世界に一つだけの姥花日記

貴方は貴方らしく私は私らしく、世界にただ一つだけのきれいな花を一生懸命咲かせましょう。
シニア主婦の平凡な日記です。

紙芝居 「ねずみのほりもの」 きっちょむとんちばなし

2020年01月19日 | 読書&映画

むかし、ある村にきっちょむさんという面白い人がおったんだと。

ある日きっちょむさんが長者どんのところへ行くと、

長者どんは縁側で木のネズミをなでたりさすったりしておった。

長者「やあ、きっちょむか。どうじゃ、みてみろ。たいしたものじゃろう。」

と、さっそくねずみのほりものの自慢をはじめた。

きっちょむ「へえー」

と、きっちょむさんはネズミをみていたが、なんのことはない、汚れたただの木のねずみだ。

きっちょむ「こんなものをもったいぶって、宝物みてえに自慢するとは。ふふふ」

きっちょむさんはお腹の中で笑いながらこう言った。

きっちょむ「長者様、おらの家にもたいしたねずみの彫り物がごぜえますだ。」

長者「な、なんじゃと?勝手なことを言うでないよ。」

長者どんはびっくりしておこりだした。

きっちょむ「いいえ、長者様、うそじゃごぜえません。」

長者「そんならきっちょむ、あした持ってきて、みせるがいい。」

きっちょむ「へい、村の衆にはないしょで、こっそりお見せしますだよ。」

きっちょむさんは長者どんにそう約束してかえったと。

だども、きっちょむさんの家にそんな宝物などあるわけがない。

きっちょむ「さて、なあー。」かんがえていたが・・・・。

きっちょむさんはへやにとじこもると、夢中でねずみを彫りはじめた。

一晩中かかって,やっとぶかっこうなねずみを彫りあげた。

あくる日、きっちょむさんはできあがったねずみをもって、長者どんのところへ行った。

きっちょむ「長者様、約束の宝物をもってまいりました。」

ちょうじゃ「おおそうか、みせてごらん。」

きっちょむさんはそうっと風呂敷をといて、ねずみを出した。すると、

ちょうじゃ「あっはっはっは。」

みたとたんに、長者どんはわらい転げた。

ちょうじゃ「きっちょむ、こんなねずみ、どこからみたって、ただのがらくたさ」

けれどきっちょむさんもまけてはおらん。

きっちょむ「いいえ、これはたからもののねずみでごぜえます。うそだと思われるなら、

ねこに両方のねずみを見せましょう。ねこの飛びついた方が、ほんものらしいねずみ。

だから勝ちでごぜえます」

ちょうじゃ「いいとも、きっちょむ。お前の方が勝ったら、わたしのねずみをやろう。」

さ~どっちが勝つか二匹のねずみがならべられた。

長者どんがねこをつれてきて、えんがわにはなした。

ねこは動かない。ぎろっと目を光らせ、じろっとねずみをにらんだ。

にゃおう!!ねこはひとこえなくと、

ぱっときっちょむさんのねずみにとびかかった。

きっちょむ「かったあー」

きっちょむさんはねこにとららないうちに、自分のねずみをとりあげると、

長者どんのねずみももらって、走り出した。

きっちょむ「えっへっへ」

とくいになってわらいながら、むちゅうですっとんで家にかえったと。

わらったはずだよ。実はきっちょむさんのねずみは木じゃなかった。

ねこの好きなかつお節で作ったねずみだったのさ。

ねこがとびついたのも当たり前。

きっちょむさんは持ってかえったじぶんおねずみを、こまかくけずって、

いえのねこにたべさせたんだと。

おしまい!

 

お楽しみいただけたでしょうか?シニア向けお話会で演じる紙芝居です。

今日の記事のコメント欄は閉じています。

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