おはようございます!
朝というのは、静かです。
皆、眠っているんでしょうねー。
というか、これから、眠りにつくひともいるんだろうなあ、と思いながら、
元気に記事を書いているのも、なかなか、おつなもんです。
若い頃は、深酒して、深夜に目覚めて、飲み直し!なんてやって今頃寝てたこともあったなあ。
それで、週末、寝てすごしたり、まあ、若い頃はいろいろやっていたもんです(笑)。
さて、1Q84の世界を読み解くのも久しぶりです。
今回は、第18章ということで、天吾くんのストーリーです。
前回の天吾くんのストーリーでは、ふかえりが新人賞をとることが決まり、
その記者会見用の練習を、天吾くんがふかえりに施していたんでしたね。
というわけで、18章、はじめていきましょうか!
例の記者会見のあと、天吾くんに、小松から電話がかかってくるところから、話は始まります。
まあ、ふかえりは、そつなくこなした、ということです。
天吾くんが希望したように、ふかえりは、例のピッチリして胸の形がきれいに出るサマーセーターを着て
記者会見に臨んだようだし、小松に言わせれば、
「胸の形がきれいに出ていた。まるでできたてのほかほかみたいに見えた」
というわけで、多くの記者が男性だったということもあり、戦略はうまくいったということでしょう。
まあ、男性は、そういうのに、弱いですからね(笑)。
ふかえりは、美少女だそうだし、まあ、きつい質問はしたくないのが人情という奴でしょう。
ふかえりは、
「平家物語のどの部分が好きですか?」
という質問には、5分にも渡る暗誦で、答えたというのですから、まあ、型破りな美少女を演じきったわけですねー。
小松は、
「あの少女は特別だ。俺が特別と言う時、それは本当に特別なんだ」
と言っていますから、まあ、特別な少女ですよね。
その少女が新人賞を獲得したわけですから、誰もがその著作を読みたいと思うでしょうね。
小松は、
「数日で売り切れる」
と予想しましたが、その予測をはるかに越え、当日のうちにその作品を掲載した文芸誌は、売り切れました。
そして、そのことは、文芸誌の増刷を呼ぶわけです。
で、小松は、
「ホットなうちにこいつを売りまくるんだ。間違いなくこいつはベストセラーになる。俺が保証するよ。だから、天吾くんも、お金の使い道を考えておいたほうがいいぜ」
と言うことになるわけです。
単行本の出版4日前、ふかえりが朝の9時に天吾くんに、電話をかけてきます。午後の4時に会いたいと。
そして、天吾くんは、例の喫茶店にふかえりに会いにいくと、戎野先生も同席しているわけです。
戎野先生は、天吾くんの「空気さなぎ」のリライト作業が素晴らしい仕事だと考えていて、その御礼がしたかったと言うわけです。
しかし、天吾くんは、リライト作業に意味があったことは認めても、自分がしてしまったことの重大さに幾分、辟易しているようです。
それで、その作業を認めた戎野先生の考えを、聞こうとするわけです。
ふかえりをどうしようとしているのか、ということですね。
ふかえりの両親は、「さきがけ」の内部にいるし、戎野先生はだからと言ってふかえりの後見人でもない、という。
「ふかえりはベストセラー作家になる。それによって、さきがけ内部の両親は、ふかえりに対して、動きがとれなくなる。その後は、どう話が進むのですか」
と、天吾くんは、戎野先生に質問するわけです。そりゃ、そう聞きたくなりますよね。
それに対して、戎野先生は、
「それはわたしにもわからん。見当もつかない」
というわけです。
えーーーーー!ってなりますよね。普通は。
天吾くんは、言うわけです。我々は一種の詐欺行為を働いているんだ、と。それでもいいのか、と。
戎野先生は、それに対して、仕方がない、という立場をとるわけです。非常に高い知性を持った元学者先生の意見とは思えない話ですね。
そこで、そういう態度をとる戎野先生に対して、天吾くんは、推測を述べるわけです。
「「空気さなぎ」が騒がれることを利用して、「さきがけ」にいる、ふかえりの両親に何が起こったか、真相を暴く」
というようなことを天吾くんは、言うわけですねー。
戎野先生は、「さきがけ」という団体のあらまし、教義がなんで、教祖はいないこと、個人崇拝を排して、集団で指導する形であることなどを語ります。
そして、ふかえりの父親、深田さんが、「さきがけ」が教団に変容する際に、主導権争いに負け、それから幽閉されているのではないか、という推測を述べるわけです。
「ふかえりをベストセラー作家にして、その状況に側面から、揺さぶりをかける」
のが、戎野先生の腹積もりだったことが、ここに語られるわけです。
「えりさんを餌がわりに、大きな虎を藪の中から、おびきだそうとしている」
と、天吾くんは言います。そして、教団内で、なにか暴力的なことが行われ、それが外に出てくるかもしれない示唆を提示するわけです。
そのとき、ふかえりが、突然言います。
「リトル・ピープルが来たから」
あの青豆ストーリーの少女、つばさちゃんが、言ったことばと、同じ単語が出ました。
暴力的なこと、と、リトル・ピープル。
たしか、つばさちゃんは、女性機能を破壊されていたとしていた。今度も、暴力的なことに、つながることだ。
リトル・ピープルは、なんらかの、暴力行為を行うのか。
このあたり、一応記憶の片隅においておきましょう。
それに対してビッグブラザーというスターリニズムをシンボライズ化した言葉が提示されます。ジョージ・オーウェルが著作「1984」で表現した暴力表現。
その暴力表現が、有名になりすぎたために、もう、現実世界に、ビッグブラザーは出現しない、としています。しかし、その対比的表現である、
「リトル・ピープル」
が現れてきた。
戎野先生は、興味深いとしながらも、それを探らなければならない、としています。そして、リトル・ピープルをおびき出すべきだという態度をとります。
天吾くんは例のように慎重な性格ですから、それに危険な匂いを感じ取るわけですが・・・もう、後へは戻れないという言葉が戎野先生の口から
語られ、話しあいは、終を告げるわけです。
ここで、語られたことは、この詐欺的行為が、ふかえりの両親を「さきがけ」から助けだす支援になっていると、戎野先生が考えているということです。
そして、その暴力性にリトル・ピープルが関連していること。スターリニズムのシンボライズであるビッグブラザーとは、対比的表現であり、興味深いこと。
いずれにしろ、何が飛び出してくるかわからないが、やってみることだ、と戎野先生が考えている、ということです。
このことは、今後、「さきがけ」の内部に隠されたなにかがあって、それを詮索していくのが、この物語の流れになるということを示唆しています。
そして、そこにリトル・ピープルが大きく関わっていること。そらがなんらかのシンボライズなのか、そういう人々がいるのか、そのあたりが、
物語の筋の先にあるストーリーだということになります。
この「1Q84」がジョージ・オーウェルの「1984」のオマージュであるならば、現実世界の行く末というあたりも、今後表現されるということなのかもしれません。
いずれにしろ、この本が書こうとしているのは、「さきがけ」に隠される宗教的世界であり、そこにある価値観やら、新しい1Q84的世界の価値観も
描こうとしているのかもしれません。それは非日常の世界、それによって、我々をジェットコースター的ハラハラドキドキ感の世界へ誘おうとしていることが、
わかります。
戎野先生が帰ると、ふかえりと天吾くんは、喫茶店を出て新宿の街を歩きます。
そして、ふかえりは、天吾くんの家に泊まる、と宣言します。
美少女が、自分の部屋に泊まる!と言ったら、男子は、大喜びでしょう(笑)。
そういうあたりをくすぐっているのですが、まあ、草食男子向け施策です。
そして、いろいろ考える天吾くんですが、
「いいよ」
と、OKするわけです。そして、それがどうなるかは、次回の天吾くんストーリーでのお楽しみ、というわけで、本章が終わるわけです。
本章は、今後の展開の予告的な章で、何かが動くというより、いよいよ「さきがけ」にフォーカスが絞られてきたことを説明しています。
「さきがけ」内のふかえりの両親を助けるために、ふかえりの小説は使われたことも明らかにされたし、「さきがけ」内には
「リトル・ピープル」という暴力に関係するなにか、があることも提示されたわけです。
「リトル・ピープル」にフォーカスしてきた章とも、言えると思います。それは、何なのか。ほんとうに、暴力に関係があるのか。
そして、つばさちゃんとの関係は?ということで、ほんとに、次回予告のような内容でした。
そういう意味では、つなぎの章と言うことができると思います。
次回への期待を煽った回と言えるでしょうね。
そのあたりが、結論でしょうか。
ここまで、読んで頂いたみなさん、ありがとうございました。
また、次回、お会いしましょう!
ではでは。