ささやんの週刊X曜日

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

独身税に思う

2017-09-02 11:51:28 | 日記
国家は事あるごとに税金を取り立てる。働いて収入があれば所得税を課
し、モノを買えば消費税を課す。「モノを買えば」と言ったが、「モノを
売り買いすれば」と言ったほうが正確だろう。モノを売れば、その代価と
して得た収入にも税金が掛かる。

もう昔のことだが、使い古した車を新しい車に買い替えたとき、車を売る
のにも、買うのにも税金が掛かってうんざりした記憶がある。

まあ国家は、そんなふうにして手に入れたお金で、社会の保安や被災地の
復旧支援、医療・福祉など、いろいろなサービスを国民に提供しなければ
ならないのだから、文句は言えないんだけれどね。

でも、何だって?「独身税を導入したらどうか」と言い出した人がいて、
ネットは喧々諤々、この話題で盛り上がっているんだって? 石川県かほ
く市で、子育て中のママがまちづくりに参画する「かほく市ママ課プロ
ジェクト」のメンバーと、財務省の予算編成担当者の意見交換会が開か
れ、その時にそういう意見が出たのだという。

「結婚し子を育てると生活水準が下がる。独身者に負担をお願いできない
か」というのが、発言の真意であるようだ。子育てママさんの気持ちは解
らなくもないが、シングルマザーやLGBTの性的少数者の人たちがこんな
話を聞けば、たしかに怒り心頭だろう。

既婚者でありながら、気分はすっかりシングルジジイになってしまって
いる私。その私はそんなことには関係なく、「独身税」の発想に少なから
ず疑問を感じる。そもそも「独身」とは、望んだにせよ、望まなかったに
せよ、結婚を「しなかった」こと、つまり不作為の結果である。モノの売
り買いの場合は作為の結果だから、それが課税の対象になることは、まあ、
理解できなくはない。しかし、不作為の結果を課税の対象にするというの
は、どうなのか。

不作為といえば、社長になれなかった(ならなかった)こと、ヒトラーに
なれなかった(ならなかった)こと、仙人になれなかった(ならなかっ
た)こと、スーパーマンになれなかった(ならなかった)こと、等々、実
にいろいろなことが不作為の結果だと見ることができる。

何かをできなかった(しようとしなかった)という理由で、その人に税金
を掛けることにするのだったら、専業主婦の子育てママさんたちだって、
課税を免れないだろう。彼女たちはバリバリ・キャリア・サラリー・ウー
マンになれず(なろうとせず)、ほとんど所得税を支払っていないのだか
ら。

話はずれるが、税金面で国家財政に貢献するという点では、公園にたむろ
するヘビースモーカーのホームレスたちのほうが、はるかに勝っていると
言えるだろう。彼らの涙ぐましい納税意欲に応えて、いっそ「非喫煙税」
でも導入したらどうだろうか。

私は10年ほど前にタバコをやめたが、最近は飲酒癖を復活し、酒税面で国
家財政に貢献している。せめてヘビードリンカーは「非喫煙税」の対象者か
ら外すなど、アルコール依存症の弱者にも配慮していただければ幸いである。
コメント
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