ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

指標の限界

2023-08-27 08:43:50 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「実態を表す」8月21日
 連載企画『特派員が見た』では、バングラデシュのプロトム・アロ紙東京支局長モンズルル・ハック氏が、『進まぬジェンダー平等』という視点で我が国の現状について書かれています。
 その中でハック氏は、『世界経済フォーラムが世界の男女格差状況をまとめた2023年版の「ジェンダーギャップ指数」を公表していた。日本は対象146ヵ国のうち125位で前年の116位から後退。G7では最下位だ』と指摘したうえで、『母国バングラデシュは59位だった。イランやアフガニスタンを含めた南アジア9カ国の中ではトップとなり、全体的にも比較的上位につけたと言える』と述べていらっしゃいます。
 ハック氏は、自国自慢をしたいわけでも、我が国をあざけるつもりもありません。それは、自国について、『女性はいまだに財産の相続権などで男性と同じ地位が与えられていないなど、女性が前進する上で傷害となる社会的タブーが存在する。さらに法律で禁止されているにもかかわらずなくならない児童婚や、新婦側が新郎側に支払う結婚持参金といった問題がいまだ横たわっている』ことでも分かります。
 そして私が注目したのは、『バングラデシュの順位は日本よりも66位も上回ったが、WEFによる指標がそれぞれの国の現実や実態をそのまま反映しているとは一概に言えないだろう』というハック氏の指摘でした。
  とても公平な態度です。と同時に、指標というものの限界を指摘しているとも感じました。私はバングラデシュの実態について詳しくはありませんが、日本よりも66位も上というのは実態を反映していないと感じます。財産権、児童婚、結婚持参金、いつの時代の話なんだ、と思ってしまいます。
 では、こうした「指標」やデータの数値が実態を正確に反映しないというのは、WEFだけの問題なのかといえば、そうではないと思います。我が国の教育についても、PISAをはじめ、様々な機関がデータを示しています。そしてそれらを基に、我が国の学校教育についての見解や提言が出されるわけですが、それらの中にはピンとこないものが少なくありません。
 私もこのブログで、そうしたデータや報告を使わせてもらっているので偉そうなことは言えません。正直、都合の良いときだけ、あるいは都合の良い部分だけをつまみ食いしてきたという反省があります。ただ、言い訳ではありませんが、個人では、我が国の学校教育全体について独自の調査を行うことは極めて難しいのも事実です。どうしても、どこかの団体の調査結果に依拠することになってしまうのです。
 学校教育について、最もよく実態を反映させた調査とはどのようなものなのか、教育行政や教育財政の専門家、各校種ごとの学校現場の代表、統計・調査の専門家などからなるプロジェクトチームを作り、検討してみる価値はあると思います。
 なお、その際外国の学校教育の専門家を数名加えておくことが重要であることを付け加えておきたいと思います。

 

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