ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

飲みニケーション

2013-07-26 07:49:52 | Weblog
「飲みニケーション」7月23日
 ADK社長の上野信一氏へのインタビュー記事が掲載されました。その中に、『広告主との酒席を増やすなど付き合いを深め、プライベートな話題も積極的に交わした。やり方を変えると仕事も自然と回り始めた』という記述がありました。上野氏の支店長時代の経験のようです。
 いわゆる「飲みニケーション」の効用です。こうした類の話はよく聞かれます。でも、私はアンチ「飲みニケーション」派です。それは、「飲みニケーション」に限らず、仕事に関係のないものを媒介にした人間関係作りは、排他的になりやすく、好悪の感情が影響しやすいと考えるからです。
 私が教委に勤務していたとき、教育長がゴルフ好きで、何人かのゴルフ好きな校長と休日にコースを回ることがありました。ゴルフをしない校長は、「ゴルフ場で校長人事が決まっているなんてことはないんだろうね」と冗談めかして話していましたが、内心気にしているようでした。そんな「疑念」をもたれるだけでも、マイナスです。
 また、私が尊敬する大校長であったM先生は、一滴も酒が飲めない人でした。M先生は無理をして酒席に顔を出していましたが、新米校長のころは、「俺の酒が飲めないのか」というようなアルハラを受けたそうです。やがて、校長会は酒好き派と酒嫌い派に分かれていったそうです。
 さらに、校長人事の時機に、校長会長が「○○さんを△△校の校長に」と推薦してきたことがありました。その理由は、大変有能だから区内の「有名校」にふさわしいというものでした。私たちの評価とは異なるので、具体的に「有能さ」について訊ねると、「宴会の取り持ちが抜群にうまい」とのことでした。呆れた話ですが、真実です。
 さて、これまで書いてきたことについては、いろいろと異論のあることでしょう。ですから、ここでは別のことについて考えてみたいと思います。教委の幹部と学校管理職の酒席は、いわば身内同士のものです。企業でいえば、職場で部長と課長が飲んでいるようなものだと言ってもいいでしょう。しかし、外部の人間との酒席はどうなのでしょう。上野氏が広告主という「外部」の人との酒席を活用したように、教委の幹部が、議員や地域の有力者やPTAの会長などと「飲みニケーション」を利用して職務を円滑に進めるということは許されるのでしょうか。もちろん、「接待」ではなく、すべて割り勘でという前提で、です。
 私は望ましくないと考えています。そうした仕事の進め方は、その「サークル」からはずれた人たちに不信感を与え、それが教育行政への信頼まで損なうことにつながると思うからです。しかし、実際には、上記のようなメンバーでの酒席は決して少なくありません。そして、「酒の上のことだから」ということを免罪符に、公式ではない情報提供や下交渉が行われ、そうしたことに長けている人が有能という評価を得ている実態があるのです。
 上野氏にインタビューした西浦記者は、上野氏の「飲みニケーション」について一切批判めいたことは書いていません。これが、「公職」にある者へのインタビューだとしたらどうだったのでしょうか。

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