YUKI

言語、言語で表現できることすべて

英語的発想

2006-06-01 23:39:43 | Weblog
サピアは、世界観は言語に強く規定されるとしました。

サピアが言うほどには、世界観が言語に規定されているとは思いませんが、
よく使われる表現には、その言語が使用される文化の特徴的な発想が
顕れていると思います。

英語は S+V+X、特に S+V+O が多用されますが、
英語的発想の根幹にある「動作主が対象に、積極的に働きかける」
というパラダイムの言語的顕れであると思うのです。

「変化」は「意図的」な「働きかけ」によるものなのですから、
この世界は「機械的」なもので具体的な「原因」と「結果」が
明白に存在するはずなのです。
いわゆる「即物的」「空間的」発想ですね。

無生物主語構文に端的に顕れていますし、
situation という先行詞に関係副詞 where を使う、ということにも
反映されています。

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情報処理モデル

2006-06-01 00:11:47 | Weblog
1980年代、artificial intelligence (AI)の開発=第五世代コンピュータ開発として注目を集めたことがある。

ところが、従前のプログラム内蔵型コンピュータでは、
日常世界の無限ともいえる変数を扱えないことが分かったのである。
所詮、想定内のことにしか対応できないのだから当然といえば当然。

ところでアフォーダンスという言葉が、
主観的なものとしてノーマンにより再定義されたのも1980年代。
情報そのものが、既に意味を持つ、という発想は
無限の変数に係わる「フレーム問題」を解決するための有力な
パラダイム変換である。

ウィトゲンシュタインは、「世界と生は一つである」と言ったが、
人間という生き物の「生の形式」と一体のものとして現れてくる世界、
これこそアフォーダンスなのだと思う。

脳科学的に言えば、脳によって既に規制された情報がアフォーダンスなのである。
要するに、人間は見たいように世界を見ているのだ…

さて、言語学習を脳による情報処理過程として考えることが今回のテーマである。
人間の脳は「並行処理」が得意なように出来ており、
私見によれば、interactive-compensatory model が最も有力なモデルと思う。
data-driven のbottom-up処理とconcept-drivenのtop-down処理が相互作用しながら、平行処理されてmessageの理解にいたるのである。
その際に、どの処理モジュールに、より依存するかは個人差がある、
というのが、このモデルなのだ。
一般的にはdata-drivenのbottom-up処理により依存するのだが
日本では不幸なことにスキーマ理論大流行のせいで
top-downが高級?で有効なものと誤解されている。

bottom-up処理に欠かせないのが文法・語彙・語法の知識なのだが
日本の学校文法は、いわゆる「分類文法」であり
語彙指導は「概念の把握」ではなく「日本語での類語暗記」になっていることが
bottom-up処理軽視?に拍車をかけているようだ。

情報処理に有効な文法知識と、個々の語のcore概念
徐々にではあるが、この方向に進んでいると思われる研究成果が発表されてきているのは、喜ばしいことである。

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