大小迫 つむぎの家

よみがえれ!大小迫の里山。 人と人、人と自然をつなぎ、つむぐ「つむぎの家」

津波で娘を失った兵庫の藤田さんの活動

2011年09月18日 | 震災と復興

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昨日の朝日新聞の岩手版に上のような記事が載りました。

「津波で娘失った父・移動絵描き会」、<被災地の子の元気な絵見て>のタイトルで、兵庫の藤田さんが6月から移動絵描きボランティア「けっぱれ岩手っ子」を立ち上げ、兵庫と岩手を行き来しながら、53か所の幼稚園や保育所などを回り、その作品を展示しています。

9月17~20日は盛岡のアイーナ5階のギャラリーで、そして23~25日は大船渡のリアスホール、1F展示ギャラリーで開かれる予定です。

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実は先日、大津波で亡くなった私たちの従兄:菊池達(さとる)さんの記事が、同じ朝日新聞(9/10)の災害特集に「お年寄りらを無事に集団避難させようとして犠牲になった地区防災組織の幹部」として紹介されていましたが、その達さんの息子に嫁いでいたのが藤田さんの長女の朋(とも)さんです。

朋さんは陸前高田市役所で社会福祉士として働いていましたが、市役所近くで津波にのまれ帰らぬ人となりました。(妊娠4か月)

藤田さんは、「生涯の地と決めて岩手に嫁いだ娘を、温かく迎えてくれた人たちが大変な目に遭っている。何か自分にできることはないか」と思い、16年前の阪神淡路大震災で西宮の自宅が半壊しながらも「子どもたちを笑顔に」とクレヨンと画用紙を持って、移動絵描き会のボランティア活動をし、被災した子どもたちの支えとなったことを生かし、今回の活動につなげました。

6月当初は、たった一人で始めた活動でしたが、「遠野まごころネット」の協力を得て、多くの方々から支援をいただきながら進めています。

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この写真は、昨年11月中旬のつむぎの家での干し柿つくりの一コマです。

若者たちが干し柿つくりに挑戦している姿を、微笑みながら温かいまなざしで見つめているのが菊池達さん家族です(囲炉裏を囲んで左側から、朋さん、夫の武文さん、達さん、耕基、達さんの妻の文子さん)。

達さんは、福祉関係の仕事を長らく務めるとともに、地域では副区長として地元のまとめ役や社会福祉に貢献してきていました。

また、退職前から自然農法を実践してきており、私たちのつむぎの家の里山づくりにも大きな力となっていました。そして、達さんの実践が私どもの目標でもありました。私たちは、達さんと朋さんを失い、心にぽっかりと大きな穴があいていますが、文子さんや武文さんの悲しさは想像に絶するものと思われます。

その二人が、先日つむぎの家にやってきて、藤田さんの活動のパンフレット(2枚目の「岩手っ子は元気だぞぉ!!)を持ってきました。この展示会のパンフレットには、藤田さんの活動は一切表にはで出いません。主催は「遠野まごころネット」で、下に小さな字で、担当 藤田 とのみ記してあります。

自らも被災者でありながら、被災した地域の多くの人々に「子どもたちは震災のストレスを抱えながらも元気な絵を描いている。これを見て、大人も元気を取り戻してくれれば」と励ましのエールを送り続けています。