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大小迫 つむぎの家

よみがえれ!大小迫の里山。 人と人、人と自然をつなぎ、つむぐ「つむぎの家」

裏山散策

2013年10月15日 | 里山風景

ひと雨ごとに空気の冷たさを感じる季節、山ではマツタケが顔を出しているのではないかと淡い期待を抱いて裏山を散策しました。

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ヤケコゲタケ(タバコウロコタケ科)

コナラの生木に、重量感のある赤褐色の大きなキノコが生えていました。その下には、こげたような黒くてもろいものが落ちていました。キノコのヤケコゲタケです。

ヤケコゲタケは、一年生の大型菌で、老菌は、焼け焦げたように黒く変化して朽ちていくようです。

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山桜の立ち枯木

立ち枯れした山桜は、あちこちが穴だらけ、キツツキ類がカミキリムシなどの幼虫を探し求めてつついた穴でしょう。枯木は、キツツキたちの餌場や営巣場所として、大切な存在です。


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タヌキのため糞

同じ場所に糞をするタヌキの真新しいため糞、木の実などを食料にして、森で暮らしています。


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動物の巣穴

2mの長さの細木が、すっぽり入ってしまいます。穴は縦横に広がっているようです。


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動物の爪痕がある、立ち枯れ赤松

クマが皮剥ぎしたのでしょうか?根元にマツの樹皮が散らばっていました。


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マツの木の中心部には、アリの巣のような形が残されていました。

夏場の食糧難時、クマは樹皮を剥いでアリを食べたようです。

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マツ林の林床には、マムシがのんびりと日向ぼっこ、自然の色合いに溶け込み踏んでしまいそうでした。

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木のコブ

コナラの木に、幹よりも大きなコブがついていました。

木は、何らかのキズを負った時にそれを修復しょうとしてコブになることがありますが、過去にどんなドラマがあったのでしょうか。

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朽木の芸術

50年ほど前に皆伐した森の中に、苔むした朽木が立っていました。

緑色のコケは命の芽生えのようでもあり、枯木とは言え天に向かって何か語りかけているようにも見えました。

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陽の当たる尾根道には、センブリが群生していました。間もなく花を咲かせるでしょう。

昔から薬草として利用されてきたセンブリですが、この花に出会うたびに、ゲンノショウコやドクダミとともに軒下に吊るしてあった幼い頃の光景が目に浮かびます。


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シロマツタケモドキ(キシメジ科)

本命のマツタケには出会えませんでしたが、同じキシメジ科のシロマツタケモドキに会えました。

食感もよく、ちょっぴりマツタケの香りがしてほろ苦さが残りますが、ホイル焼きと味噌汁でいただきました。

秋晴れの一日、裏山で動物たちの営みを垣間み、森の芸術を鑑賞し、味覚の秋を楽しみました。


実りの秋-稲刈りと生き物たち-

2013年09月26日 | 里山風景

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黄金色に実った稲穂の上を赤とんぼが舞い、カサコソと見え隠れしながら飛び跳ねるイナゴ、つむぎの家の里山は実りの秋を迎え、昨日から、稲刈りを始めました。

まず、「ハセ」にする部分の稲を刈り取っています。


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例年のことですが植木さんが、刈り取った稲を自然乾燥するための「ハセ」を組んでいます。ハセ木は先祖代々営々と使われてきたクリの木です。

気仙地方では、長さや形の異なる杭木を、うまく組み合わせ、それに長木を二段に掛けるやり方が一般的です。

植木さんによると、「真っ直ぐな杭は殆んどないので、杭木の性質をうまく組み合わせるのがコツ」と教えられているのですが、稲作り四年目に入っても「ハセ作り」は、植木さんに頼っています。


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モチ田を刈り終え、刈り取った稲をハセにかけています。モチ稲の作柄は、スズメやシカの食害に加えて実入りが悪く、例年の5割ほどです。

「何年やっても、百姓は一年生」の言葉通り、自然農法の米作りは、自然の気候や里山の生き物たちとの対応などに左右されています。

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でも、田んぼに目を移すと、いろいろな生き物たちの楽園が広がっています。

稲刈りを終えた田んぼから、稲が残る田んぼに集まるイナゴ。少しずつですが、イナゴが増えてきています。

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秋空を染めるマユタテアカネ。

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稲穂で羽を休めるノシメトンボ。

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稲の害虫(幼虫)であるイチモンジセセリは、古巣に戻ってきました。

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稲の中を覗いてみると、葉陰に隠れて獲物を狙うコカマキリが潜んでいました。

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こちらでは、獲物を捕らえたナガコガネグモが。

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溜池そばの水たまりで産卵するナツアカネ。

実りの秋を迎え、秋晴れの下、一昨日から稲刈りを始めました。刈り取った稲束をハセに掛け、一休みしながら辺りを見回すと、いろいろな生き物たちが、作業の疲れを和ませてくれています。

つるべ落としの秋の空の下、田んぼの生き物たちと触れ合いながら農作業に勤しんでいます。



ブログ立ち上げから、4周年を迎えました。

2013年09月16日 | 里山風景

本日で、ブログ立ち上げから丸3年が経ちました。

2010年4月、定年を機に岩手の実家にUターンし、里山暮らしを始めました。

その里山整備のため、3ヶ月後に任意団体「大小迫 つむぎの家」を設立。そして、約半年後にはブログを立ち上げ、つむぎの家の活動はじめ自然と共にある里山の暮らしや動植物について発信して参りました。

2013_0905_124019p9050104 裏山のフシグロセンノウ

<あの大震災を体験して>

そんな中、里山暮らしを始めて一年後に東日本大震災に遭遇。つむぎの家では、被災者を受け入れ、「今、できること」を模索しながら毎日無我夢中で過ごしてきました。震災により、2カ月間すべてのライフラインが絶たれた中で、「おてんとさま」とともに寝起きし、自然に寄り添った生活を実践しました。

そこで、電気に頼らない昔ながらの生活が、震災時にも如何に強いかを実感し、里山再生の重要性を再確認しました。

山から流れてくる沢水を飲料水として地域にも供給、薪で沸かすお風呂、いろりの暖、保存野菜や冬越しした作物の自給等と自然と共にある暮らしに助けられました。

<心を癒す里山の大切さ>

また、つむぎの家に遊びに来た当時小学4年生だったMさんが、友だちと里山を駆け巡って遊び、帰り際に「ありがとうございました」と挨拶し、そのあと静かな声で「ここに来るとほっとする!」とつぶやいた言葉が忘れられません。そばにいた友だちが「Mさんの家は、津波で流されてしまったの!」と教えてくれました。

東日本大震災は、文明の機器に頼らない自然に寄り添った里山暮らしの重要性を教えてくれるとともに、子どもたちの心を癒す、大きな役割を担っていることを示唆してくれました。

2013_0914_103254p9140010_3 そば畑

<自然生活が育む動植物との出会いや感動>

これまで無農薬での米作りや野菜作りなどの野良仕事や、荒れ果てた里山の整備などに追われながらの自然生活ですが、都会での暮らしとは違った、ゆったりと流れる季節の移ろいとともにたくさんの動植物との出会いや感動がありました。

 

中でも、農薬や化学肥料に頼らない自然農法による米作りが、如何に多くの生き物たちを育んでいるか、年々増えてきたヘイケボタル、秋空を染めるアキアカネの飛翔と、生き物は人と自然との関わり方で大きく左右されることを身をもって体験しました。つむぎの家に遊びに来る子どもたちも、オタマジャクシやヤゴ、ミズカマキリやイモリなど、泥んこになって水辺の生き物と戯れ、野を駆け巡りカマキリやバッタに目を輝かせている姿に心癒されました。

また今夏は雨が多く低温続きで、畑作の害虫でもあるオカモノアラガイの大発生と食害に悩まされましたが、反面、キノコの女王とも言われるキヌガサタケの大量出現により、その優雅な姿に心躍り、グレバを除いた食味をたっぷりと味わいました。グレバに集まるさまざまな昆虫たちとの出会いも、感動のひとコマでした。

2013_0915_062246p9150007 キバナアキギリ

<共存・共生の道を探りながら>

つむぎの家の里山には、キツネやタヌキ、アナグマやノウサギなどの小動物が生息していることもセンサーカメラで確認できました。ハクビシンやニホンジカの食害には悩まされ続けていますが、引き続き動物との共存の道を探っていかなければと思っています。

 震災を機に綾里小学校への学校菜園としての畑の提供、水田での米作り体験、森林での植樹体験とつむぎの家の里山が、子どもたちの様々な体験の場となりました。次代を担う子どもたちが、遊びや体験活動を通して里山の良さをしっかりと体で感じ取って欲しいと願っています。

東日本大震災で失ったものは計り知れませんが、震災を機に広がった新たな出会いを大切に、今後も引き続き、里山の動植物や子どもたちの様子についてブログで発信してまいります。

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つむぎの家の里山から見た三陸鉄道南リアス線

まだ全線開通にはいたっていませんが盛(さかり)駅発の始発列車、三陸鉄道南リアス線が綾里駅に向かっています。

朝霧の中を汽笛を鳴らして森から現れ森の中へと消えていきます。

たった一両ですが、北リアス線「あまちゃん列車」のようにたくさんの夢を乗せて走る光景が大好きです。


ホタル観賞

2013年07月21日 | 里山風景

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土曜の夜、5日ほど降り続いていた雨も止み、ホタル鑑賞の日和になりましたが、昨夜は、外気温17度と肌寒い日でした。

夜の8時前に、ホナミちゃん家族とユミちゃん家族がホタルを見に来ました。田んぼに行くと早速ホタルが、ほのかな光を放ち出迎えてくれました。低気温と雨で、昨年と比べると発生数は少なめです。それでも、70~80匹のホタルが飛んでいました。


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保育園児のサッちゃんは、ホタルを手のひらに乗せ、ほのかな光を優しく見つめています。

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ホナミちゃんは、白いホタルブクロを採ってきて、その中にホタルを入れ幻想的な輝きを楽しんでいました。弟のショウキ君は、ヘッドライトを頭に付け、左手にペットボトルで作ったお手製の器を持って、ホタルを集めていました。

昨夜は、月明かりに照らされ、明るい夜でしたがショウキ君のペットボトルに入った7~8匹ホタルの光は、活字が読めるほどの明るさでした。


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ホナミちゃんたちは、ホタル観賞後は、林道に沿って上流域を散策してきました。一昨年、林道脇の草むらで「ポアー」と光るヘイケボタルの幼虫を発見した感動が忘れられなかったようで、今回も、探しに行きました。

大きなホタルの光の傍で、かすかに光るホタルの幼虫を見つけた二人は、「あっいた!」と満足げ!。


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約1時間、ホタル観賞をし、お帰りの時間になりました。

2年前にホナミちゃんの家で、お泊りをした経験のある「ヤマト」は、家族に会えて嬉しそうに甘え始めました。イヌの好きなホナミちゃんもヤマトと遊びだしなかなか帰ろうとしません。

「それじゃぁ、ホナミはつむぎの家に泊まっていくのか?」とお母さんにうながされて、しぶしぶ午後9時に帰宅しました。岩手の綾里は、日中の気温も22~24度前後と冷夏が続いていますが、もう少し暑くなるとホタルの飛翔も数が増してくるものと思われます。


つむぎの家で見られるホタル

2013年07月20日 | 里山風景

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クロマドボタル(ホタル科)

オスは、黒色で、胸部には一対の透明な部分があり、それを窓に見立てたのが名前の由来。

写真は、つむぎの家の裏山にいたオスのクロマドボタル。昼行性の陸生ホタルで成虫は光りませんが幼虫は発光し、9月頃まで見られ”秋ボタル”ともよばれているようです。


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ヒメボタル(ホタル科)

裏山でギシギシの葉裏に止まっていました。ずんぐりむっくりした形はメスのヒメボタルと思われます。

オス・メスとも成虫は光りますがメスは後ろ翅が退化し飛べず、草につかまった状態でオスを求めて発光するそうです。

一生を陸で過ごす小さなホタルで、カタツムリなどを餌に、適度の湿気がある森の中で暮らしています。川に生息するゲンジボタルに対して”山ボタル”とも言われているようです。

昨年紹介した陸生ホタルhttp://blog.goo.ne.jp/yukitixyann/d/20120627に新たに仲間入りしました。

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ヘイケボタル(ホタル科)

昨年、つむぎの家の田んぼに発生した最盛期のヘイケボタル。

昨年は、20日前後がホタルの最盛期で、たくさんのヘイケボタルが見られました。今年は雨続きで気温が上がらず、昨夜も小雨が降り、午後8時の外気温が17度でしたが、70匹ほど確認できました。来週からは、気温も上がり夏らしい陽気に変わり、ヘイケボタルも見ごろを迎えることでしょう。