食欲

ゆうやは退院する前々日、夕食を半分残しました。

「どうしたの？」
「もういい、、、。」

食欲がないのでしょうか。
だんだんと食が細くなってきているのかもしれないと思いました。

翌日も夕食を残しました。
まだ調子が悪いのでしょうか。

退院した日の夕食はゆうやの好物でしたが、いつもより少なめにしました。
野菜サラダとスープ、コロッケを１つ。

誕生祝いのケーキは食べられるかなあと様子を見ていると、少しずつ少しずつ３０分ほどかけて食べていました。
いつものゆうやなら、あっと言う間に食べ終わっているところですが。

昨日、ゆうやはお昼前まで寝ていました。
「お母さん、今何時？」

もうすぐお昼だと分かり、ゆうやは落胆していました。
「朝ご飯とお昼ご飯と食べようと思っていたのに、朝昼兼用になってしまったよ。」

ということは、だんだん食欲が出て来たのかしら？
ゆうやは、朝昼兼用のゆば丼をぺろりと食べました。

昨日の夕食はヘルパーさんとの外食を希望し、野菜炒め定食を食べました。
それはそれは美味しそうにパクパク食べたそうです。

私はとても嬉しくなりました。
だんだん食欲も戻ってきたようです。
次の抗がん剤治療に向けて、これで体力もつけることができます。

ゆうやの食べている様子を見ていると、とても幸せな気分になります。
美味しくご飯を頂けるとは、とても有り難いなあと思いました。


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退院日は誕生日でした

退院してすぐに、ゆうやは電車に行きたいと言いました。

ヘルパーさんと勢い良く出かけたものの、ゆうやはしばらくするとぐったりしてきたそうです。
雑踏や外の空気に疲れたのかもしれません。

早々に帰宅したゆうやを見ると、目が充血していました。
やっぱり体力があまりないのかもしれません。

しばらく家でゆっくりしていると、目の充血が治まってきました。
ほっと安心です。

退院した日は、ゆうやの誕生日でした。

「ゆうや、誕生日に何が欲しい？」
「イチゴのケーキ♪」

お店に電話して尋ねると、イチゴのケーキがないとのことでした。
桃を中心に盛りだくさんフルーツの誕生日ケーキを注文しました。

好物のコロッケを食べた後、ケーキのろうそくを立て、「ハッピバースディ♪」の歌を歌いました。
ゆうやはとても嬉しそうでした。

「ふ～、ふ～。」とろうそくの火を消そうと頑張ります。
「頑張れ、もう少し。」
「ふ～、ふ～。」
「やった～、消えたね。」

１９歳の誕生日のお祝いを自宅でできたことが、とても嬉しく思います。
その夜はベッドに横になった途端、すぐに眠っていきました。

ゆうやが私達のもとにやってきて１９年。
いろんなことがありました。
そして、今も、とても大きな壁を乗り越えようと頑張っています。

ゆうやの寝顔を見ながら私は心中で思いました。
これからも一緒に頑張っていこうね。


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大慌ての退院日

昨日、ゆうやは２回目の抗がん剤治療を終えて、一時退院しました。

リハビリの先生が「退院日もリハビリをしましょう。」と言ってくださり、午前と午後の２回、リハビリを入れてくださっていました。
少しでもリハビリを受けることができるとは、なんて有り難いことでしょうか。

私は、リハビリを受けてから夕方４時頃退院するスケジュールを立てていました。
午前中は家で、家事やゆうやの受け入れ準備をするつもりでいました。

そこへ電話が鳴りました。
「ゆうやくんのお母さんですか。もう退院時間が来ているのですが、今どちらですか？」

ギョギョッ？！
退院時間？

看護師長さんが、前日に「入退院時間は１０時でいいですね。」と確認してくださったのですが、私はそれを「入院時間は１０時でいいですね。」と聞き間違えていました。
次の入院日の時間の確認だと思ったのです。

私は慌ててヘルパーさんに依頼をかけ、仕度をして病院へ向かいました。
洗濯も途中だったのですが～。

病院に到着してからはリハビリの先生や看護師長さん達に、平謝りです。
「お母さん、どうしてリハビリがなくなったの？」
「ごめんね。お母さんが勘違いしてしまって、、、。」

病室に様子を見に来てくださっていたリハビリの先生が明るく言ってくださいました。
「今日は残念だけど仕方がないですね～。次に入院した日からリハビリを始めましょう！」

私は帰宅してから大慌てで洗濯の続きをしました。
昨日は、その他にも小さなミスがいくつかありました。

ゆうやが言うには、朝からiPadの調子が急におかしくなり、音楽が聞けなくなってしまったのだそうです。
見ると「サムネイル取得中、、、。」とグルグル回ったままになっていました。

帰宅して再起動すると無事、音楽が聞けるようになりました。

せっかくのゆうやの一時退院がドタバタになり、皆に迷惑をかけてしまいました。
今日からはゆうやがくつろげるように、私も再起動して頑張らなくてはと思います。


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前の病院のドクターが来てくださったよ

先日、転院する前の病院のドクターが病室に来てくださいました。

ドクターは診察が終わってから遠方より来てくださったのです。
今の病院の部長先生に詳しくゆうやの病状を尋ねてくださいました。

「ゆうやくん、久しぶりだね。調子はどう？」
ドクターはゆうやの肩に優しく手を置いてくださいました。

「診断が細かいところまではっきりついて本当に良かった良かった。」と喜んでくださいました。
前の病院では原因が分からず、ドクターも随分悩まれたのでした。

「ゆうやくんの担当だった看護師さんたちが、皆心配しているよ。」
ゆうやはそのことを聞いてとても嬉しそうでした。

「そうだ、ゆうやくんと写真を一緒に撮って、皆に見てもらおう～。」
ドクターはそうおっしゃってスマホを取り出されました。

「じゃあ、私が撮りましょう。はいはい、お母さんも入って～。３人で並んでください～。」
部長先生が、「はい、チーズ♪」と写真を撮ってくださいました。

ゆうやはとても喜んでドクターに言いました。
「先生、泊まってほしいと言っても無理かな。ぼくのベッドで寝てもらいたいな～。」

ドクターは笑っておられました。
「今もちびまる子ちゃんを聞いているんだね。ずっとちびまる子ちゃん聞いていたよね。」
ゆうやは「はい。」とにっこり笑いました。

治療頑張ってね、とドクターは再びゆうやの肩に手を置かれました。
そして、私にも「頑張ってください、そして、良くなったら病院で待っていますよ。」と言ってくださいました。

良くなったら、元の病院へ行ってリハビリを受ける予定になっています。
来年、元気にドクターや看護師さんたちに会いに行きたいと思います。


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足こぎ車椅子のお蔭だよ♪

先週の金曜日、突然ゆうやは関節痛で苦しみました。

その後、１週間、痛みに耐えました。
痛い痛いと言って体に力を入れていた為、筋緊張が高まってしまいました。

足は内側の筋肉が収縮し、膝あたりで両足が交差してしまうほどです。
また、腕も肘が強く曲がったままでした。

リハビリの先生が一生懸命ストレッチをしてくださったのですが、筋肉は固まったままでした。
「困ったなあ～痛みが取れたらなあ。」と皆、思っていました。

この週末は関節痛がおさまってきたのですが、腹痛が残っていました。
けれど、リハビリを頑張らなくてはこのままでは、ゆうやの身体機能がますます落ちてしまいます。

週末は足こぎ車椅子に乗る時間を沢山とりました。

昨日、リハビリの先生がとても驚かれました。
「ゆうやくん、週末とても頑張ったんだね、金曜日と全然違うよ。」

ゆうやはかなり自分の足で踏ん張ることができるようになっていました。
さらに介助歩行もスムーズにできるようになっていました。

先生はゆうやをほめてくださいました。
「足こぎ車椅子に乗って頑張ったんだね。凄いよ。」

ゆうやは今までゆっくり座ることができませんでした。
ドスンとお尻が落ちるような座り方をしていました。

それが、足こぎ車椅子に２～３日乗っただけで、ゆっくり腰を落とすことができるようになりました。
おそるべし、足漕ぎ車椅子Profhand(プロファンド)。

リハビリ室で黄色のプロファンドに乗り、ゆうやはとても嬉しそうに笑いました。


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