50ccバイクを借り、二人のあとをつけ始めるのだが、陽介を待っていたのは意外なる真実だった…。


寸評
随分前の話になるのだが、”私は潮吹き女だ”と公言してチョットもてはやされたタレントさんがいたことを思い出した。
テレビ番組も「3時のあなた」のような番組はあったけれども、今のようなワイドショー番組ではなかったので、もっぱら「11PM」のようなチョットHが混ざった番組で取り上げられていたような気がする。
時が過ぎてそのタレントさんの顔は思い浮かべる事も出来ないけれど、この映画に出てくる清水美砂ほどのいい女ではなかったことだけは確かだ。
下半身をムズムズさせながら手鏡に太陽の光を反射させて男を誘う彼女は抜群だ。
なんていい女なんだろうと思ってしまう。
絶対に彼女のファンのせいだけではない。
彼女は本当にいい女なのだ。

以前熱帯魚を飼っていて汽水なる言葉をはじめて知った。
淡水と海水が混ざり合う場所で、色んな魚が集まってくる。
もちろん汽水域を最良の住処とする魚も居る。
サエコがながす「水」が汽水域の川に流れ込むとさらに魚たちが集まってくる。
それは彼女に引きつけられる男の象徴で、いい女のもとには自然と男が引き寄せられてしまうのだろう。
リストラ、離婚、生き甲斐などの苦悩の中から生気を取り戻す陽介を見ていると、男は母なる女の子宮を求め、其処に安住の地を見出すのではないかと思ってしまう。

今村昌平、役所広司、清水美砂のトリオ映画としては、カンヌでグランプリをとった「うなぎ」よりもこちらのほうが面白い。
でも最近の日本映画の男優は役所広司しかいないのかと思うほど、これはと言う映画に彼が登場する。
何とかしてくれい、男優陣!