大小迫 つむぎの家

よみがえれ!大小迫の里山。 人と人、人と自然をつなぎ、つむぐ「つむぎの家」

水温む春  2年生の生き物探し

2013年05月22日 | 小学生の体験学習

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水温む昨日の午後、綾里小の2年生がつむぎの家に生き物探しにやってきました。

児童全員が、長靴姿で、バケツや飼育ケースを手に持ち、水辺に入ってもよい準備万端の身支度です。早速、田んぼの水辺で生き物探しを始めました。

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何度かつむぎの家に来ている子たちは、まず、ため池を目指して一目散。

初めて池にやってきた子たちは、池にいる沢山のオタマジャクシや、アカハライモリを発見し、歓声を上げながら素手で捕まえようとしています。でも、オタマジャクシはスルリと逃げてしまいます。

両手ですくい上げるようにして捕まえる子、飼育ケースのふたですくう子、バケツですくい上げる子、みんなそれぞれ必死になってオタマジャクシを捕っています。

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2年生の中では、一番つむぎの家に来ているタクト君が、早速イモリを捕まえて得意顔。

男の子たちは「いいな~いいな~! 俺もほしい!」と騒ぎだし、しばしイモリ捕りに熱中。

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女の子たちは、田んぼのヘリで大小さまざまなオタマジャクシを、「わ~! かわいい!」「大きいオタマだ!」などと声を張り上げながら捕っていました。

ハナちゃんがアマガエルを捕まえ、左手に握って周りの子たちに見せています。

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飼育ケースでカエルを飼うのは難しいと、担任の先生から言われていたようで、ハナちゃんは、すぐにカエルを田んぼに放しました。

カエルは、田んぼの中をスイスイ泳いでいきました。子どもたちは、田んぼの中を泳ぐカエルの上手な泳ぎに見入っていました。

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一方、田んぼの取水口には、孵化寸前のヤマアカガエルの卵塊があり、初めてカエルの卵を見た子どもは、卵を両手ですくって「わー きもちいい!」とゼリーのような感触を楽しんでいました。

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こちらではハルト君が、アカハライモリを手に、「こちょがしい(くすぐったい)!」と言いながら遊んでいます。

アカハライモリ(ニホンイモリ)は、日中は水辺の草陰や泥の中に潜んでいますが、どうやら子どもたちに見つけられたようです。一見グロテスクですが、お腹の方は朱色のまだら模様があり、男の子たちにとっては、興味のある生き物のようです。でも、初めて見る女の子にとっては、どのように感じたのでしょうか?。恐さと興味がまじりあい、おそるおそる手を出している女の子。

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ヤマアカガエルの卵塊は、大半がオタマジャクシになりましたが、これからはシュレーゲルアオガエルが産卵し、活動期に入ります。

シュレーゲルアオガエルは、畦の草地に穴を掘り、白い泡に包まれた卵を産みます。すでに産卵したものをつむぎの家の代表が子どもたちに見せています。

この後、ヤマカガシも姿をみせ、田んぼの中を泳いで草地に入っていきました。

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あっという間の一時間半、オタマジャクシやヤマアカガエルの卵塊、シュレーゲルアオガエルの卵や、アカハライモリを飼育ケースに入れ持ち帰る人や、捕まえた生きものを田んぼに戻してきた人とさまざまでしたが、里山で生き物と触れあった子どもたちの目は輝いていました。

2年生は綾里小で最も少人数のクラスで、つむぎの家に遊びに来ている子どもたちは今のところ限られていますが、「今度、遊びに来てもいいですか?」、「日曜日に来てもいい?」との声も聞かれ、短い時間でしたが心に残った生き物探しだったようです。

今週の土曜日は、小学校の大運動会。毎日の運動会練習で少々疲れ気味だったようでしたが、田んぼでの生き物探しに疲れも吹き飛び、飼育ケースを大事に抱えて意気揚々と学校に帰っていく子どもたちの後姿に、私たちも元気をもらいました。


スギ林に群生する ヤマドリゼンマイ

2013年05月21日 | 山菜

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ヤマドリゼンマイ(ゼンマイ科)

森林整備と除伐で明るくなった杉林に、顔を出したヤマドリゼンマイ。

これまでゼンマイは山菜として食していましたが、ヤマドリゼンマイはこの地方では食べる習慣がなく見過ごされていました。群生したヤマドリゼンマイに興味を持ち、調べてみますと”このゼンマイも食べられるとのこと、一度に多量にとれるので市場に出回っているのはヤマドリゼンマイが多い”との記述を見つけ、食味を試してみることにし、採取しました。


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ゼンマイと同じく、胞子葉(渦巻が黒く、長く立ち上がっているいるもの)と栄養葉があり、胞子葉は残して栄養葉だけを採取しました。

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成熟して開き切ったヤマドリゼンマイの胞子葉(中心)と栄養葉です。


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採取したヤマドリゼンマイの綿毛を除き、熱湯で湯がき、手もみしながら3日間、天日乾燥させたものです。

ゼンマイよりも細めで、硬くて美味しくないのではと不安を抱きながら加工しました。


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乾燥させたヤマドリゼンマイを熱湯で戻し、椎茸、油揚げを入れ、ゴマ油で炒めて味付けしてみました。

思いのほか柔らかく、ゼンマイと比べしても遜色なく美味しく食べることができました。おいしい山菜のレパートリーに付け加えたいと思います。

ヤマドリゼンマイは、ゼンマイより少し遅れて顔を出します。山菜の収穫期は限られ、適期を見定めることが肝心ですが、保存のきくゼンマイを、来年からは積極的に収穫したいと思います。


つる性の落葉木 イワガラミ

2013年05月20日 | 山菜

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イワガラミ(ユキノシタ科)

イワガラミの名は、岩や樹木に絡み付き、よじ登ることに由来。ツル性の落葉樹で茎のいたる所から根をだし、上へ上へと伸びていきます。

今春整備したばかりの林、アスナロの樹皮を上るイワガラミ。


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スギの切り株に絡み付いたイワガラミ。

間伐した森で、よじ登る樹木を求めてつる性木々の競争が始まっているようです。イワガラミと一緒に3出葉のツタウルシも気根を出して絡み付いています。


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イワガラミの枝先についた若葉を摘み取って、お浸しにして食べてみました。

別名、ウリノキなどと呼ばれるように、さわやかなウリの香りがして、苦みも少なくおいしく食べられる山菜でした。

夏には、白いガクを一枚持つ飾り花で周りを囲み、ガクアジサイに似た花を咲かせてくれることでしょう。


美味しい鱗茎 オオウバユリ

2013年05月18日 | 山菜

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オオウバユリ(ユリ科)

ウバユリは、花が咲くころには葉(歯)が枯れ始めるので、姥百合の名がついたそうです。

里山整備が進むにつれて、裏山の林道や林縁のあちこちに顔を出してきています。

今は、葉が大きく広がってしまいましたが、早春はつやつやとした光沢があり、葉脈が赤紫を帯びて見るからに美味しそうな新葉でした。

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茎が立ち上がり、大きな葉を広げているオオウバユリ。

ユリ科の植物の多くは、葉脈が平行ですが、ウバユリは長い葉柄の先に網状に走っています。


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大小織り交ぜたオオウバユリを数本堀だし、塩ゆでして食べてみました。

葉は苦みが強く、十分水にさらさないと食べにくいことが分かりましたが、鱗茎は、ほろ苦さを感じたものの、ヤマユリの味を思い出させてくれました。ユリの鱗茎の「ホクホク感」には及びませんが、地中の鱗茎は美味しい山菜の一つに加えたいと思いました。

次回は、花が咲き終わり、鱗茎に養分がいきわたった秋に、根を掘り起こして食してみたいものです。


毛深い山菜  トリアシショウマ

2013年05月17日 | 山菜

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トリアシショウマ(ユキノシタ科)

和名の由来は、茎がまっすくに伸びて、3つに分かれる様子を鳥の足に例えたものだそうです。

赤みを帯びた茎にはたくさんの毛が生え、こんなものが山菜として食することができるのか、美味しそうには見えません。


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トリアシショウマが群生していた裏山の南西斜面。見事なシカの食害です。

周りにある緑葉には手を付けずに、トリアシショウマの新芽だけが食べられていました。


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毛深くて見かけは悪いですが、葉が開く前の新芽を摘んで湯がき、お浸しにして食べてみました。

これが山野草とは思えないほどくせが少なく、口当たりの良い食感です。

ほど良い苦みや渋み、エグミがあって旨いと感じる山菜にしては少々物足りない味でした。


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東斜面のトリアシショウマは、花茎が伸び蕾がついていました。初夏には、白色の小花が多数群がって穂のように咲き、林床を彩ってくれることでしょう。

里地・里山には、まだまだ未知の山菜も多く、少しずつ掘り起こしていきたいと思います。