つむぎの家の田んぼは、今、稲の背丈を超えてイヌビエやホタルイなどが我が物顔にはびこり、雑草との戦いが始まりました。
腰をかがめて稲の株間の雑草を採る作業は、重労働ですが、水辺に息づく水生昆虫たちに思いをはせ、無農薬による米作りに奮闘している日々です。
水田除草の手を休め、半月ぶりに沢沿いの林道を歩いてみました。今年は、雨量が少なくトウホクサンショウウオが生息していた水辺環境は大丈夫だろうかと心配しながら・・・。
林道から沢に下りると、水面下でうごめく生きものがいました。「トウホクサンショウウオ」です。
水量の少ない川で元気に泳いでいました。
トウホクサンショウウオのつぶらな目に愛嬌のある顔、幼体の表情に笑顔がこぼれました。
今は、透明感のある体長3~4㎝の小さな命ですが、日増しに生長し、そのうち鰓が消えて陸上生活に入ることでしょう。
森に目を移すと、頭上にはサルナシの白い花が所狭しと咲き誇り、昆虫たちが集っていました。
葉の上に、丸ごと落下したサルナシの雄花。5弁の上品な花と雄花の散り方のいさぎよさにほれぼれしました。
森からの帰り際、道沿いに垂れ下がる黄色く熟したモミジイチゴを頬ばり、移りゆく季節を感じた初夏の一時でした。
土曜日の朝、ため池のパイプが詰まり、水を抜き、詰まったゴミを取りだしていたところに、子どもたちがやってきました。
池の底にたまった泥の中には、カエルやイモリ、ドジョウなどが潜んでいました。先日来、生き物探しにやってきていたレン君、マナト君たちは、眼を輝かせて、泥の中からドジョウやイモリをすくい上げ始めました。
マナト君が捕まえた大きなドジョウを、みんなで観察しています。
池の中に入れなかったレン君は、ドジョウが欲しくてたまりません。カエルやイモリには目もくれず、何とかドジョウをゲットしたいと網を池の中に入れますが、網の中に入ってくるのはマツモムシだけ。
そんなレン君に、マナト君が、自分が捕ったドジョウを分けてあげていました。優しい綾里っ子たちです。
そのうち、リツト君やショウキ君たちもやってきて、前日上ったカタクリ山に探険に行きました。
陽が射しているのですが、ジッとしていると肌寒い気温にもかかわらず、子どもたちは元気に里山を駆け巡っています。
でも、子どもたちの興味は、ため池の中のカエルやイモリ、ドジョウのようです。いつの間にかアイリちゃんやキョウセイ君たちも仲間に加わり、池の周りで遊び始めたようです。
そんな中、カタクリの花が開いたことを近所の方々に知らせたところ、早速、ミロクさんが見に来てくれました。
カタクリの傍には、シュンランも咲いています。幾つかのシュンランは、冬の間シカに食べられたりしていましたので、ネットをかぶせて保護しました。「カタクリとシュンランが、同時に見られるなんて!よがったなー!」と見入っていました。
マナト君のお父さんに「カタクリが咲き始めましたよ!」と話すと、「カタクリってどんな花ですか?」とのこと。若いお父さん方は、カタクリの花を見たことがないようなので、カタクリ山に案内しました。
92歳のトクエおばあさんも来てくれました。昔、春になると、このカタクリ山には、花が一面に咲いていた思い出をマナト君のお父さんに聞かせていました。
その後、大小迫を支えてきてくれたタカコさんやムツコさんも来てくれたので、山野草のてんぷら(ヨモギ、フキノトウ、アサツキ、ツクシ、ユキノシタ、カンゾウなど)を山の上で揚げながら、カタクリの花を楽しみました。
お年寄りにとっては、花冷えのカタクリ山でしたが、春の陽射しに上を向きながら花弁を開き、その後花弁を反り返らせ、うつむいている姿に心を和ませたひと時でした。
一昨日の春の嵐が去り、ぽかぽか陽気に誘われて、里の草花が一斉に咲き始めたようです。
早くから芽を出していたアサツキの間から、アズマイチゲの白い花が咲きだしました。よく見ると、あちこちに咲き誇っています。北国も花咲く春を迎えたようです。
花粉を求めて来たハナアブでしょうか? 昆虫たちの姿も見られます。
キバナノアマナ(ユリ科)
アマナに先駆け、キバナノアマナも、黄色い可憐な花を咲かせています。つむぎの家の里地では、アマナよりも多く見られます。
昨日遊びに来た3年生のハルちゃんとナオちゃんも、早速、春を探しに里山を散策していました。
途中、何やら花芽を見つけました。整備された散策路の真ん中に顔を出したエンレイソウです。興味を持った二人にカタクリの新葉を教えると、今度は、カタクリの花芽も見つけてご満悦の様子。
その後「なに これ?」とナオちゃんが見つけて聞いてきたので、観ると、コナラの芽生えでした。
「どんぐりが芽を出したのよ!」と言うと「え~芽がない!」と、根が先に出るどんぐりの芽生えを不思議そうに見つめています。その隣で「これが大きな木になるの?」と体いっぱい使って表現してくれたハルちゃん。
今日は二十四節気の清明、春の陽射しに草木が咲き始め、すがすがしい日となっています。まさに春の季節を迎えました。つむぎの家にやってくる子どもたちの心にも、たくさんの花を咲かせてくれることでしょう。
近年雪の少なくなった綾里ですが、久しぶりの冠雪で、一面の銀世界が続いています。
雪解け前に、雪化粧した景色を心に留めておきたいと、昨年整備をした奥入りの旧棚田へと足を運んでみました。
林道を歩いて行って、最初に目に飛び込んできたのは、子どもたちの木登り用に残しておいたクリの木で、雪をかぶった枝が重たそうながら美しい樹形を見せ、棚田の真ん中にドンと構えて立っていました。
まるで、「やあー、よく来たね! 寒かったろう、さあー、私の大きな雪の枝で包んであげよう!」とでも言っているようでした。
整備前の棚田上段の堰の周りは、イバラやコクサギのヤブでしたが、周辺整備ですっかり明るくなり、白い絨毯を敷き詰めたようでした。
その中に、切り倒されたコクサギの切り株からは、新たな枝が四方に伸びて、雪の花を咲かせていました。
棚田の上段に行くと、冬木立が出迎えてくれました。
かつての棚田が陸化し、実生で自然に芽生えた木々たちです。ハンノキやイヌシデなどが生い茂り、里山整備で美しい雑木林になっていました。
棚田の最上段の、茅やススキが生い茂った草地。
背丈の高いススキは、雪の重みで、たわんでいますが、その姿が何とも言えない美しい曲線を描き、自然美を見せていました。
川辺の冠雪は、水の流れを残して全てを真白く覆い、澄んだ水を一層清らかに見せ、白い杉木立の中へ吸い込まれていくような、明るい情景を創り出していました。
棚田から振り返って、里地の方を眺めてみると、朝日に映え、雪に覆われた木々の枝が、空に向かって伸びている姿が、際立っていました。
雑木林の枝に積もった雪は,やがて雪解け水となって森や草地を潤し水辺の生き物たちの命を育んでくれることでしょう。
全てのものを真白く染める冠雪の美しさに心癒されたひとときでした。