おはようございます。
なんだか、今日も夜、雪とか。
いやあ、寒い季節ですねー。
さて、その時、僕らは事務所の近所の和風居酒屋の個室で、お酒を楽しんでいました。
「わたしね。最近、日本人のしあわせと言う事で言うと・・・前にゆるちょくんに教えて貰った話だけど」
「やっぱり、本能から楽しませる事が日本人の本当のしあわせなのかしら?って思っているのよね」
と、御島さん(31)。
「本能から楽しませる・・・ですか?」
と、貴島くん(29)。
「ゆるちょくんが指摘してくれたのは・・・日本人は「好き・嫌い」の文化なんだから、「好きこそ物の上手なれ」で」
「好きな事をやってる時が一番しあわせを感じるんだ・・・だから、本能的な欲求・・・交尾欲、排泄欲、睡眠欲、食欲」
「を満たす事が大事で・・・理性的な欲求・・・財産欲、社会的な評価欲は、後回しで構わないって言う話」
「・・・を聞いていたから、その話が元で考えたのよ、ね・・・本能から楽しませる事こそ、日本人のしあわせ・・・」
と、御島さん。
「そう言うと難しいけど・・・要はやりたい事をやる・・・って言うのが、日本人的には、最もしあわせなんだと思うんだよね、僕は」
と、僕。
「あと、わたしは交尾欲って言う言葉を使ったけど・・・これって要は「恋」なのよ」
「で・・・女性は特にこの「恋したい欲」が大事・・・もちろん、個人差はあるけど、自分に自信のある女性は恋を」
「楽しむ・・・それを大事にしているわね」
と、御島さん。
「だから、たとえ、交尾に至らなくても・・・いろいろなカタチの恋があるでしょう?」
「恋する相手を視界に入れておければ、それで満足って恋もあれば・・・相手の男性に、声をかけてもらって、笑顔で話せる恋のカタチが」
「大事な女性もいるわ。あるいは、自分を意識してくれるだけで、それでいい・・・とか、いろいろなのよ」
と、御島さん。
「だから、「恋」の欲求は、いろいろなカタチがある・・・そう言いたいんですね」
と、辛辣姫。
「そういう事。むしろ、交尾は「恋」のカタチの一形態って感じかしらね。それがあればいいってもんじゃないし」
と、御島さん。
「「恋」は・・・いろいろなんですね」
と、池澤くん(24)。
「そうよ。だから楽しいんじゃない・・・」
と、御島さん。
「女性はいつでも恋してる・・・そういう話ですか?」
と、池澤くん。
「それも個人差があるわ。でも、女性にとって、恋は楽しい・・・それは本当ね」
と、御島さん。
「でも・・・日本人のしあわせとは、「本能的欲求を満たす事」って言う定義は、とても具体的でわかりやすいですよ」
と、貴島くん。
「・・・ともすると、学校なんかでは、「本能的欲求を我慢する事」みたいな言われ方をしそうですからね」
と、貴島くん。
「そういう変な教育が学校時代に成されるから、日本人はしあわせになるなり方が下手になっちゃうのよ」
「社会に出て、ただ我慢なんかしてても、しあわせなんか絶対にやって来ないわ」
「むしろ、しあわせが逃げちゃうモノ」
と、御島さん。
「わたし、ゆるちょくんが言っていた事で、今も大事にしている事があるの」
「それは今も言ったけど「人間したい事をする事がしあわせ。誰かに指図されてしたくもない事をやらされるのが超ストレスにして」」
「「ふしあわせを生む」って言う話なのね。だから、わたしはうちの事務所では、皆で話し合いながらやるべき事を決めていく」
「やり方を採用しているの。それは皆知っている事じゃない?」
と、御島さん。
「ええ。そうですね。僕も直属のアニキの貴島さんとトコトン話し合って、やるべき事を明確にしていますから・・・」
と、池澤くん。
「ゆるちょさんがいつも言っていますけど「誰かに何か指図されると「今、やろうと思っていたのに・・・」って常に不満な気持ちが」」
「「起こるだろ?あれが超ストレスなんだよ。あれは無くさないといけない」・・・わたしもそう思いますね」
「上から目線の指図・・・嫌いです」
と、辛辣姫。
「僕が脱サラした後、輝いていられるのは、御島さんがそういう僕の意見を採用してくれて・・・やるべき事を自分たちで」
「見つけて・・・それをやっていくって言う方法を採ってくれてるからなんだよね。やっぱり、やりたい事をやるのは楽しいし」
「それで試行錯誤しながら、事務所をいい方向へ進化させていくって言うのは、ある意味、楽しみでもあるから」
と、僕。
「ゆるちょくんは「ストレスの無い方向こそ、正しい方向だ」って言う事も言ってくれてるから・・・」
「そういう試行錯誤も大事だと思うわ。その試行錯誤の後に新しいやり方が確立されていくし・・・既存のやり方をただ踏襲」
「するだけじゃ、進化出来ない事もわかったの。素晴らしい事だと思うわ、それって」
と、御島さん。
「結局、そのおかげで、皆、笑顔で仕事を出来ていますからね。しかも、毎日、いろいろな進化がある」
「それにクライアントさんからも、好評だし、いいことずくめの感じがありますね」
と、辛辣姫。
「だた、仕事をただバリバリやればいいって言う考え方は、間違いだったんですね」
「そんな事より、どういうやり方をすれば、ストレスフリーの方向へ持っていけるか?楽しみながら、高い成果を出す方法を」
「創りだして、それを実践する方が、評価も高いし、高いお金を稼げる。そこですからね、大事なのは」
と、貴島くん。
「結局ね。わたしの思いとして・・・企業のサラリーマンって、皆、怖い顔して仕事しているじゃない」
「ストレスを溜めるのは当たり前みたいな・・・そのおかげで、例えば、ゆるちょくんは重いうつ病にかかったんでしょう?」
と、御島さん。
「まあね。あの頃は、何もわからなかったし、バリバリ働けない自分も嫌だったけど」
「わかりきっていたのは、自分の居場所はここじゃない・・・って言う事だけだったね」
「そこにいなければならなかったからこそ・・・そこで仕事を強制されたからこそ、壊れたって事だけはわかっていたよ」
と、僕。
「その話を以前、ゆるちょくんに聞いた時・・・それって間違った職場環境だと思ったのよ・・・あるいはそこにゆるちょくんがいた事が間違っていた・・・」
「でも、調べてみると、サラリーマンのうつ病は毎年、300万人以上が罹患しているって言うし・・・日本のサラリーマンの人口を5000万人とすると」
「6%と言う事になるけど・・・10人にひとりとまで行かないにせよ、20人にひとりはうつ病になる確率だから・・・ちょっと高い感じがするわよね」
と、御島さん。
「そのひとりに・・・仕事をバリバリこなせる、このゆるちょくんが、なっていたんだから」
「やっぱり、間違ったやり方と正しいやり方があるんだわ・・・って気づいたの。わたしは事務所の社長として、そこはなんとしても」
「正しい知恵を作るべきと思ったのよね・・・」
と、御島さん。
「御島さんは、そういう所が基本、クソマジメですからね」
と、僕。
「それはゆるちょくんも同じでしょう?」
と、御島さん。少し笑みがある。
「そうですね。それは確かにその通りです」
と、僕。
「わたしね。実は以前、「戦国時代の武田家の結束の強さの秘密」・・・みたいな文献に目を通した事があるのよ」
と、御島さん。少し含み笑いをしている。
「武田家と言えば・・・武田信玄を中心にした鉄の結束を誇っていて・・・男性達が理性的に御屋形様に尽くしていた・・・みたいな説明がなされるじゃない?」
「でも、その文献は全くその逆だったの」
と、御島さん。
「どういう事です?」
と、貴島くん。
「部下たちは皆、御屋形様に惚れぬいていた・・・恋していたからこそ、御屋形様の為にチカラを尽くし、死をも厭わず、武田家を守りぬいた」
「・・・だから、御屋形様の死後、長篠の戦いで、部下たちは死に急いだ・・・そういう説明。ま、概ね話は合っているし」
「実はそうなのかな?ってわたしも思っているの。それを実は思い出して・・・」
と、御島さん。
「御島さんは、女性達は「恋」を日々の糧にしていると言ったけど・・・日本では男性の組織の世界でも、恋が日々の糧になっているって・・・そういう事を言っています?」
と、僕。
「実は、そうなの。それに気づくと・・・少しずつわかってくる事があるわ」
と、御島さん。
「確かに・・・武田信玄と言えば、高坂弾正との恋のさやあては・・・有名な話ですからね。それだけ、武田信玄公は男性として魅力のあった存在だったと言う事ですか」
と、貴島くん。
「・・・だとすると・・・男性的「鉄の結束」の中心には、皆から「恋」される魅力的な男性の存在が必要って事になりますよ」
「・・・サラリーマンの世界とは大違いだ」
と、池澤くん。
「そうなの。わたしはそこに注目したのよ。実はそこで比較材料にしたのが、何を隠そうゆるちょくんだったの」
と、御島さん。
「え?僕ですか?」
と、僕。
「そう。ゆるちょくん・・・ゆるちょくんは前のサラリーマンの職場では、うつ病を発症したわ。でも、今はこの事務所の戦略会議の副議長の立場にあるわ」
「それで気づいたの。そう言えば、いつも会議の終わる時・・・すべての意見をまとめてくれて、議長であるわたしに「じゃ、これでいいですか?今後のうちの打つ手は」」
「「具体的にこれとこれ。で、担当は誰と誰・・・これでいいですね、議長!」って提示してくれる。わたしはいつもそれに対してゴーサインを出してきたに過ぎない事に気づいたの」
と、御島さん。
「つまり、今後の戦略を実質的に決めてたのは・・・実は副議長であるゆるちょくんだったのよ。だから、皆、「納得」してくれて・・・会議は笑顔のうちに終わってた」
「事務所も上手く回っていた・・・実は武田家の武田信玄の位置にいたのが、ゆるちょくんだって・・・後々になってわかったのよ・・・」
と、御島さん。
「「納得」なのよ。大事なのは。日本人が従うのは、本能的な「納得」なの。それが出来る人間は、限られているって事にわたし、気がついたの」
と、御島さん。
「ゆるちょくんはサラリーマン時代は、うつ病になっていたのに対して、今は、この事務所をガンガン進化させ、皆を笑顔にしながら、いい感じで、回している」
「御屋形様の位置にいる。常に笑顔で、事務所のメンバーも、いつも事務所の大部屋の片隅で仕事をしているゆるちょくんにおしゃべりをして」
「お茶を飲んで安堵している。ゆるちょくんがいなければいけなかったのは、皆を引っ張る信玄公と同じ、御屋形様の位置だったって・・・ようやくわたしは気づいたの」
と、御島さん。
「確かに、事務所に来て、ゆるちょさんがいつものように、大部屋の片隅でパタパタ仕事していると、すっごい安堵感がありますね」
と、辛辣姫。
「確かに・・・そうか・・・ゆるちょさんの決定なら、素直に乗れますからね。むしろ、乗りたい気分の方が大きいかもしれない」
と、貴島くん。
「確かにゆるちょさんの提案だったら、納得して乗れますからね」
と、池澤くん。
「それでね。わかってきたのよ。上から目線は嫌だし、ストレスになるけど・・・恋している相手の・・・もちろん、「サル山のボス力」が強力で人間性も大きく」
「精神的にも強い男性なら・・・女性も男性も・・・素直にその言葉に従うし、むしろ、言葉が欲しいとさえ、思うわ。その精神状態を人は恋と呼ぶとわかったの、わたし」
と、御島さん。
「それが、うちの事務所の・・・ゆるちょくんの存在だって・・・その時、わかったの」
と、御島さん。
「そういう状態の男性が中心にいれば、そのコミュニティは活性化するし、強い結束を生みますね」
と、辛辣姫。
「・・・と言うか、むしろ、そういう状態でなければ、強い結束も生まれないでしょうね。恋をベースにした強い結束は」
と、貴島くん。
「そうなの。そして、この「恋」こそ「情」なのよ。日本人は「情」があるからこそ、強い結束を実現出来る・・・」
「わたしは、日本人を使うなら、スマホを買っても、通話しかしないような状態じゃ、ダメだと思ったの」
「日本人もいろいろな機能を使わなければ・・・日本人としての独自な機能を・・・それこそ「情」をベースにした縦横のつながりだと思ったの」
と、御島さん。
「昔、松下幸之助さんが現役の頃・・・戦後、多くの会社がアメリカナイズされたビジネスモデルを日本に導入しようとして、大失敗した歴史があるの」
「その時、松下幸之助さんは、「餅は餅屋・・・それが日本人だす」って言ったそうよ。つまり、日本人には日本人の文化があって、安易にアメリカのビジネスライクな」
「つきあいの文化を取り入れてもダメだって、警鐘を鳴らしたそうなの・・・だからこそ、日本では「情」ベースの強い「絆」を誇る「鉄の結束」こそ、大事だと思ったのよ」
と、御島さん。
「その人間関係のベースこそ、強いオスに恋する男女の部下達の「恋」・・・だったんですね」
「本能的な思いですね、それ」
と、辛辣姫。
「そう。それがわかったの。戦略会議で、皆で考えるようにして決定を下していたけど・・・なんの事はない・・・皆、ゆるちょくんの為に決定を作り上げて」
「ゆるちょくんが納得したら、皆、それに従っていただけなのよ。構図的には、それだったのね・・・それに今頃気づいたって、わけ」
と、御島さん。
「だから、オスは皆を精神的にまとめ上げる役割を果たし・・・その行為を含め、すべてに決定権を握っているのは、そのオスのメス・・・」
「ゆるちょくんがオスの役割を果たし、わたしはメスの役割を果たしていたって事よ。でも、それこそが、「情」ベースの鉄の結束を生む構造なの」
「それが最初にわかって・・・すごく勉強になったの・・・わたし」
と、御島さん。
「・・・となると、日本の「情」の構造って、かなり、人間の本能的な部分と言うか能力に拠っている感じになりますね」
「シンプルに言うと・・・人間的大きさや、精神的な強さと言う本能的な能力が鍛えられていないと・・・出来ない構造って事になるし」
と、貴島くん。
「そうなの。だから、勉強しか、して来なかったオスやメスには、こういう構造は作れないの。実現不可能なの」
「本能的な能力が追求出来ていないから・・・そういうメンバーでサラリーマンの組織は構成されているから・・・コミュニティが機能しなくて」
「うつ病を発症する人間が出て来るのよ・・・」
と、御島さん。
「それって、企業のサラリーマンが人間的に未熟だから・・・組織が機能しないって事を言っていますよ、御島さん」
と、池澤くん。
「それが一方の結論でもあるもの。それが何か?」
と、御島さん。
「さすが御島さん。叩き上げはやっぱり違うね。言う事が」
と、僕。
「「出る杭は叩かれるからこそ、成長出来る」と言ったのは、ゆるちょくんじゃなかった?」
「この答えがそれを証明しているんじゃなくて?」
と、御島さん。
「日本のコミュニティは、小さい方は家族から・・・大きい方は日本政府に至るまで・・・この構造が必要となるわ」
「「サル山のボス力」マックスな人間性の大きい、精神的に強いオスの存在を中心に、そのオスに皆が恋し、強い絆を作り、鉄の結束を図る事の出来る強いコミュニティ・・・」
「メスももちろん皆に愛されるけど、強いオスを唯一承認出来る強い存在になる事が必要になるわ」
と、御島さん。
「だから、メスはそのコミュニティのメスの集団を統一出来、皆に愛される、強い個体である必要があるわ。人間性が大きく、精神的にも強い」
「叩き上げの女性ね。周囲の人間の事がまず、真っ先に考えられる配慮の出来る女性でなければ、ならないけどね・・・」
と、御島さん。
「そして、皆の中心になるオスは・・・コミュニティ全体に配慮出来る、大きな気持ちを持った個体である必要があるわ」
「それは武田信玄的に・・・その時、初めて、「人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵」状態を実現出来るのね」
と、御島さん。
「なるほど・・・具体的には、武田信玄の武田家をイメージすればいいんですね。あれがすべて恋のチカラでつながっていたとは・・・」
「まあ、でも、恋のチカラがあるなら、何か指示されても、嫌な気持ちになるどころか・・・「御屋形様の為ならば」と自然な気持ちで受け入れられますよ」
と、僕。
「でしょう?そこには「ハッピーエナジー」が生まれるわ。決してストレスを生みはしない」
「そここそ、キモなの。「ハッピーエナジー」を生む関係こそ、人を笑顔にする関係だもの」
と、御島さん。
「人を笑顔にする関係か・・・それを追求する事こそ、しあわせの真髄かもしれないね」
と、僕。
「でしょう?。そう。そうなのよ!」
と、御島さんは言うと、日本酒をクイッと飲み干して、目の笑う、素敵な笑顔になった。
(おしまい)
なんだか、今日も夜、雪とか。
いやあ、寒い季節ですねー。
さて、その時、僕らは事務所の近所の和風居酒屋の個室で、お酒を楽しんでいました。
「わたしね。最近、日本人のしあわせと言う事で言うと・・・前にゆるちょくんに教えて貰った話だけど」
「やっぱり、本能から楽しませる事が日本人の本当のしあわせなのかしら?って思っているのよね」
と、御島さん(31)。
「本能から楽しませる・・・ですか?」
と、貴島くん(29)。
「ゆるちょくんが指摘してくれたのは・・・日本人は「好き・嫌い」の文化なんだから、「好きこそ物の上手なれ」で」
「好きな事をやってる時が一番しあわせを感じるんだ・・・だから、本能的な欲求・・・交尾欲、排泄欲、睡眠欲、食欲」
「を満たす事が大事で・・・理性的な欲求・・・財産欲、社会的な評価欲は、後回しで構わないって言う話」
「・・・を聞いていたから、その話が元で考えたのよ、ね・・・本能から楽しませる事こそ、日本人のしあわせ・・・」
と、御島さん。
「そう言うと難しいけど・・・要はやりたい事をやる・・・って言うのが、日本人的には、最もしあわせなんだと思うんだよね、僕は」
と、僕。
「あと、わたしは交尾欲って言う言葉を使ったけど・・・これって要は「恋」なのよ」
「で・・・女性は特にこの「恋したい欲」が大事・・・もちろん、個人差はあるけど、自分に自信のある女性は恋を」
「楽しむ・・・それを大事にしているわね」
と、御島さん。
「だから、たとえ、交尾に至らなくても・・・いろいろなカタチの恋があるでしょう?」
「恋する相手を視界に入れておければ、それで満足って恋もあれば・・・相手の男性に、声をかけてもらって、笑顔で話せる恋のカタチが」
「大事な女性もいるわ。あるいは、自分を意識してくれるだけで、それでいい・・・とか、いろいろなのよ」
と、御島さん。
「だから、「恋」の欲求は、いろいろなカタチがある・・・そう言いたいんですね」
と、辛辣姫。
「そういう事。むしろ、交尾は「恋」のカタチの一形態って感じかしらね。それがあればいいってもんじゃないし」
と、御島さん。
「「恋」は・・・いろいろなんですね」
と、池澤くん(24)。
「そうよ。だから楽しいんじゃない・・・」
と、御島さん。
「女性はいつでも恋してる・・・そういう話ですか?」
と、池澤くん。
「それも個人差があるわ。でも、女性にとって、恋は楽しい・・・それは本当ね」
と、御島さん。
「でも・・・日本人のしあわせとは、「本能的欲求を満たす事」って言う定義は、とても具体的でわかりやすいですよ」
と、貴島くん。
「・・・ともすると、学校なんかでは、「本能的欲求を我慢する事」みたいな言われ方をしそうですからね」
と、貴島くん。
「そういう変な教育が学校時代に成されるから、日本人はしあわせになるなり方が下手になっちゃうのよ」
「社会に出て、ただ我慢なんかしてても、しあわせなんか絶対にやって来ないわ」
「むしろ、しあわせが逃げちゃうモノ」
と、御島さん。
「わたし、ゆるちょくんが言っていた事で、今も大事にしている事があるの」
「それは今も言ったけど「人間したい事をする事がしあわせ。誰かに指図されてしたくもない事をやらされるのが超ストレスにして」」
「「ふしあわせを生む」って言う話なのね。だから、わたしはうちの事務所では、皆で話し合いながらやるべき事を決めていく」
「やり方を採用しているの。それは皆知っている事じゃない?」
と、御島さん。
「ええ。そうですね。僕も直属のアニキの貴島さんとトコトン話し合って、やるべき事を明確にしていますから・・・」
と、池澤くん。
「ゆるちょさんがいつも言っていますけど「誰かに何か指図されると「今、やろうと思っていたのに・・・」って常に不満な気持ちが」」
「「起こるだろ?あれが超ストレスなんだよ。あれは無くさないといけない」・・・わたしもそう思いますね」
「上から目線の指図・・・嫌いです」
と、辛辣姫。
「僕が脱サラした後、輝いていられるのは、御島さんがそういう僕の意見を採用してくれて・・・やるべき事を自分たちで」
「見つけて・・・それをやっていくって言う方法を採ってくれてるからなんだよね。やっぱり、やりたい事をやるのは楽しいし」
「それで試行錯誤しながら、事務所をいい方向へ進化させていくって言うのは、ある意味、楽しみでもあるから」
と、僕。
「ゆるちょくんは「ストレスの無い方向こそ、正しい方向だ」って言う事も言ってくれてるから・・・」
「そういう試行錯誤も大事だと思うわ。その試行錯誤の後に新しいやり方が確立されていくし・・・既存のやり方をただ踏襲」
「するだけじゃ、進化出来ない事もわかったの。素晴らしい事だと思うわ、それって」
と、御島さん。
「結局、そのおかげで、皆、笑顔で仕事を出来ていますからね。しかも、毎日、いろいろな進化がある」
「それにクライアントさんからも、好評だし、いいことずくめの感じがありますね」
と、辛辣姫。
「だた、仕事をただバリバリやればいいって言う考え方は、間違いだったんですね」
「そんな事より、どういうやり方をすれば、ストレスフリーの方向へ持っていけるか?楽しみながら、高い成果を出す方法を」
「創りだして、それを実践する方が、評価も高いし、高いお金を稼げる。そこですからね、大事なのは」
と、貴島くん。
「結局ね。わたしの思いとして・・・企業のサラリーマンって、皆、怖い顔して仕事しているじゃない」
「ストレスを溜めるのは当たり前みたいな・・・そのおかげで、例えば、ゆるちょくんは重いうつ病にかかったんでしょう?」
と、御島さん。
「まあね。あの頃は、何もわからなかったし、バリバリ働けない自分も嫌だったけど」
「わかりきっていたのは、自分の居場所はここじゃない・・・って言う事だけだったね」
「そこにいなければならなかったからこそ・・・そこで仕事を強制されたからこそ、壊れたって事だけはわかっていたよ」
と、僕。
「その話を以前、ゆるちょくんに聞いた時・・・それって間違った職場環境だと思ったのよ・・・あるいはそこにゆるちょくんがいた事が間違っていた・・・」
「でも、調べてみると、サラリーマンのうつ病は毎年、300万人以上が罹患しているって言うし・・・日本のサラリーマンの人口を5000万人とすると」
「6%と言う事になるけど・・・10人にひとりとまで行かないにせよ、20人にひとりはうつ病になる確率だから・・・ちょっと高い感じがするわよね」
と、御島さん。
「そのひとりに・・・仕事をバリバリこなせる、このゆるちょくんが、なっていたんだから」
「やっぱり、間違ったやり方と正しいやり方があるんだわ・・・って気づいたの。わたしは事務所の社長として、そこはなんとしても」
「正しい知恵を作るべきと思ったのよね・・・」
と、御島さん。
「御島さんは、そういう所が基本、クソマジメですからね」
と、僕。
「それはゆるちょくんも同じでしょう?」
と、御島さん。少し笑みがある。
「そうですね。それは確かにその通りです」
と、僕。
「わたしね。実は以前、「戦国時代の武田家の結束の強さの秘密」・・・みたいな文献に目を通した事があるのよ」
と、御島さん。少し含み笑いをしている。
「武田家と言えば・・・武田信玄を中心にした鉄の結束を誇っていて・・・男性達が理性的に御屋形様に尽くしていた・・・みたいな説明がなされるじゃない?」
「でも、その文献は全くその逆だったの」
と、御島さん。
「どういう事です?」
と、貴島くん。
「部下たちは皆、御屋形様に惚れぬいていた・・・恋していたからこそ、御屋形様の為にチカラを尽くし、死をも厭わず、武田家を守りぬいた」
「・・・だから、御屋形様の死後、長篠の戦いで、部下たちは死に急いだ・・・そういう説明。ま、概ね話は合っているし」
「実はそうなのかな?ってわたしも思っているの。それを実は思い出して・・・」
と、御島さん。
「御島さんは、女性達は「恋」を日々の糧にしていると言ったけど・・・日本では男性の組織の世界でも、恋が日々の糧になっているって・・・そういう事を言っています?」
と、僕。
「実は、そうなの。それに気づくと・・・少しずつわかってくる事があるわ」
と、御島さん。
「確かに・・・武田信玄と言えば、高坂弾正との恋のさやあては・・・有名な話ですからね。それだけ、武田信玄公は男性として魅力のあった存在だったと言う事ですか」
と、貴島くん。
「・・・だとすると・・・男性的「鉄の結束」の中心には、皆から「恋」される魅力的な男性の存在が必要って事になりますよ」
「・・・サラリーマンの世界とは大違いだ」
と、池澤くん。
「そうなの。わたしはそこに注目したのよ。実はそこで比較材料にしたのが、何を隠そうゆるちょくんだったの」
と、御島さん。
「え?僕ですか?」
と、僕。
「そう。ゆるちょくん・・・ゆるちょくんは前のサラリーマンの職場では、うつ病を発症したわ。でも、今はこの事務所の戦略会議の副議長の立場にあるわ」
「それで気づいたの。そう言えば、いつも会議の終わる時・・・すべての意見をまとめてくれて、議長であるわたしに「じゃ、これでいいですか?今後のうちの打つ手は」」
「「具体的にこれとこれ。で、担当は誰と誰・・・これでいいですね、議長!」って提示してくれる。わたしはいつもそれに対してゴーサインを出してきたに過ぎない事に気づいたの」
と、御島さん。
「つまり、今後の戦略を実質的に決めてたのは・・・実は副議長であるゆるちょくんだったのよ。だから、皆、「納得」してくれて・・・会議は笑顔のうちに終わってた」
「事務所も上手く回っていた・・・実は武田家の武田信玄の位置にいたのが、ゆるちょくんだって・・・後々になってわかったのよ・・・」
と、御島さん。
「「納得」なのよ。大事なのは。日本人が従うのは、本能的な「納得」なの。それが出来る人間は、限られているって事にわたし、気がついたの」
と、御島さん。
「ゆるちょくんはサラリーマン時代は、うつ病になっていたのに対して、今は、この事務所をガンガン進化させ、皆を笑顔にしながら、いい感じで、回している」
「御屋形様の位置にいる。常に笑顔で、事務所のメンバーも、いつも事務所の大部屋の片隅で仕事をしているゆるちょくんにおしゃべりをして」
「お茶を飲んで安堵している。ゆるちょくんがいなければいけなかったのは、皆を引っ張る信玄公と同じ、御屋形様の位置だったって・・・ようやくわたしは気づいたの」
と、御島さん。
「確かに、事務所に来て、ゆるちょさんがいつものように、大部屋の片隅でパタパタ仕事していると、すっごい安堵感がありますね」
と、辛辣姫。
「確かに・・・そうか・・・ゆるちょさんの決定なら、素直に乗れますからね。むしろ、乗りたい気分の方が大きいかもしれない」
と、貴島くん。
「確かにゆるちょさんの提案だったら、納得して乗れますからね」
と、池澤くん。
「それでね。わかってきたのよ。上から目線は嫌だし、ストレスになるけど・・・恋している相手の・・・もちろん、「サル山のボス力」が強力で人間性も大きく」
「精神的にも強い男性なら・・・女性も男性も・・・素直にその言葉に従うし、むしろ、言葉が欲しいとさえ、思うわ。その精神状態を人は恋と呼ぶとわかったの、わたし」
と、御島さん。
「それが、うちの事務所の・・・ゆるちょくんの存在だって・・・その時、わかったの」
と、御島さん。
「そういう状態の男性が中心にいれば、そのコミュニティは活性化するし、強い結束を生みますね」
と、辛辣姫。
「・・・と言うか、むしろ、そういう状態でなければ、強い結束も生まれないでしょうね。恋をベースにした強い結束は」
と、貴島くん。
「そうなの。そして、この「恋」こそ「情」なのよ。日本人は「情」があるからこそ、強い結束を実現出来る・・・」
「わたしは、日本人を使うなら、スマホを買っても、通話しかしないような状態じゃ、ダメだと思ったの」
「日本人もいろいろな機能を使わなければ・・・日本人としての独自な機能を・・・それこそ「情」をベースにした縦横のつながりだと思ったの」
と、御島さん。
「昔、松下幸之助さんが現役の頃・・・戦後、多くの会社がアメリカナイズされたビジネスモデルを日本に導入しようとして、大失敗した歴史があるの」
「その時、松下幸之助さんは、「餅は餅屋・・・それが日本人だす」って言ったそうよ。つまり、日本人には日本人の文化があって、安易にアメリカのビジネスライクな」
「つきあいの文化を取り入れてもダメだって、警鐘を鳴らしたそうなの・・・だからこそ、日本では「情」ベースの強い「絆」を誇る「鉄の結束」こそ、大事だと思ったのよ」
と、御島さん。
「その人間関係のベースこそ、強いオスに恋する男女の部下達の「恋」・・・だったんですね」
「本能的な思いですね、それ」
と、辛辣姫。
「そう。それがわかったの。戦略会議で、皆で考えるようにして決定を下していたけど・・・なんの事はない・・・皆、ゆるちょくんの為に決定を作り上げて」
「ゆるちょくんが納得したら、皆、それに従っていただけなのよ。構図的には、それだったのね・・・それに今頃気づいたって、わけ」
と、御島さん。
「だから、オスは皆を精神的にまとめ上げる役割を果たし・・・その行為を含め、すべてに決定権を握っているのは、そのオスのメス・・・」
「ゆるちょくんがオスの役割を果たし、わたしはメスの役割を果たしていたって事よ。でも、それこそが、「情」ベースの鉄の結束を生む構造なの」
「それが最初にわかって・・・すごく勉強になったの・・・わたし」
と、御島さん。
「・・・となると、日本の「情」の構造って、かなり、人間の本能的な部分と言うか能力に拠っている感じになりますね」
「シンプルに言うと・・・人間的大きさや、精神的な強さと言う本能的な能力が鍛えられていないと・・・出来ない構造って事になるし」
と、貴島くん。
「そうなの。だから、勉強しか、して来なかったオスやメスには、こういう構造は作れないの。実現不可能なの」
「本能的な能力が追求出来ていないから・・・そういうメンバーでサラリーマンの組織は構成されているから・・・コミュニティが機能しなくて」
「うつ病を発症する人間が出て来るのよ・・・」
と、御島さん。
「それって、企業のサラリーマンが人間的に未熟だから・・・組織が機能しないって事を言っていますよ、御島さん」
と、池澤くん。
「それが一方の結論でもあるもの。それが何か?」
と、御島さん。
「さすが御島さん。叩き上げはやっぱり違うね。言う事が」
と、僕。
「「出る杭は叩かれるからこそ、成長出来る」と言ったのは、ゆるちょくんじゃなかった?」
「この答えがそれを証明しているんじゃなくて?」
と、御島さん。
「日本のコミュニティは、小さい方は家族から・・・大きい方は日本政府に至るまで・・・この構造が必要となるわ」
「「サル山のボス力」マックスな人間性の大きい、精神的に強いオスの存在を中心に、そのオスに皆が恋し、強い絆を作り、鉄の結束を図る事の出来る強いコミュニティ・・・」
「メスももちろん皆に愛されるけど、強いオスを唯一承認出来る強い存在になる事が必要になるわ」
と、御島さん。
「だから、メスはそのコミュニティのメスの集団を統一出来、皆に愛される、強い個体である必要があるわ。人間性が大きく、精神的にも強い」
「叩き上げの女性ね。周囲の人間の事がまず、真っ先に考えられる配慮の出来る女性でなければ、ならないけどね・・・」
と、御島さん。
「そして、皆の中心になるオスは・・・コミュニティ全体に配慮出来る、大きな気持ちを持った個体である必要があるわ」
「それは武田信玄的に・・・その時、初めて、「人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵」状態を実現出来るのね」
と、御島さん。
「なるほど・・・具体的には、武田信玄の武田家をイメージすればいいんですね。あれがすべて恋のチカラでつながっていたとは・・・」
「まあ、でも、恋のチカラがあるなら、何か指示されても、嫌な気持ちになるどころか・・・「御屋形様の為ならば」と自然な気持ちで受け入れられますよ」
と、僕。
「でしょう?そこには「ハッピーエナジー」が生まれるわ。決してストレスを生みはしない」
「そここそ、キモなの。「ハッピーエナジー」を生む関係こそ、人を笑顔にする関係だもの」
と、御島さん。
「人を笑顔にする関係か・・・それを追求する事こそ、しあわせの真髄かもしれないね」
と、僕。
「でしょう?。そう。そうなのよ!」
と、御島さんは言うと、日本酒をクイッと飲み干して、目の笑う、素敵な笑顔になった。
(おしまい)