「ゆるちょ・インサウスティ!」の「海の上の入道雲」

楽しいおしゃべりと、真実の追求をテーマに、楽しく歩いていきます。

第18章 もうビックブラザーの出てくる幕はない

2010年11月18日 | 先人の分析

おはようございます!

朝というのは、静かです。

皆、眠っているんでしょうねー。

というか、これから、眠りにつくひともいるんだろうなあ、と思いながら、

元気に記事を書いているのも、なかなか、おつなもんです。

若い頃は、深酒して、深夜に目覚めて、飲み直し!なんてやって今頃寝てたこともあったなあ。

それで、週末、寝てすごしたり、まあ、若い頃はいろいろやっていたもんです(笑)。


さて、1Q84の世界を読み解くのも久しぶりです。

今回は、第18章ということで、天吾くんのストーリーです。

前回の天吾くんのストーリーでは、ふかえりが新人賞をとることが決まり、

その記者会見用の練習を、天吾くんがふかえりに施していたんでしたね。


というわけで、18章、はじめていきましょうか!


例の記者会見のあと、天吾くんに、小松から電話がかかってくるところから、話は始まります。

まあ、ふかえりは、そつなくこなした、ということです。

天吾くんが希望したように、ふかえりは、例のピッチリして胸の形がきれいに出るサマーセーターを着て

記者会見に臨んだようだし、小松に言わせれば、

「胸の形がきれいに出ていた。まるでできたてのほかほかみたいに見えた」

というわけで、多くの記者が男性だったということもあり、戦略はうまくいったということでしょう。

まあ、男性は、そういうのに、弱いですからね(笑)。

ふかえりは、美少女だそうだし、まあ、きつい質問はしたくないのが人情という奴でしょう。

ふかえりは、

「平家物語のどの部分が好きですか?」

という質問には、5分にも渡る暗誦で、答えたというのですから、まあ、型破りな美少女を演じきったわけですねー。

小松は、

「あの少女は特別だ。俺が特別と言う時、それは本当に特別なんだ」

と言っていますから、まあ、特別な少女ですよね。

その少女が新人賞を獲得したわけですから、誰もがその著作を読みたいと思うでしょうね。

小松は、

「数日で売り切れる」

と予想しましたが、その予測をはるかに越え、当日のうちにその作品を掲載した文芸誌は、売り切れました。

そして、そのことは、文芸誌の増刷を呼ぶわけです。

で、小松は、

「ホットなうちにこいつを売りまくるんだ。間違いなくこいつはベストセラーになる。俺が保証するよ。だから、天吾くんも、お金の使い道を考えておいたほうがいいぜ」

と言うことになるわけです。


単行本の出版4日前、ふかえりが朝の9時に天吾くんに、電話をかけてきます。午後の4時に会いたいと。

そして、天吾くんは、例の喫茶店にふかえりに会いにいくと、戎野先生も同席しているわけです。

戎野先生は、天吾くんの「空気さなぎ」のリライト作業が素晴らしい仕事だと考えていて、その御礼がしたかったと言うわけです。

しかし、天吾くんは、リライト作業に意味があったことは認めても、自分がしてしまったことの重大さに幾分、辟易しているようです。

それで、その作業を認めた戎野先生の考えを、聞こうとするわけです。

ふかえりをどうしようとしているのか、ということですね。

ふかえりの両親は、「さきがけ」の内部にいるし、戎野先生はだからと言ってふかえりの後見人でもない、という。

「ふかえりはベストセラー作家になる。それによって、さきがけ内部の両親は、ふかえりに対して、動きがとれなくなる。その後は、どう話が進むのですか」

と、天吾くんは、戎野先生に質問するわけです。そりゃ、そう聞きたくなりますよね。

それに対して、戎野先生は、

「それはわたしにもわからん。見当もつかない」

というわけです。

えーーーーー!ってなりますよね。普通は。

天吾くんは、言うわけです。我々は一種の詐欺行為を働いているんだ、と。それでもいいのか、と。

戎野先生は、それに対して、仕方がない、という立場をとるわけです。非常に高い知性を持った元学者先生の意見とは思えない話ですね。

そこで、そういう態度をとる戎野先生に対して、天吾くんは、推測を述べるわけです。

「「空気さなぎ」が騒がれることを利用して、「さきがけ」にいる、ふかえりの両親に何が起こったか、真相を暴く」

というようなことを天吾くんは、言うわけですねー。

戎野先生は、「さきがけ」という団体のあらまし、教義がなんで、教祖はいないこと、個人崇拝を排して、集団で指導する形であることなどを語ります。

そして、ふかえりの父親、深田さんが、「さきがけ」が教団に変容する際に、主導権争いに負け、それから幽閉されているのではないか、という推測を述べるわけです。

「ふかえりをベストセラー作家にして、その状況に側面から、揺さぶりをかける」

のが、戎野先生の腹積もりだったことが、ここに語られるわけです。

「えりさんを餌がわりに、大きな虎を藪の中から、おびきだそうとしている」

と、天吾くんは言います。そして、教団内で、なにか暴力的なことが行われ、それが外に出てくるかもしれない示唆を提示するわけです。

そのとき、ふかえりが、突然言います。

「リトル・ピープルが来たから」

あの青豆ストーリーの少女、つばさちゃんが、言ったことばと、同じ単語が出ました。

暴力的なこと、と、リトル・ピープル。

たしか、つばさちゃんは、女性機能を破壊されていたとしていた。今度も、暴力的なことに、つながることだ。

リトル・ピープルは、なんらかの、暴力行為を行うのか。

このあたり、一応記憶の片隅においておきましょう。


それに対してビッグブラザーというスターリニズムをシンボライズ化した言葉が提示されます。ジョージ・オーウェルが著作「1984」で表現した暴力表現。

その暴力表現が、有名になりすぎたために、もう、現実世界に、ビッグブラザーは出現しない、としています。しかし、その対比的表現である、

「リトル・ピープル」

が現れてきた。

戎野先生は、興味深いとしながらも、それを探らなければならない、としています。そして、リトル・ピープルをおびき出すべきだという態度をとります。

天吾くんは例のように慎重な性格ですから、それに危険な匂いを感じ取るわけですが・・・もう、後へは戻れないという言葉が戎野先生の口から

語られ、話しあいは、終を告げるわけです。


ここで、語られたことは、この詐欺的行為が、ふかえりの両親を「さきがけ」から助けだす支援になっていると、戎野先生が考えているということです。

そして、その暴力性にリトル・ピープルが関連していること。スターリニズムのシンボライズであるビッグブラザーとは、対比的表現であり、興味深いこと。

いずれにしろ、何が飛び出してくるかわからないが、やってみることだ、と戎野先生が考えている、ということです。


このことは、今後、「さきがけ」の内部に隠されたなにかがあって、それを詮索していくのが、この物語の流れになるということを示唆しています。

そして、そこにリトル・ピープルが大きく関わっていること。そらがなんらかのシンボライズなのか、そういう人々がいるのか、そのあたりが、

物語の筋の先にあるストーリーだということになります。


この「1Q84」がジョージ・オーウェルの「1984」のオマージュであるならば、現実世界の行く末というあたりも、今後表現されるということなのかもしれません。

いずれにしろ、この本が書こうとしているのは、「さきがけ」に隠される宗教的世界であり、そこにある価値観やら、新しい1Q84的世界の価値観も

描こうとしているのかもしれません。それは非日常の世界、それによって、我々をジェットコースター的ハラハラドキドキ感の世界へ誘おうとしていることが、

わかります。


戎野先生が帰ると、ふかえりと天吾くんは、喫茶店を出て新宿の街を歩きます。

そして、ふかえりは、天吾くんの家に泊まる、と宣言します。


美少女が、自分の部屋に泊まる!と言ったら、男子は、大喜びでしょう(笑)。

そういうあたりをくすぐっているのですが、まあ、草食男子向け施策です。

そして、いろいろ考える天吾くんですが、

「いいよ」

と、OKするわけです。そして、それがどうなるかは、次回の天吾くんストーリーでのお楽しみ、というわけで、本章が終わるわけです。


本章は、今後の展開の予告的な章で、何かが動くというより、いよいよ「さきがけ」にフォーカスが絞られてきたことを説明しています。

「さきがけ」内のふかえりの両親を助けるために、ふかえりの小説は使われたことも明らかにされたし、「さきがけ」内には

「リトル・ピープル」という暴力に関係するなにか、があることも提示されたわけです。


「リトル・ピープル」にフォーカスしてきた章とも、言えると思います。それは、何なのか。ほんとうに、暴力に関係があるのか。

そして、つばさちゃんとの関係は?ということで、ほんとに、次回予告のような内容でした。


そういう意味では、つなぎの章と言うことができると思います。

次回への期待を煽った回と言えるでしょうね。


そのあたりが、結論でしょうか。


ここまで、読んで頂いたみなさん、ありがとうございました。

また、次回、お会いしましょう!

 

ではでは。


最新の画像もっと見る