足こぎ車椅子に乗っていい？

ゆうやは退院して楽しみにしていることがありました。
それは、駅まで足こぎ車椅子に乗って行き、その後は電車を楽しむことです。

退院した翌日は、残念ながら雨でした。

「お母さん、暗くなってきたよ。」
ゆうやは窓の外を見て言いました。

「あっ！明るくなって来た！」
窓の外を見て嬉しそうに私に報告してくれます。

「あ～あ、さっき明るくなったのに、また暗くなってきた。」
「あれ？また明るくなってきたよ。雨が止んだんじゃない？」

何度も窓の外を見ては、空模様を気にしていました。
残念ながら、日曜日は雨だったので足こぎ車椅子に乗ることができませんでした。

翌日、月曜日は、とてもいい天気になりました。
「お母さん、足こぎ車椅子に乗っていい？」

医師からは、通常の生活をしてみてくださいと言ってもらっているので、足こぎ車椅子に乗ることにしました。
久しぶりの足こぎ車椅子です。

ゆうやはとても嬉しそうににこにこしてペダルを回しました。
「楽しい～♪」
「調子はどう？」
「大丈夫です。いい感じです。」

ご機嫌でペダルを回して前に進みました。
信号が点滅すると、小鼻を膨らませて必死で漕いでいました。

とてもとても充実感を味わっているようでした。
できそうかな、どうかな、できないかな～というところを頑張るのが面白いようです。

しばらくは雨が続くようです。
昨日は梅雨の合間の晴れ間に、足こぎ車椅子に乗れて良かったと思いました。


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