ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

信頼関係を損なう、の決まり文句で終わらせないで

2009-01-30 08:01:17 | Weblog
「指紋採取」1月27日
 三重県の私立高校、1年生の生徒の携帯電話のメモリーカードが紛失し、盗難を疑った担任教諭がクラスの生徒たちの指紋を集めていたことが明らかになりました。同教諭は、「生徒に納得してもらった上で指紋を取った」と説明していますが、校長は「教諭が生徒の指紋を取ることは許されない。保護者の同意も得ておらず、行き過ぎだった。保護者にもおわびと説明をする」と話しており、担任教諭は何らかの処分を下されることになったようです。
私も担任をしていたときに、学級内で子供の物がなくなるという経験をしています。正直に言ってそれほど珍しいことではありません。その際、指紋を採ろうと思ったことはありませんし、実際に採ったこともありません。でも、今思い出してみると、指紋を採らなかった理由は、「指紋を採ったところで素人の自分に鑑定はできない。したがって犯人を見つけることはできない」「指紋を警察にもっていけば犯人を見つけることができるかもしれないが、そこまでやっては大事になる」ということであったように思います。もちろん、何となく「指紋採取はやりすぎ」という感覚はありました。しかし、それはあくまでも「感覚」であり、きちんと考えたことはありませんでした。校内で盗難事件があったとき、指紋採取をしてはいけないのはなぜなのでしょうか。
被害者の保護者から、「貴重な物なので、指紋採取をしてでもなくなった物を取り返してほしい。学校内で起こったことなのだから学校には責任がある」と指紋採取を求められた場合、断ることが正しいのでしょうか。そもそも、窃盗という間違った行為をした生徒を放置してしまうことの方が教育的なのでしょうか。悪いことをしたら必ず罰を受けなくてはならないということを身をもって知らせることの方が教育的なのではないでしょうか。また、校長は「保護者の同意も得ておらず」と言っていますが、保護者の同意を得れば問題なかったのでしょうか。
学校には、長年、何となく行ってきてそれが一つの慣例のようになっていることがたくさんあります。これもその一つです。私自身は、今回のケースは校長の言うとおり「行き過ぎ」であると思いますが、従来の感覚で何となく処理するのではなく、自分が勤務する学校で起こったらどうなのか、真剣に話し合っておくことが必要なように思います。
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