私の映画玉手箱(番外編)なんということは無い日常日記

なんということは無い日常の備忘録とあわせ、好きな映画、韓国ドラマ、そして
ソン・スンホンの事等を暢気に書いていく予定。

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い

2012-02-18 20:18:27 | 映画鑑賞
物事にこだわりすぎる一面を持つ自分のことを優しく見守っていてくれた父。
自分たち家族を養うために、科学者になることをあきらめ、宝石店を営んでいる父が大好きだった少年。
しかし少年の父は9月11日の朝に出かけたまま戻ることはなかった。9.11テロの犠牲者となってしまった父は、遺体すら見つかることはなかった。

父は「太陽が爆発しても地球に届くまで8日間かかる。その間地球に住む自分たちは太陽が爆発したことも気づかずに過ごすんだ。」と教えてくれた。
父の死を受け入れることが出来ず、自分はまだ父が教えてくれた8日間にいると思いたい少年。
父の遺品の中から見つけた鍵に、何か自分に向けたメッセージがあると思い込み、自分なりのルールを組み立て鍵の秘密を探し出そうとする少年。

鍵の秘密を探ろうする日々は、他人とのコミュニケーションをとるように仕向けた父からの贈り物のようにも思えるが、自分のルールにこだわるばかりの少年にとっては、それは他人とのコミュニケーションにはならないだ。
鍵の秘密を探ろうとする日々が他人との繋がりに変わっていくのは、間借り人である老人と外に出るようになってから。
言葉を発しない老人との日々なのに、その言葉がない繋がりの中で、少しずつ父の死について考えることが出来るようになる少年。

父の死を受け入れることが出来ない少年を見守る母と間借り人の老人。
方法は違っても少年に死を受け入れて欲しいという思いは一緒だ。
遠回りをし、答えのない思いを受け入れようとする少年の一途さが伝わってくる。
答えのない人生を歩んでいかなければならない、勇気を持ってその道を歩いていかなければならないということを際立たせるのなら、一番最後のブランコのエピソードはなくてもよかったかなとも思ったりする。
ブランコに答えがなくとも、十分に少年は父の死を受け入れることが出来たと思うのだが。

間借り人である老人を演じるのは、あのマックス・フォン・シドー。
(あのと書いたのは私の中で彼はやっぱりエクソシストの神父だからなのだが・・・)
助演男優賞にノミネートされているとのこと。


ものすごくうるさくて、ありえないほど近い [DVD]
クリエーター情報なし
メーカー情報なし